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神の継承者  作者: 夢世操
Introduction
24/45

Sacred-2

「……やっぱり、戻った方がいいような気が」


 アリサは走りながら、レチユに声を掛ける。


「何故……や、なんでそう思うのですか?」


 それを聞いて、レチユはゆっくりと減速し、足を止める。それを見て、その娘のテルフィも立ち止まる。


「私、目に関する"異能力者"らしいんです。実際、色んなものが今も見えてます」


「……それで?」


「彼は多分、能力自体は強くありません」


 アリサは思った事をそのまま伝えた。信じてもらえなくても、とにかく伝えておきたかった。


「……なぜ、そこまで分かるんですか?」


「私が『異能力者』と接触したのは、これで多分……二度目です。あ、いや、先生が異能力者だとしたらもっと多いんですけど、彼は隠していたようですし」

「それはいいんですよ」


 異能力がある前提の、他人が聞いたら正気を疑うような会話に、以外にもテルフィが口を開いて、それを遮る。


「早く理由を言ってください」


「あ、ごめんなさい。ぼんやりと曖昧にですけど、私、見てるんですよ、ルド先生達(・・・・・)の敵を」


「つまり、それで力量が分かったのですか?」


「えぇ、ルド先生は、彼女に……延いては彼らよりも少ない輝きでした」


「それは……」


「もし、もしですよ?もしも彼が複数人の彼らに襲われていて、死んでしまったりしたら……」


「俺達も危険な目にあう可能性があるのか?」


 レチユは眉を顰める。



「それは無いと思いますよ。」



 しかし、テルフィは落ち着いていた。彼が死ぬ事は無いと思っているのか、自分達が危険に晒されることはないと考えているのか、どちらかは分からないが、少なくとも何か考えがあるかのような口振りである。


「何がだ?」


「私達が危険な目にあう可能性です。もし、殺すならもうとっくに私たちを殺しているでしょう?そういう(・・・・)趣向があるなら分かりませんが」


 確かに、最初からルドが狙いなのだとしたら、レチユやテルフィは(ルド)が森に入った瞬間に殺した方が、効率が良かったはずだ。

 ただ、相手がその考えに至っていなかっただけの可能性もあるので、安心はできないが。


「ですが、先生が危険なのだとしたら、看過できませんよ!お父さん、行きましょう!」


「お、おう?」


 テルフィは急に逆方向へと走り始めた。


「テルフィ!おい!」


 走り出したテルフィはレチユの静止も聞かず、一直線に走って行く。意外な事に足が早く、もう既に追いつける距離ではない。


「すみません、私が余計なことを……」


「今はそんなことどうでもいいですよ、俺も予想外でした!くそっ!仕方ない、戻りましょう!」


「はい!」


 走る彼らは自分の息が切れているのも忘れて再度、もとの道を戻っていくのである。

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