相部屋仮運用
夕方。寮の三階、仮運用室。ベッドが二つ、机が二つ。窓は東向き。輪っかライトは弱。
壁に帯の紙が三枚、横並びで貼ってある。
【静音帯】22:00–7:00/言葉最小/EP-1は不可(交差帯で済)
【交差帯】19:00–21:00/会話OK/EP-1=一人一回/支援+1は休憩のみ
【運用外】室内の視覚合図は禁止(干渉−1)
机の角には小さな白丸シール。部屋版の白点。足元には静音スリッパ。カーテンの端に小タイマー。
「四問を置く」ルナが短く言う。
「対象=二人、場所=仮運用室、主体=寮監(霧島)、時間=今夜だけ」
「了解」
—今日の組み合わせは楓×長谷。俺は見届け、ルナは指導役。志水は初期設定まで。
真白は休憩帯だけ見学。
◆交差帯(19:00)—はじめの十分
「EP-1、一人一回」ルナ。
楓が先に短く置く。「合図→止まる」
長谷も一言。「支援は休憩帯」
「十分」ルナが頷く。「被りは共有扱い。次は被らないように」
机の上で準備を整える。ベッド位置、荷物の置き場、夜間の動線。
白丸シール(部屋白点)へ視線を落として、二拍静止の練習を一度だけ。
「胃評議会は?」
「温かい麦茶で議事進行」楓がマグを掲げる。
—真白がドアから顔を出す。「帯の中で差し入れ……+1?」
「+1」ルナ。紙コップが二つ、静かに置かれる。
◆ミニ事件1(名目が刃)
交差帯の終わり際、真白が手を振って丸を描きかけて——止める。「運用外だった」
長谷が自分の指を軽く押さえる。「クセ、出そうだった」
「名目干渉は−2。今日は注意で済む」ルナが静かに線を引く。「言い換えを一個」
楓が代案を出す。「休憩で話そう」
「採用」
—交差帯終了。静音帯まで休憩5分。ここで支援+1は自由。
◆静音帯(22:00)—入室から就寝まで
タイマーの短音が一回。灯りを弱に。ここから言葉最小。俺とルナは廊下まで下がる。ドアは半開き。
監督は霧島さんに交代。
白丸シール(部屋白点)を見て、二人は二拍静止。呼吸がそろう。
—最初の三十分は無風。寝具のガサ音だけ。SY-肩の出番はなし。
◆ミニ事件2(外部音の割込み)
22:41。廊下の巡回チャイムがチンと鳴る。静音帯。言葉は使えない。
胸の中にポコン……。
A:そのまま寝返り / B:E-12b相当で二拍静止
二人はBを選んだように見えた。最後の音の終わりから二拍。視線はそれぞれの部屋白点へ落ちる。
肩は浮かない。再開=何もしない、が正しく回る。
霧島さんがメモに小さく『夜間:外部音→二拍』と書く。
◆ミニ事件3(支援↔干渉の境)
23:08。楓の毛布がずり落ちる。長谷が反射で手を伸ばしかけ——止まる。
胸の中にポコン……。
A:すぐ掛け直す(運用中支援?) / B:休憩帯まで待つ
長谷は部屋白点に視線を落とし、二拍静止だけして待つ。楓は自分で毛布を直す。呼吸が戻る。
(支援は休憩帯。待てた)
—霧島さんが協調欄に一行。
『支援:待てた(+0)/干渉:なし』
◆深夜(微かな揺れ)
0:12。窓に小雨が戻る。ガラスにトトトと細かい音。
E-12bの打ち切りは要らないが、二拍静止が一度だけ入る。肩は浮かず。
0:40。長谷の咳が一回。楓が起きないことを確認してから、水を一口。言葉最小のまま、静かに戻る。
交差帯ではないので、+1は乗らない。けれど、−1でもない。
—その後は静か。
◆早朝(静音帯の出口)
6:55。タイマーが短音を一回。静音帯の出口。二人は各自の部屋白点に視線を落として二拍静止。
7:00、交差帯に入る。ルナがドアの外から合図。言葉が戻る。
楓が最初にEP-1を一回だけ。「交代=白点」
長谷が続けて一言。「時間の穴→静止」
(室内版のEP-1、回収)
◆朝のミニレビュー(10分)
テーブルに四人(俺・ルナ・楓・長谷)。霧島さんは記録を持って立会い。真白は休憩帯だけ同席。
逸脱:ゼロ(両者)
SY-肩:発生なし
外部音:巡回チャイム→二拍で処理
協調:待てた=+0(適切)/名目干渉なし
EP-1(室内):朝一で回収(被りなし)
「相部屋=仮運用、合格。帯は紙のままで継続」霧島さん。
ルナが二行でまとめる。「待つ→照合→採用。支援は帯の中」
楓が麦茶を持ち上げる。「胃評議会、朝は軽い」
長谷が笑う。「朝定食、賛成」
—窓の外、雲は薄く白い。輪っかライトが廊下に丸を作る。足音は二人分、少し遅れて一人分。
テンポはたん、たん、たん。
胸の中にポコン……。
A:維持で進む / B:条件付きで変更へ寄せる
「保留」——今夜は静かに成功。紙の線を、もう一夜、歩いてみたい。




