ドワーフ商人の弟子1
世界最大の紛争地帯と化した魔王城から王都へと帰還した俺。
とりあえずリリィさんのとこに現況報告しにキャンプへ戻る事に。
キャンプに着くが居るのは商人のおっちゃんだけで他には誰もいない。
みんな訓練中かな?と思っていたら、石川達が突然俺の鼻先に現れた。
「わっ!」
「どわー! いきなり目の前に出てくるなよ!」
「どう? 驚いた? ねーねー? すごい?」
「驚いた! マジ驚いた!」
「どう? 【隠匿】スキル覚えたんだけど、凄いでしょ?」
「スゲーな。全然気配を感じなかった」
マジでビビったわ。
気づこうと思えば気づけたんだろうけど、石川達が【隠匿】スキルなんて覚えてるとは思わなかったから目の前に居るなんて思いもしなかった。
こりゃ気を付けないと、石川達の前で俺が真の勇者である事がポロっとバレてしまうかもしれない。
俺の驚き様を見てケラケラと笑う三人娘を後に、リリィさんの元へ報告へ。
リリィさんは俺の無事な姿を見ると安堵の表情を浮かべた。
「無事だったのか。良かった良かった。あれから冒険者ギルドに君の捜索依頼も出したんだぞ! 無事でよかった!」
「転移魔法陣に飲み込まれたけど、何とか無事でした」
俺はリリィさんに嘘で塗り固めた報告をする。
「なるほど。魔法陣に飲み込まれたけど不発で、草原の中に転移しただけだったと」
「そうそう。あのゴブリンが出てくる装置のせいだと思う」
「うん解ったよ。それじゃね、王都に戻って、冒険者ギルドで捜索依頼を取り下げた後は待機してて」
「戻っていいのか?」
「元々タカヤマは、ここにはゴブリンの巣の状況をしに来ただけだろ?」
「まあそうなんだけど」
「正直、君がここに居られると邪魔なんだよね」
ここに居ても何もする気はないけど、邪魔とまで言われるとなんか引っ掛かるな。
ちょっとムカつく。
「なんだよ邪魔って……俺そんなに役立たずか?」
「君がこのキャンプに居ても、僕は彼女達の訓練につきっきりでモンスターが現れても君を守ることは出来ないだろ?」
「まあ、そう言われるとそうだな」
「それに今は彼女達に近づいて欲しくないんだよね。せっかく彼女たちは女を捨てるほどの厳しい訓練をしていい感じに結果が出てきたのに、君が居ると彼女達に女の部分が出てきて甘えが出てくるからね」
「女の部分てなんだよそれ」
「彼女たち、とくにイシカワさんはタカヤマの事がかなり気になってるらしいよ」
「それって俺の事が好きって事なのか?」
「多分ね」
「マジか!? あの石川がか?」
「タカヤマが魔法陣に飲み込まれて消えた事は彼女たちに話しては無かったんだけど、君が居なくなってからずっと何も言わずに姿を消した事を愚痴ってたよ」
いつの間にか石川に気に入られてたのね、俺。
俺は石川たちに別れの挨拶をすると王都へと戻った。
*
街に戻った俺だが、暇を持て余していた。
街をふらついて飲み食いするにも金が要る。
本格的に金を稼がないと何も始められない事に気が付いた俺。
働いてもないのに街で飲み食いしてたら金の出所を怪しまれるもんな。
ニートじゃないんだから働かないで遊ぶのはマズイ。
かといって部屋でゴロゴロするのもさすがに飽きたわ。
何とかして金を稼がないと。
名目上、病気療養中の身でありながら冒険者ギルドで稼ぐのもなんだかなーと思って今まで金稼ぎをしなかったけど、それなら頭脳労働をすればいいんじゃないかと気が付いた。
気づくの遅すぎだよと思いつつ、街中を散策してると見つけました。
商業ギルド。
商人の俺にうってつけのギルドだ。
ここに登録して小金を稼ぐことにしよう。
システムちゃんも言っていたが、ショップレベルを上げるには商人レベルを上げるのが一番手っ取り早いらしい。
俺にうってつけのギルドだった。
商業ギルドは商人達でごった返していた。
市場と言うか、それ以上。
大混雑の競り市に近い雰囲気だ。
依頼の札が張られると取り合いが始まり、それを転売するものまで居た。
依頼票まで売り買いされるとは、さすが商人の集まるギルドだ。
俺はギルドのカウンターへと向かう。
商業ギルドへの登録は冒険者ギルド証を持っていたので簡単に済んだ。
ギルドの窓口のお姉さんが俺のスキルを見て感心する。
「かなりレアな『アイテムボックススキル』をお持ちなのですね。しかも『MP回復』スキルもお持ちですのでアイテムボックスを常時使えますし、『商才』に『アイテムショップ』スキルまで持っているのですね。10年に一度の逸材、いや100年に一度の逸材かも知れません! きっと商人として大活躍出来ると思いますよ!」
お姉さんが騒いでると、ギルド長までやって来てギルド内は軽いお祭り騒ぎ。
俺、そんなに目立ちたくねーし。
ちょっと商人向けにスキル振り全開で、やりすぎちゃった感がしないでもない。
「あのー、依頼を受けたいのですが」
その言葉を発すると、周りに居た商人達から商会への勧誘が殺到した。
「ぜひ、ブロンティア商会にご加入を!」
「当メディシア商会なら超好待遇の条件で入会出来ます!」
「福利厚生万全のローディアにご入会を!」
数ある商会の中から選んだのは、ドワーフ娘一人の商会で旅の行商をしているロココ商会だった。
決め手になったのは、自分のペースでいつでも好きな時だけ依頼を手伝う事が出来て、いつでも辞められるという自由なとこだ。
要するに商会と名前はついているけど、会社みたいなしっかりとした物じゃなく行商のパートナーを募集してた感じだった。
入会を決めるとドワーフがオロオロしだす。
「わたしのとこででいいのか? 私一人しかいないまだ駆け出しのちっちゃな商会だぞ? 本当にいいのか?」
「実は俺、異世界から召喚された勇者でして、街の外を出歩いてますがまだ自由の身じゃないんですよね。そこで拘束条件が一番緩いロココ商会に決めたのです」
「そうか! 私はロココだ! よろしくな!」
「タカヤマです。こちらこそよろしくお願いします」
「それじゃ、早速なんだが今から港町まで魚の仕入れに行くぞ」
「はい」
実はそれ以外にも決め手は有った。
彼女のステータスだ。本人は気が付いてなかったが実は物凄かった。
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名前:ロココ
性別:女
ジョブ:商人LV5
LV:7
HP:24/24(E)
MP:96/96(A)
STR:12(E)
VIT:12(E)
INT:18(D)
LUK:86(B)
ユニークスキル:【アイテムボックス】LV3
スキル:【商才】LV3 【MP回復】LV1
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彼女はアイテムショップこそ持ってないものの、俺の偽装したステータスにかなり近い商人向けスキル構成を持っていたのだ。




