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クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。  作者: かわち乃梵天丸
第一部 クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱ランクの商人に偽装しました。
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冷蔵庫作り6 *

 断熱材の素材を集めたので、ミドリアのポータルでロココさんの家に戻って来た俺達。


 行きと違ってミドリアとエリザベスのおまけ付きだ。


 クーラーボックスを見た二人はやたら感心していた。


「冷気で長期保存の出来る箱か。こんな物を作っていたのか」


「こんな素晴らしい物まで作れるとは、さすが我が君です!」


 そんなに全力で褒められると照れてしまう。


「今日皆で取って来た断熱材の素材で今度はマグロが入る大きな箱を作るんだ」


「マグロの入る箱か。それは凄いな」


「それもかなり巨大な物をな!」


「これが出来ればわざわざ港までマグロをアイテムボックス持ちのわらわ達で買い付けに行かなくてもマグロが食べれるんだろ? 凄く楽しみだな」


 しきりに感心するエリザベス。


 ロココさんは頷きながらクーラーボックスによって変わる流通を皆に説明する。


「この保存性の高いクーラーボックスが出来上がると、アイテムボックススキル持ちがわざわざ買い付けに行かなくても済むようになるんだ。普通の商人でもマグロの買い付けが出来るようになる。そうなればタカヤマがお前達と過ごす時間が増えるんだ。どうだ? すごい発明だろ?」


「我が君とベッドの中で愛を語らう時間が増えるとは凄い発明ですわね」


「いやいやいや! 時間出来ても子作りなんてしねーから」


「我が君……。我が君はわたくしの事が嫌いなのですか?」


「いや、嫌いじゃないぞ」


「そうですか!」


 ミドリアはその言葉を聞いただけでパッと表情が明るくなる。


 そして腰をくねらせながら俺にビッタリと体を寄せてくる。


 とってもいい香りがして来て思わず魅了されて抱きしめそうに。


 こんなとこで魅了されたら大変な事になりそうなので慌ててシステムちゃんに頼んで魅了耐性のスキルを入れて耐えた。


 いちゃつくミドリアを見たロココが咳ばらいをして仕事の話を進める。


「次に作るのはマグロの入るサイズの大きな箱だな。道具屋で巨大な木箱でも買ってくるか?」


「箱はロココさんに任せます。店でも使うので冷気が漏れずにぴったりと蓋を閉じる事が出来て、開閉のしやすい上蓋にヒンジ付きの箱がいいと思います」


「店で使う? 運搬に使うんじゃないのか?」


「ええ。運搬に使う物も考えています。でも、店でもクーラーボックスを設置してマグロをストックして置けば毎日マグロを届ける必要が無くなります」


「なるほど! そこまで考えてなかったぞ!」


「マグロが3匹ぐらい入るサイズがいいかな? 結構大きなものになるので重いと思いますので、荷物運びにセーレを連れていってください」


「助かる。じゃあ行ってくるぞ」


 二人は道具屋に出掛けて行った。


「さてと、俺達も行くぞ!」


 俺もエリザベスとミドリアを連れて買い出しに出た。


「タカヤマ、わらわ達はどこに向かっているんだ?」


「馬車屋だよ。ちょっと面白いアイデアが有るんだ」


「馬車? なんでそんなとこに?」


「馬車の荷台に巨大なクーラーボックスを取り付けてマグロや魚を大量に運ぶためさ。クーラーボックス馬車を作るんだ」


 俺が今作ろうとしてるのは馬車版冷蔵トレーラー。


 日本じゃ当たり前に使われているトレーラーをヒントにした馬車だ。


「なんと! さすが我が君、常人では思いつかないアイデアをお持ちなんですね。ますます惚れてしまいます!」


「凄く褒めてくれるけど、俺の居た世界じゃ当たり前の物なんだ」


「我が君の住んでいた世界は物凄い素晴らしい世界ですね」


「魔法も何にもない、人間しか住んでいないつまらない世界だぞ」


「異世界の技術で作り出したクーラーボックス馬車を作ったら、マグロを山の様に食べられるな」


「マグロだけじゃないぞ。エビフライとかも食べれるようになる」


「えびふらい? それはウマいのか!?」


「うまいぞ。物凄く美味い! 衣をつけて油でカリッと揚げるんだけど、食べるとサクッとした食感で中からじゅわっとエビの肉汁が溢れ出るんだ」


「聞いただけでよだれが出てきた。それ食べてみたいぞ!」


「わたくしも食べてみたいです!」


「クーラーボックス馬車が出来たら食べさせてやるから」


「楽しみにしとくぞ!」


 馬車屋に行くとフレームがしっかりした幌付き馬車を購入する。


 結構高かったが、結構な重さの有るクーラーボックスを載せて運搬するから安物は使えない。


 ついでに馬も買いたいとこだが、さすがに馬を飼育するのは俺には無理そうなので運搬の度に馬車組合から馬を借りる事にした。


 アイテムボックスに馬車を収納すると馬車屋の大将は腰を抜かすほど驚いていたが、気にせず倉庫に戻る事にした。


 倉庫の中に馬車を出す。


 倉庫として作られている部屋だけあってレンガ造りの天井は馬車を置いてもまだまだ余裕がある。


 俺は早速馬車の荷台にピッタリサイズの木箱を作る。


 今までは木の棒から板を作ってたので結構手間が掛かったが、マグロを売る商いを続けているせいか今はアイテムショップレベルが少し上がりショップリストに『木の板』や『釘』が並ぶようになったので木工の手間が大幅に減った。


 俺は寸法を測りピッタリサイズの箱を作り、幌馬車に取り付ける。


 いい感じで馬車に収まった。


「これがクーラーボックス馬車か。面白い物だな」


「さすが我が君です」


 二人とも見た事のない馬車を見て感心している。


 そこに箱の買い出しをしていたロココさんとセーレが戻って来た。


「遅かったですね。何か有りましたか?」


「箱を買おうとしたら置き場所が心配になってな。食堂に行って寸法見てたら、夜の部の酒場のオーナーがやって来てクーラーボックスに物凄い興味を持たれてな。箱を設置する代わりに酒場用にももう一つ箱を置いて小魚を卸してくれって頼まれたので取引条件とか詰めてたらこんなに時間が掛かってしまったんだ」


「新たな商材ですね」


「おう、新しい商売だ。タカヤマが来てから怖いぐらいに商売が順調だよ」


 ニコリとほほ笑むロココさん。


 とってもいい笑顔だ。


 ロココさんの買って来た箱は幅2メートル、奥行き高さ共に1メートルぐらいでかなり大きい。


 マグロなら三匹か四匹は余裕で入るサイズ。


 セーレが担いだ大きな箱を二つ置くとさすがに倉庫が狭くなってしまった。

 

 ロココさんが馬車を見て驚く。


「なんだこれは! なんで馬車が倉庫の中にあるんだ?」


「さっき言ってた運搬に使う箱です」


「これが箱なのか? どう見ても馬車の荷台なんだけど?」


「幌の中を見てください」


 ロココさんが幌をめくると中には巨大な箱が馬車の荷台いっぱいに設置してあった。


 中には棚が設置されていてまるで小型の倉庫だ。


「これでマグロを大量に運ぶんですよ」


「でも、こんなに大量のマグロを持って来ても入れられる箱が無いぞ?」


「それならさっきロココさんが買って来た大きな箱で作るクーラーボックスにしまったり、届いた時点でロココさんや俺のアイテムボックスにマグロを収納すればいいだけの話です。別に収納しなくてもこのまま冷凍保存も出来ますので安心して下さい。それに運ぶのはマグロだけじゃないですからね。今まで王都じゃ鮮度の問題で食べられなかったエビやイカなんかを新鮮なまま大量に持って来れる様になるんです」


「それを考えるとこれでも小さいぐらいなのか」


「そうなりますね」


「なんか、魚の流通するより、この馬車を売った方が儲かる気がして来たぞ」


「実証実験をして耐久性に問題なければ是非ともクーラーボックスとクーラーボックス馬車を売りましょう」


「おう、そうしよう!」


 俺達は馬車と箱に断熱処理を施す。


 カニの甲羅からカニのアワアワをを剥がし、アルコールに漬けてペースト状にして、石灰を混ぜて内壁に塗りたくる。


 皆、器用であっという間に断熱処理が済んだ。


 さすが高スぺック魔王様の集まりだ。


 試作クーラーボックス馬車1号と大型クーラーボックスストッカーが完成した。

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