魔王城の魔王娘3
召喚魔法陣を逆流させ異世界からやって来たヴァンパイア族の王妃ミドリア・ナイトランドは俺の耳元で囁く。
「我が君が初夜に消えて、わたくしは旦那様に捨てられ逃げられた嫁として親類縁者からどれだけ辱めを受けた事か……なにかわたくしに至らないことが御座いましたか?」
「いや、君に落ち度は全くないよ。悪いのは俺の方だから。ほんとごめん」
「なぜにわたくしの前から姿を消されたんですか?」
「お前も知ってる通り、俺は召喚された身だろ? 宿敵の人族の王族を根絶やしにしたから、召喚者であるお前の願いを成就したって事で、午前零時を以って元の世界に帰還したんだ」
「なるほど……そういう事だったんですか。わたくし旦那様との初夜で大人の女になれると喜んでいましたのに、ベッドの中に一人取り残されて何が起こったのか解らず気が狂いそうになりましたわ」
「そうか、それは悪かった」
頭をなぜてやると、ミドリアは顔をぽっと赤らめる。
ミドリアは俺の耳を甘噛みしてきた。
そしてフッと掛けられる吐息。
それだけで頭の中が真っ白になりそうだ。
さすがサキュバスの血を四分の一受け継ぐ娘だ。
近くに居るだけで興奮し、我を忘れそうだ。
「さあ、初夜の続きをしましょうでは無いか! 我が君!」
ミドリアは服を脱ぎ捨てるとベットの上に大の字になった。
ミドリアたん可愛いよ!
可愛い!
小ぶりなおっぱい最高!
俺はミドリアに吸い寄せられるように視線が離れなくなる。
やべ!
なんか魅了されたかも?
さっき耳噛まれたときかな?
まあいいや。
ミドリアたん可愛いし。
俺の童貞はこの子に捧げよう!
唇と唇が重ねられようとしたその瞬間!
ベッド脇に突き落とされた、エリザベスの渾身の一撃が炸裂した!!
ベッドは一瞬で崩壊!
「ぐるるる! 仕留めそこなったか!」
奇襲が避けられ残念がるエリザベス。
間髪を空けずにミドリアの顔面を狙って二撃目!
それと同時に霧のように消えるミドリア。
すると標的を失ってエリザベスはバランスを崩して倒れこんだ。
ミドリアは霧から実体化すると同時にエリザベスに強烈な蹴り!
エリザベスはまたしても壁を何枚も突き破って遥か彼方まで蹴り飛ばされる。
「邪魔が入りましたが片付けました。さあ、新婚初夜の続きをしましょう!」
俺の手を取りソファーに連れて行くと、腰をクネクネしながら煽情的なポーズで俺に跨る。
ミドリアたん可愛いなー!
いいね!
いいよ!
さっきのドラゴン娘と違ってミドリアたんは尻尾も細く短いし、翼も小さいから人外嫌いの俺でもギリギリ守備範囲内。
控えめなおっぱいが俺の顔前に。
桜色の突起が微妙にプルンプルンしてる。
顔が真っ赤になる俺。
いいね!
いいよ!
たまんねー!
脱童貞カウントダウン中(一桁)な俺!
「今宵は楽しみましょうね。我が君!」
「お、おう!」
俺に熱い口づけをしてくるミドリア。
ねっとりして柔らかい唇がかなりエッチぃ。
『勇者様、魅了されてますよ。早く逃げてください!』
『俺、魅了されてるのか?』
『はい、すぐにでも魅了を解除しましょう!』
『でも俺。そろそろ童貞卒業したいしミドリアたん可愛いし、魅了されたままこのまま最後まで行きたい!』
『ダメだ、この勇者様……』
システムちゃんの深いため息が聞こえるが無視。
ミドリアたんとしたいんだよ!
こんなチャンスを逃したらこんなかわいい子とエッチ出来るチャンスなんて一生無いかも知れないからな!
ここは絶対にやっておくべき!
ミドリアたんのエスコートで事が始まろうとしたその瞬間、部屋が消えた!
強烈なファイアボールが部屋を襲ったのだ。
部屋が一瞬で紅蓮の炎によって包まれ石壁や床まで蒸発した。
ススだらけになる俺とミドリア。
巨大な赤い竜となったエリザベスのブレス攻撃だった。
俺はミドリアに抱えられて地面へと降ろされた。
灼熱の高温が俺の意識を正気に引き戻す。
「はっ! 俺は素っ裸で一体何してたんだ!」
『魅了が解けた様ですね』
『ああ、うん』
初夜を邪魔されたミドリアがキレた。
目は見開き、こめかみがピクピク痙攣している。
そして体にも変化が。
怒りで人化が解けかかり体が三回りほど大きくなり、筋骨隆々の腹筋割々の史上最強の格闘系魔族のミドリアがそこに居た。
もうあの可愛らしいミドリアたんは何処にもいない。
ミドリアが拳に力を込めて吠える!
「爬虫類め! ぶっ殺す!」
初夜を邪魔されて激高するミドリア。
「万物の長のドラゴン様を爬虫類呼ばわりしたことを後悔させてやる!」
「下等生物が何をほざく!」
筋骨隆々のままバンパイア化するミドリア。
肌が黒くなり、翼は大きく、尻尾も伸びる。
見るからにヤバい系の黒いオーラがミドリアの体から噴き出す。
ドラゴンがそれを吹き払おうとブレスを吐くと城が半壊。
ミドリアが魔力を帯びた拳撃を放つと光を帯びた巨大な魔法陣が地面にいくつも浮かび上がり爆発と共に城の瓦礫が地面ごと丸く削れて消え失せる。
「タカヤマは私の旦那だ! 鳥だか獣だか解らないコウモリの分際で人間を旦那にするとほざくとは片腹痛い!」
「我が君はわたくしの旦那! トカゲの分際で勝手に手を出されては困ります!」
「ぐるるるる! ならばこの勝負に勝ったものがタカヤマを手に入れる。それでいいな?」
「面白い! その勝負、受けて立ちましょう!」
いきなり始まる人外大戦!
すさまじい力と力のぶつかり合い!
ドッパン!ドッパン!と魔力だか何だか解らないものがぶつかり合いはじけまくっている。
さすがにこの暴れっぷりだと、この俺でもまともに喰らったらタダじゃすまないな。
触らぬ神に祟りなしって言うだろ?
ここは触れぬが仏。
そんなことわざは無いか。
まあ、なんだ。
気のすむまで二人でやらしてやろう。
頑張れミドリアたん。
うまく人外同士で共倒れしてくれれば余計なトラブルも持ち込まれずにラッキーだ。
俺は無関係を押し通す事にする。
「勝負付いたら来てくれよ。じゃそういう事でー!」
俺はこの世界の魔王と別世界の魔王の妻の戦う、この世界で最悪の危険地帯と化した魔王城(跡地)からそそくさと退散した。




