実技申請2
朝。連絡板に新しい紙が一枚。
【審査】
実技申請2:三人交互枠(案) 本日10:00。場所:教務会議室。同行:指導役一名。
(ついに“三人版”。胃評議会がざわつく)
「行く」ルナが腕時計を軽く叩く。
「目的/手順/評価/例外、四つを口で回す」
—会議室。白い壁、長机。端に水差し、中央に例外カードの束。
席は左から三ノ宮、ミレイユ教官、記録役の志水。見学席に楓。
扉の外から一歩遅れて——黒鐘イツキが静かに入って、見学席の端に座る。
◆口頭要約(60秒)
三ノ宮が顎で合図。「短く」
「目的:黒円の利用を三人で交互に回し、切替速度と安定を総時間30分で両立」
「手順:合図=短音のまとまり。1回→A/2回→B/3回→C。
合図後は二拍静止し、白点を見る。各走者10分×3本の交代で一巡」
「評価:逸脱<5%/R-10(三人通算)/EP-1=各自1回(合図付近で短く)」
「例外:E-12b(外部音)を継続。名目干渉−2。支援は休憩帯のみ+1」
ミレイユが補う。
「退避線を黒円外周に一本貼る。交代中の非走者は退避線の内側で白点を見ない(干渉回避)」
三ノ宮がメモを置く。「懸念は合図の重複と視線の干渉」
◆机上テスト(紙→言葉)
志水が紙を配る。『三人版の落とし穴』
・1音+外部音が連鎖した ・2音の途中で装置が止まった ・交代中、非走者が白点を見た
胸の中にポコン……。
A:合図をやり直す / B:まとまりで判断+二拍 / C:例外カード
「B。まとまり+二拍」
「理由」三ノ宮。
「短音のまとまり=1秒以内を合図と見なし、最後の音の終わりから二拍静止。
装置停止も同じ。非走者の白点視線は干渉−1で記録し、退避線で修正」
「通る」ミレイユが白板に書く。
『合図=まとまり/最後→二拍/退避線』
◆実地シミュ(2分×1巡)
黒円。A=カイ、B=イツキ、C=楓。志水が短音器を掲げる。
ピッ(1回)。俺が前へ。反応→当て(軽)。合図。二拍静止。白点。退く。
ピッピ(2回)。イツキが入る。姿勢→反応。終端前に低く一言。「合図→止まる」——EP-1、達成。
ピッピッピ(3回)。楓が小さく頷いて前へ。反応→当て。交代の二拍で短く置く。「交代=白点」
戻りで、俺の肩が浮きかけ——
胸の中にポコン……。
A:速度を落とす / B:呼吸前倒し
「B。呼吸前倒し」
——二吸を差し込み、沈む。退避線の内側で白点を見ないよう、視線を床の白線へ落とす。
ログ(シミュ)
合図:1/2/3回=誤解なし
逸脱:0.8%(カイ)/0%(イツキ)/0.4%(楓)
EP-1:イツキ=合図後/楓=交代時/カイ=未使用(温存)
干渉:非走者の白点視線なし(退避線有効)
◆条件提示(暫定許可)
三ノ宮が三本指を立てる。「ALT-02(暫定)を一週間。条件三つ」
合図=短音のまとまり(1秒以内)。1→A/2→B/3→C。
合図後は二拍静止。走者のみ白点。非走者は退避線内で床白線。
記録は共有カード。**R-10(三人通算)**を追う。**逸脱<5%**維持。
「例外はE-12b。名目干渉−2は継続」
ミレイユが付け足す。「EP-1=各自1回。被りは共有扱い→次ターン個別」
イツキが短く会釈。「干渉はしない。音を聞く。止まる」
楓が小声で息を吐く。「三人、行ける」
(行ける。胃評議会は静かに賛成)
◆午後の初運用(ALT-02:10分×3)
一本目(A→B→C)
ピッ。俺が入る。反応→当て。交代の二拍で、温存していたEP-1を置く。「時間の穴→静止」
ピッピ。イツキ。逸脱0%。
ピッピッピ。楓。滑りかけ→呼吸で修正。
ログ
逸脱:0.5/0/0.6%(A/B/C)
再現性:R-3(ALT-02通算)
EP-1:三者達成(被りなし)
二本目(外部音の試験)
ピッの半拍後、窓際でチン。
胸の中にポコン……。
A:通常継続 / B:E-12b適用
「B。適用」——最後の音から二拍静止。全員、退避線の扱いを維持。テンポは崩れない。
ログ
E-12b:成立×1
干渉:なし(退避線有効)
◆休憩帯(短い笑い)
麦茶と小さいせんべい。真白が顔を出す。「三人、胃は大丈夫?」
「議長・舌先は余裕」楓が笑う。
「会計・小腸も黒字」俺。
イツキは黙って麦茶を一口。会釈だけ。十分だ。
◆仕上げ(R-5へ)
最後の一巡。1→2→3の合図は誤解なし。
俺は退避線内では白点を見ないルールを再確認し、足元の白線で視線を固定。
楓は三語で要点を復唱(休憩帯)。イツキは**0%**を維持。
集計(本日)
R-5(ALT-02通算)
逸脱:A=最大0.8%/B=0%/C=最大0.6%
EP-1:三者各1回(被りなし)
干渉:0(退避線有効)
三ノ宮が短くまとめる。「ALT-02は線の上を歩けている。一週間、この速度で」
ミレイユが白板に三行。
『合図=まとまり』
『走者のみ白点/非走者=退避線』
『最後→二拍→再開』
イツキは会釈だけして去る。楓は白点に視線を落として、二拍だけ数えてから笑った。
胸の中にポコン……。
A:この学園で静かに暮らす / B:全力で勝ちにいく
「保留」——三人でも、二拍は同じ。テンポはたん、たん、たん。名前が増えても、線は一本で足りる。




