表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪された公爵令嬢は、完璧であることをやめました  作者: 月影 すずり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/61

第18話 辺境連合の芽

 会議は、地図一枚から始まった。


 長机の中央に広げられたのは、

 王都を中心とした魔力流路図。


 赤く記された主流路。

 そして、薄く消えかけた地方の支流。


「……ここが、完全に死んでいる」


 私は、指先で一点を示した。


「王都の補助供給が止まって、

 半年以上、放置されています」


 部屋に集まっていたのは、

 辺境伯カイル=ヴァルディスと、

 隣接領の領主代理たち。


 誰も、驚かなかった。


 それが、

 すでに“日常”になっていたからだ。


「王都に要請は出した」


 一人が言う。


「返答は、“検討中”のままだ」


「検討していないのです」


 私は、即座に言った。


「切り捨てる判断を、

 言葉にしていないだけ」


 沈黙が落ちる。


 怒りではない。

 諦めでもない。


 理解だ。


「では」


 カイルが、私を見た。


「君の案を聞こう」


 私は、深く息を吸った。


 これから話すことは、

 王都にとっては“反逆”に近い。


 だが――

 誰かが、言わなければならない。


「王都の主流路に依存しない、

 地方間連結型の循環網を作ります」


 ざわり、と空気が揺れる。


「各領が、

 互いに最低限の魔力を融通し合う構造です」


「そんなことが可能なのか?」


「可能です」


 私は、断言した。


「王都は、

 “中央集権でなければ成り立たない”

 と思い込んでいるだけです」


 資料を広げる。


 簡易式の魔法陣。

 局所安定化の応用。


「完全な代替にはなりません。

 ですが――」


 私は、視線を上げた。


「枯れない」


 それだけで、

 領主たちの表情が変わった。


 奇跡ではない。

 栄光でもない。


 生き延びられるという言葉の力。


「条件がある」


 私は、続けた。


「この循環網は、

 王都の管理下には置きません」


 誰も、反論しなかった。


 もう、

 期待していないからだ。


「参加は、自由です」


「だが――

 参加した領は、

 互いを切り捨てない」


 静かな覚悟が、

 場に満ちていく。


 カイルが、短く笑った。


「なるほど」


「王都を中心にした国ではなく」


 彼は、地図を見下ろす。


「領が、互いに支え合う国か」


 私は、頷いた。


「王都が戻りたくなっても、

 この輪には入れません」


 それは、

 報復ではない。


 責任の所在を、はっきりさせるだけだ。


「……名前は?」


 誰かが、尋ねた。


 私は、少しだけ考えてから答える。


「連合、で十分です」


 余計な理想は、要らない。


 その日の夜。


 私は、一人で外に出た。


 辺境の空は、

 王都よりも星が多い。


(……動き始めた)


 これは、革命ではない。


 宣言も、旗もない。


 ただ、

 正しさが、正しく機能する場所を作るだけ。


 悪役令嬢は、

 王都を滅ぼそうとはしない。


 だが――

 王都がなくても、

 世界は回ることを、証明する。


 それが、

 私の選んだ道だった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ