部屋版退避
夕方。寮の仮運用室。壁ぎわに白いテープが一本、ぐるりと走っている。幅は一足分。
机の角には白丸シール(部屋白点)。窓は東向き、輪っかライトは弱。
掲示の小紙が一枚、ドアの裏に貼られている。
【部屋版退避(試行)】
走者のみ白点。非走者=壁沿いテープ内で床白線を見る。退避線=一足幅。
合図は短音のまとまり(1→A/2→B/3→C)。前後半拍→最後→二拍。
「四問から」ルナが短く整える。
「対象=三人、場所=仮運用室(壁沿いテープ含む)、主体=寮監(霧島)、時間=今夜の交差帯」
「了解」
—メンバーはA=俺/B=楓/C=長谷。霧島さんが監督、真白は休憩帯のみ参加。
短音器は小型で、合図は机の軽ノックでも代用できる。
◆準備(十秒で浸透)
ルナが三行を壁にテープ留めする。
『最後で数える』
『前後半拍』
『走者のみ白点/非走者=退避線』
「胃評議会は?」
「麦茶で可決」楓がマグを掲げる。
(会議は速い方が胃にやさしい)
◆セットR(部屋の初動)
前後半拍。机端でコツ(1回)。俺(A)が部屋白点へ視線を落とし、二拍静止。
動線を一歩、ベッド下の箱を引き出す→戻す。退く。
前後半拍。コツコツ(2回)。楓(B)が入り、本→左寄せを三語で置いてから動く。
交代の二拍で短く置く。「交代=白点」
前後半拍。コツコツコツ(3回)。長谷(C)は姿勢→反応。終端前に一言。
「合図→止まる」——EP-1、回収。
ログ(R)
誤読:0(ノック=まとまり) n- 逸脱:0.5%(A)/0.4%(B)/0.6%(C)
退避線:遵守(非走者は床白線)
EP-1:C=合図後
◆ミニ事件1(“見ちゃった”の部屋版)
交代の二拍、真白が思わず白点を見てしまう。楓の肩が一瞬だけ浮く。
胸の中にポコン……。
A:続行 / B:干渉−1で記録→言い換え
「B。記録→言い換え」
ルナが短く言う。「白点禁止→床白線」
真白は素直にうなずき、次ターンの二拍は壁沿いテープの白線へ視線を落とす。揺れは消える。
ログ(“見ちゃった”)
干渉:−1(記録)→次ターン修正
誤読:なし
◆ミニ事件2(外部音=通知音)
セットS。机の上でスマホの通知音がピロンと鳴る。前静の0.3秒後。耳がわずかに揺れる。
胸の中にポコン……。
A:通常継続 / B:E-12bで二拍静止
「B。E-12b」——最後の音の終わりから二拍静止。全員、非走者は退避線のまま。再開。
霧島さんが面談票に似たカードへ一行。「通知→二拍」
(時間の穴→静止。部屋でも同じ)
◆配置の工夫(家具と線)
セットT。動線が机→ベッド→棚と曲がる番。
楓が一足幅を保とうとして、壁のポスターに肩が触れそうになる。
胸の中にポコン……。
A:速度を落とす / B:呼吸前倒し / C:足幅一目盛り広げる
「B→C」——二吸を差して沈め、足幅を一目盛り広げる。ポスターは無事、肩も沈む。
ログ(T)
SY-肩:浮きかけ→呼吸+足幅、修正✔
退避線:維持(一足幅)
◆休憩帯(三語でOK)
麦茶と小さいせんべい。真白が三語で反省。「白線、見る」
長谷が三語で返す。「OK、守る」
俺は三語で要点。「前後半拍、忘れず」
—休憩が終わる。前後半拍→最後→二拍で再開。
◆ドアノック(割込みの扱い)
セットUの途中、廊下からトントン。配達の確認らしい。
胸の中にポコン……。
A:続行 / B:二拍静止→三語で応答
「B。二拍→三語」
俺:「今、交差帯」
楓:「十分後、休憩」
配達員:「了解、また後」
(割込み=二拍→三語。部屋でも有効)
◆仕上げ(部屋版EP-1の分散)
最後の一本。EP-1を先/後に分散。
長谷が合図後に短く「交代=白点」。俺は二拍末尾に「時間の穴→静止」。楓は今回は温存。
前後半拍→1/2/3→最後→二拍。誤読は0のまま、退避線は一足幅を保つ。
集計(部屋版)
誤読:0
逸脱:0.5%/0.4%/0.6%(A/B/C)
EP-1:2/3名(被りなし/分散)
退避線:遵守(非走者=床白線)
例外:通知→二拍(E-12b)
SY-肩:一件→修正✔
霧島さんが一言。
「部屋版退避:運用可。壁沿いテープ=一足幅で掲示する。視覚合図は運用外(−1)」
ルナが三行で締める。
『最後で数える』
『前後半拍』
『壁沿い=退避』
—真白が親指サインを出しかけて、口で三語。「休憩で話そ」。
霧島さんが頷く。「−1回避」
◆廊下(二択)
掲示板に小さな紙が増えた。
【掲示】部屋版退避(試行→掲示):壁沿いテープ=一足幅/非走者=床白線/通知→二拍。
胸の中にポコン……。
A:この学園で静かに暮らす / B:全力で勝ちにいく
「保留」——線が増えた。でも短い。覚えやすい。部屋でも、たん、たん、たんで歩ける。




