『酔っぱらい天使と危機一髪の貞操』
いつも『地獄の化身ヘル・エンティティ』をお読みいただき、本当にありがとうございます!
実は私、毎日15時間という非常に長い勤務時間の中で働きながら、なんとか時間を作り出して執筆を続けております。仕事の疲れはありますが、この物語への情熱と読者の皆様に楽しんでいただきたいという一心で、日々全力で書き上げています。
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タイムトラベルの果てに、キョウノとラオ、そしてヒカリの三人は鬱蒼とした森へと降り立った。
三人は正体を隠すように身を潜めながら歩みを進め、活気あふれる庶民の市場へと辿り着いた。
人ごみの中、キョウノの視線が一人の老霊媒師の女性にとまった。
キョウノは静かに近づくと、一枚の銀貨を彼女の前に置き、自らの未来について問いかけた。
老女はキョウノの顔をじっと見つめ、息をのんだ。
「なんということだ……お前は治る見込みのない呪いに侵されることになる……」
キョウノは薄く笑みを浮かべた。すでに自らが抱える呪いの存在を知っていたからだ。
しかし、老女の言葉はそこで終わらなかった。
「……いや、お前はすでに呪われている。だが、それとは別に……もう一つの呪いが訪れる。それは『死を望んでも死ぬことすら叶わない』恐ろしい呪いだ」
キョウノの瞳が大きく見開かれた。
彼は深々とフードを目深にかぶり直し、「……くだらん迷信だ」と吐き捨ててその場を後にした。
ヒカリが二人に向き直り、静かに提案した。
「二人の繋がりの手がかりを探すために、この地で最も濃密な『魔力の奔流』を辿りましょう」
長旅の疲れを癒やすため、三人は近くの宿屋へと向かった。
だが、宿屋の主人は申し訳なさそうに手を合わせた。
「申し訳ないんだがね、ベッドが一つしかない部屋がたった一室しか空いてないんだ。二人ならなんとか寝られる広さだがね」
ラオが焦って声を上げた。
「おいおい、頼むよ! 本当に他の部屋はないのか!?」
「すまないねぇ。明日は千年に一度の『紅き黎明の昇天』の日なんだ。全国から客が殺到していてね。……もし良ければ、お兄さんは図書館で寝ても構わないよ。こちらの『お似合いのカップル』にはその部屋を使ってもらってね」
ヒカリの顔が一瞬にして真っ赤に染まった。
「つ、つ、カップルだなんて! 私たち、そんな関係じゃありません!」
主人は楽しそうに笑った。
「おっと失礼、とてもお似合いに見えたものだからね」
キョウノは静かに、しかし冷ややかに言い放った。
「……違います」
部屋に入ると、キョウノは迷わず固い床の上に横たわった。
続いて入ってきたヒカリはベッドに腰を下ろした。
一方、取り残されたラオは間抜けな顔で立ち尽くし、叫んだ。
「おい! 俺は本当に図書館で寝るのかよ……!?」
ヒカリは床のキョウノを見下ろし、心配そうに声をかけた。
「床は固いわ……ベッドで寝てもいいのよ?」
キョウノは一度拒否したものの、ヒカリが重ねて勧めると、無言で立ち上がりベッドへと移動して横になった。
ヒカリはそのまま部屋を出て一階の食堂へと向かい、ワインを二杯注文した。
アンド、あっという間に酒を煽り、すっかり泥酔してしまった。
同じ頃、部屋に残っていたキョウノは、部屋の燭台に明かりを灯そうと魔力を練った。
だが——驚愕の事態が起こる。
体に宿るはずの『地獄の力』が一切応答しないのだ。
焦ったキョウノが自らのオーラを展開すると、地獄の力を失ったその魔力は、不気味な紫色へと変化していた。
キョウノの顔が強い困惑に包まれる。
その時、千鳥足でヒカリが部屋へと戻ってきた。
彼女は衣服に手をかけ、脱ぎ捨て始めようとする。
キョウノは慌てて立ち上がった。
「おい! 何をしている!?」
ヒカリはろれつの回らない低い声で笑った。
「なによぉ……服を脱いでるのよ……」
「それは見れば分かる! だが、私がいる前でやるな!」
ヒカリは妖しい笑みを浮かべ、キョウノへと一歩踏み出した。
「ふふ……まさか、この体に耐えられないの? 来て奪い尽くしちゃえばいいじゃない、イケメンさん……それとも、本当は男じゃないのかしら?」
ヒカリがじわじわと迫り、キョウノは後退りする。
彼女がしがみつこうとした瞬間、キョウノは足をとられ、ヒカリの豊かな胸の中に顔から埋もれてしまった!
顔を真っ赤にしたキョウノは彼女を押し退け、振り払いながらラオのいる図書館へと逃げ出した。
「どこへ行った、あのバカ野郎はッ……!?」
図書館に飛び込んだキョウノだったが、そこにラオの姿はなかった。
その時、背後から追ってきたヒカリの足音と声が響く。
「なによぉ……照れないで出ておいでよ……」
振り返ると、すぐ目の前にヒカリが立っていた。
キョウノは勢いあまって床に倒れ込み、彼女を気絶させようと手刀を放とうとした。
しかし——地獄の力に続き、彼の体から全ての魔力が霧散するように消えていく。
キョウノは完全な無力と化した。
貞操を奪われる覚悟を決めたその瞬間——ヒカリはそのまま力尽き、キョウノの上に倒れ込んで深い眠りについた。
安堵の溜息をついたキョウノは、力を振り絞ってヒカリを抱え上げ、ベッドへと連れ戻そうとした。
その帰り道——廊下の向こうから、口に鶏もも肉をくわえたラオが歩いてきた。
キョウノは憎しみのこもった瞳でラオを睨みつけ、低い声で吐き捨てた。
「……お前の卑しい食い意地のせいで、私は純潔を失うところだったぞ」
ラオは首を右に傾げ、何が起きたのかさっぱり分からないといった間抜けな顔で見つめ返すのだった。
――(つづく)――
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