『紅蓮の再臨と血塗られた絆』
二人は、圧倒的な圧迫感を放つゼノスを見つめた。
ゼノスが歩みを進めるたび、その足元で大地がメキメキと砕け散っていく。ほんの数滴の「呪われた血」を飲み干しただけで、その身に宿る伝承の肉体と相まって、彼は一時的に『紅蓮の力』の四十パーセントを完全に掌中に収めていた。
ゼノスは、キョウノの『核』を奪い取るべく静かに歩み寄る。
ラオは傷ついた体でキョウノを庇おうとしたが、伝承の肉体を持たぬ彼の体は己の異形なる力に耐えきれず、激しく血を吐いて崩れ落ちた。
地に伏せるキョウノを見下ろし、ゼノスは冷酷に言い放つ。
「もし貴様が純血の息子として生まれていれば、わしの後継として一族の長となっていたものを……。責任は貴様にはない。すべてはナオの過ちだ。……さらばだ、冥府へ行くがよい」
ゼノスが手を掲げると、凶悪な紅蓮の光線芒芒と放たれた。
直後、天地を揺るغ音と共に周囲一帯が跡形もなく吹き飛ぶ。その桁外れの威力が巻き起こした余波は、ゼノス自身の配下や兵士たちの半数を一瞬で消滅させた。
吹き荒れる煙と塵が晴れると——そこにあるはずのキョウノの姿が消えていた。
ゼノスがハッと振り返ると、そこにはラオの傍らに立ち、互いに視線を交わすキョウノの姿があった。
「……すまない、ラオ」
キョウノの絞り出すような囁きに、ラオは静かに首を振る。
「……構わないさ」
次の瞬間、キョウノはラオへ飛びかかり、彼の腕を喰らい始めた。
ラオの血肉を喰らうごとに、キョウノの体がドクリと激しく脈動し、失われていた紅蓮の炎が再びその全身を包み込んでいく。
ドカン、と世界を揺るがすほどの巨大な地震が辺り一帯を襲った。
ゼノスは思わず一歩後退した。
その視線の先で、キョウノが眩い紅蓮の瞳を怪しく輝かせ、フラつきながらも一歩、また一歩とゼノスへ向かって歩を進めていたのだった——。
——つづく




