第123話 選べないという答え
風は、同じだった。
---
昨日と、
何も変わらない。
---
だが、
---
すべてが変わっていた。
---
子どもがいない。
---
その事実だけで、
世界は違って見えた。
---
誰も、
そのことを口にしない。
---
ガルンの人間も、
レオンも、
マルタも、
ルーカも。
---
ただ、
---
静かに動いている。
---
昨日と同じように。
---
水を運び、
火を起こし、
食料を分ける。
---
変わらない。
---
それが、
---
逆に重い。
---
「……どうする」
---
レオンが言う。
---
短い問い。
---
だが、
---
すべてを含んでいる。
---
私は少しだけ考える。
---
そして、
---
言う。
---
「選べない」
---
沈黙。
---
「は?」
レオンが眉をひそめる。
---
「どういう意味だ」
---
私は答える。
---
「どれも正しい」
---
一拍。
---
「どれも間違っている」
---
マルタが言う。
---
「逃げか?」
---
「違う」
---
私は首を振る。
---
「現実です」
---
沈黙。
---
ラーデン。
---
切られた都市。
---
中央。
---
速くて、
守れる。
---
だが、
---
切る。
---
分散。
---
遅い。
---
だが、
---
止まらない。
---
それでも、
---
間に合わないことがある。
---
そして、
---
ガルン。
---
切らない。
---
だが、
---
保証しない。
---
結果、
---
救えない。
---
「全部だ」
---
私は言う。
---
「全部足りない」
---
沈黙。
---
ルーカが小さく笑う。
---
「じゃあ終わりだな」
---
「いいえ」
---
私は言う。
---
「始まりです」
---
全員がこちらを見る。
---
「構造は」
---
一拍。
---
「選ぶものじゃない」
---
風が吹く。
---
「使うものです」
---
沈黙。
---
「状況で変える」
---
「人で変える」
---
「時間で変える」
---
言葉が落ちる。
---
「固定しない」
---
一拍。
---
「それが答えです」
---
レオンが言う。
---
「それで回るのか」
---
私は少しだけ笑う。
---
「回らないかもしれない」
---
「でも」
---
一拍。
---
「固定よりは壊れにくい」
---
マルタが腕を組む。
---
「面倒だな」
---
「ええ」
---
私は頷く。
---
「面倒です」
---
「でも」
---
「それが現実です」
---
沈黙。
---
誰も反論しない。
---
できない。
---
すでに、
---
見ている。
---
全部の失敗を。
---
私は言う。
---
「守れないものはある」
---
一拍。
---
「それを前提にする」
---
レオンが目を閉じる。
---
マルタが息を吐く。
---
ルーカが空を見上げる。
---
誰も、
---
軽くは受け取らない。
---
それが、
---
答えだった。
---
風が吹く。
---
三か月の期限。
---
もうすぐ終わる。
---
連合は決める。
---
だが、
---
私は、
---
もう決めている。
---
制度ではない。
---
選び方を。
---
それだけを、
---
持って帰る。
本話もお読みいただき、ありがとうございました!
少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、
ブックマーク や 評価 をお願いします。
応援が励みになります!
これからもどうぞよろしくお願いします!




