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選律の星環譜  作者: 刹那
31/67

三者許可

朝。実技室の掲示板に新しい紙が二枚。太字と細字。


【審査】ALT-02:1.0案 本日10:30/会議室。同行:指導役一名。


【確認】三音整流(最後で数える/前後半拍/視線で主体)は暫定→必須候補。


(来た。三人運用、いよいよ本許可)


「三行、口で回す」ルナが人差し指で空に線を引く。「最後で数える/前後半拍/視線で主体」


胃評議会は静かに拍手。小さく、でも確かに。


—扉が開き、黒鐘イツキが入る。監督者へだけ会釈。

見学席に楓、記録席に志水、白板前にミレイユ教官。



◆会議室(口頭要約60秒)



長机、紙コップの水、例外カードの束。左に三ノ宮、右にミレイユ。指で「短く」と合図が出る。


「目的:三人交互(ALT-02)の切替速度と安定を、本許可1.0の線で維持」


「手順:合図=短音のまとまり(1秒以内)。1→A/2→B/3→C。

前後半拍で耳を黙らせ、最後の音の終わりから二拍静止。走者のみ白点、非走者は退避線内で床白線」


「評価:逸脱<5%/**R-10(三人通算)**継続/EP-1=各自1回(短く・合図付近)」


「例外:E-12b(外部音)/名目干渉−2/支援は休憩帯のみ+1」


ミレイユが一行だけ足す。「退避線=一足幅(走者から)で固定」


三ノ宮が頷く。「懸念は三つ。合図の重複、視線の干渉、EP-1の被り」


胸の中にポコン……。


A:机上で詰める / B:短い実地で示す


「B。実地」



◆短い実地(2分×1巡)



黒円。テープで退避線が白く走る。A=カイ、B=イツキ、C=楓。


前静0.5拍→ピッ→後静0.5拍。俺(A)が反応→当て(軽)。交代、二拍静止、白点。


前静0.5拍→ピッピ→後静0.5拍。イツキ(B)が姿勢→反応。終端前に低く一言。

「合図→止まる」——EP-1、回収。


前静0.5拍→ピッピッピ→後静0.5拍。楓(C)が反応→当て。交代の二拍で短く置く。「交代=白点」


途中、窓際の反射がピを返す。だがまとまりは2。最後→二拍で吸収。誤読なし。


ログ(実地)


誤読:0


逸脱:0.5%(A)/0%(B)/0.6%(C)


退避線:遵守(非走者は床白線)


EP-1:B=合図後/C=交代時(被りなし)


三ノ宮がメモに丸をつける。「次。質問四つ」



◆質問四つ(質疑→即答)



Q1:隣室の合図が0.8秒差で混ざったら?


「主体=監督者で視線指定。前後半拍で耳を黙らせ、こちらだけ数える」


Q2:外部音がまとまり内に入ったら?


「吸収。最後→二拍で処理。E-12bの延長は不要」


Q3:非走者が白点を見てしまったら?


「干渉−1で記録。言い換え=床白線。退避線=一足幅を再確認」


Q4:EP-1が被りそうになったら?


「半拍遅らせる。被った場合は共有扱い→次ターン個別で回収」


ミレイユが白板に三行を写す。


『最後で数える』


『前後半拍』


『視線で主体/退避線=一足幅』


三ノ宮はペン先でコツ、と紙を叩く。「条件付き本許可に上げる」



◆条件提示(ALT-02:1.0)



三ノ宮が指を三本立てる。「ALT-02:1.0 本許可、期間:一ヶ月。条件は三つ」


合図=短音のまとまり(1秒以内)。前後半拍を必須。最後の音→二拍静止。


走者のみ白点。非走者は退避線内で床白線。退避線=一足幅を維持。


記録=共有カード。R-10(三人通算)の維持と逸脱<5%。EP-1=各自1回(短く)。


「例外:E-12b/名目干渉−2/支援は休憩帯のみ+1はそのまま」


ミレイユが付け足す。「部屋版の退避線は壁沿いテープで試す。掲示は別紙」


イツキが短く会釈。「干渉しない。音を聞く。止まる」


楓が小声で笑う。「本許可、胃は静音」


(胃評議会、全会一致で可決)



◆掲示(二枚の紙)



昼前。掲示板に二枚、紙が増える。


【結果】ALT-02:1.0 本許可。期間:一ヶ月。

条件:前後半拍/最後→二拍/走者のみ白点/退避線=一足幅/EP-1各1/E-12b整合。


【部屋版】退避線(試行):壁沿いテープ。非走者=テープ内で床白線。視覚合図は運用外(−1)。


志水が短音器を片付けながら、記録カードに新しい欄を足す。**「前後半拍」**と小さく印字。



◆お祝い一本(確認運用)



午後、短い一本だけ回す。1→2→3、誤読なし。俺は終盤で短く置く。「時間の穴→静止」。

イツキは0%、楓は「交代=白点」。


ログ(確認)


誤読:0


逸脱:0.4%/0%/0.5%(A/B/C)


EP-1:三者達成(被りなし)


ミレイユが白板に二行書く。


『整流→常設』


『退避線→一足幅』


三ノ宮がスタンプを押す。「一ヶ月、同じ速度で」


イツキは白板を一度だけ見て、監督者へ会釈。こちらは見ない。

だが前後半拍の沈黙は、やっぱり同じタイミングで置けている。



◆食堂(中庸セット)



中庸セット×三、スープ×一。楓が箸でたん、たん、たんと机を叩く。


「本許可、おめでとう」


「ありがとう」


「退避線=一足幅、覚えやすい」


「胃評議会も一足幅で着席」ルナが笑う。


(線が増えた。でも、短く、覚えやすい)



◆廊下(二択)



夕方、掲示の前で一度だけ立ち止まる。紙が白く光って、線がはっきり見える。


胸の中にポコン……。


A:この学園で静かに暮らす / B:全力で勝ちにいく


「保留」——最後で数える。前後半拍。二拍静止。今日の速度は、これでちょうどいい。


—輪っかライトが三つ、床に丸を落とす。歩幅は二人分、少し遅れて一人分。

テンポはたん、たん、たん。

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