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断罪された公爵令嬢は、完璧であることをやめました  作者: 月影 すずり


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124/126

第124話 三か月の終わり

 風は、止んでいた。


---


 連合の広間。


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 静かすぎる空気。


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 誰もが分かっている。


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 今日で終わる。


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 三か月。


---


 その期限が。


---


 クラウスが立つ。


---


「時間です」


---


 短い言葉。


---


 だが、


---


 重い。


---


 議論は終わった。


 実験も終わった。


---


 残ったのは、


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 決定だけだ。


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「各案を再確認する」


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 一拍。


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「中央集権」


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 リアが立つ。


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 迷いはない。


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「速さは命を救う」


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「決断は一つであるべき」


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 短い。


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 だが、


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 強い。


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「分散」


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 別の代表が立つ。


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「中央は切る」


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「責任を押し付ける」


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 それも事実だ。


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「機能分散」


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 私は立つ。


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 空気が変わる。


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「構造は」


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 一拍。


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「固定すべきではない」


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 沈黙。


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「状況で変える」


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「人で変える」


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「時間で変える」


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 言葉が広がる。


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「それが」


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「今回の結論です」


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 イェルクが言う。


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「不安定だ」


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「はい」


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 即答する。


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「不安定です」


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 一拍。


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「でも」


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「現実はもっと不安定です」


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 沈黙。


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 誰も否定できない。


---


 ラーデン。


 ガルン。


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 すべてが証明している。


---


 クラウスが言う。


---


「採決に入る」


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 静寂。


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 順に手が上がる。


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 中央。


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 分散。


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 そして、


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 第三。


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 数は拮抗する。


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 完全な多数はない。


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 だからこそ、


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 決まらない。


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 その時だった。


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 クラウスが言う。


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「規定により」


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 一拍。


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「決定権を行使する」


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 ざわめき。


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 模範都市。


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 その代表。


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 つまり、


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 私だ。


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 空気が止まる。


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 三か月。


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 その意味が、


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 ここで繋がる。


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 決めるための時間。


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 そして、


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 決めるための権限。


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 私は立っている。


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 全員の視線。


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 重い。


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 だが、


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 逃げない。


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 私は言う。


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「一つには決めません」


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 ざわめき。


---


「何?」


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「制度を固定しない」


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 一拍。


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「状況ごとに選択する」


---


 沈黙。


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 理解が追いつかない。


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「それは制度ではない!」


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 誰かが叫ぶ。


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「いいえ」


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 私は言う。


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「それが制度です」


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 一拍。


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「選び続ける制度」


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 風が戻る。


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 空気が揺れる。


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 リアが言う。


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「責任は」


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「私が持ちます」


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 即答する。


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 イェルクが言う。


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「すべてを?」


---


「すべてを」


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 沈黙。


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 それは、


---


 不完全な制度。


---


 だが、


---


 現実に近い。


---


 クラウスが目を閉じる。


---


 そして、


---


 開く。


---


「……承認する」


---


 静寂。


---


 決まった。


---


 三か月。


---


 その終わりに、


---


 固定されない制度が生まれた。


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 風が吹く。


---


 完全ではない。


---


 だが、


---


 これが、


---


 今の答えだった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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