表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪された公爵令嬢は、完璧であることをやめました  作者: 月影 すずり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/107

第95話 戻る理由

 豊かさは、静かに広がる。


 それは祝福のようでいて、

 議論を少しずつ減らしていく。


---


 広場では今日も取引が続いていた。


 連合経由の商人は増え、

 品物も増えた。


 布。

 工具。

 保存食。


---


「この町は運がいい」


 商人が言う。


「連合の模範都市だからな」


---


 その言葉は、

 もう珍しくなかった。


---


 倉庫の前でマルタが腕を組む。


「正直に言う」


 彼女は言った。


---


「今、戻す意味あるのか」


---


 周囲が静かになる。


---


「戻す?」


 誰かが聞く。


---


「三か月の集中」


 マルタは言う。


「終わったら戻すって話だった」


---


 それは最初の約束だった。


---


 だが今。


---


「困ってない」


 倉庫番が言う。


---


「むしろ前より楽だ」


---


 畑の男も頷く。


「防衛も安心だ」


---


 沈黙。


---


 私は言葉を探す。


---


 確かに。


 町は困っていない。


---


 守られている。

 豊かになっている。

 速く動けている。


---


 そして。


---


 分散は、

 今も残っている。


---


 マルタが私を見る。


「何が問題なんだ」


---


 問いは単純だ。


---


「構造だ」


 レオンが言う。


---


「構造?」


---


「今は三か月だから、

 集中は借り物だ」


---


 一拍。


---


「恒常化したら?」


---


 空気が少し冷える。


---


 誰もその先を言わない。


---


 マルタがゆっくり言う。


「それでも守れるなら」


---


 私は彼女を見る。


---


「守れる」


 彼女は言う。


「今は守れてる」


---


 それは事実だ。


---


 私は火を見つめる。


---


 分散は壊れていない。


 だが、

 集中が便利すぎる。


---


 便利な構造は、

 長く残る。


---


「戻る理由が、

 弱くなってる」


 レオンが言う。


---


 誰も否定しない。


---


 町は壊れていない。


 むしろ、強くなった。


---


 だが、


 最初の問いが

 少し変わってきている。


---


 集中は危険か。


 ではなく。


---


 集中は

 本当に問題なのか。


---


 三か月の期限はまだある。


 だが、


 戻る理由は

 確実に減り始めていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ