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選律の星環譜  作者: 刹那
23/67

申請返答

朝。掲示板に紙が二枚、増えていた。片方は太字、片方は細字。


【結果】

交互枠:本許可。コード:ALT-01。期間:一ヶ月。

条件:短音合図/二拍静止/白点基準/E-12b(外部音)整合。

EP-1=一人一回。支援は休憩帯のみ+1。


【寮務】

部屋再選択について:一次〆切は来週へ前倒し。相談は霧島まで。


(来た。二つ、同時に来た)


「読む」ルナが短く言って、指で条件をなぞる。

「β→1.0→本許可。線は変わらず」


「期間、一ヶ月」楓が小声。

「長い。けど、決め打ちじゃない長さ」


——背後で足音が止まる。黒鐘イツキが紙を一度だけ見て、監督者へ会釈。やっぱりこちらは見ない。

距離はそのまま。



◆会議室(返答の口頭)



午前の短い集まり。長机、例外カードの束、記録カード1.0、そして新しくALT-01の要点紙。


三ノ宮が淡々と読む。

「目的:交互運用の切替速度と安定の両立。手順:合図→二拍静止→白点。

評価:逸脱<5%/R-10継続/EP-1。例外:E-12b。以上」


ミレイユが補う。

「名目干渉は−2、視覚合図は−1。支援は休憩帯のみ+1。夜間は**影の輪(臨時)**を掲示で許容」


「確認一本、回す」志水が短音器を持つ。


胸の中にポコン……。


A:いま実施 / B:午後に回す


「A。いま」



◆確認一本(ALT-01)



合図。ピッ。反応→当て。交代、二拍静止。視線は白点。


短く置く。

「合図→止まる」——EP-1、回収。


イツキは終端前に低く一言。

「交代=白点」。


ログ(ALT-01確認)


正確度:逸脱0%(両者)


再現性:R-2(本許可通算)


EP-1:達成(両者)


協調:該当なし


三ノ宮が要点紙にスタンプを押す。

「ALT-01、運用開始」


(線は同じ。名前が増えた。覚える場所が一つ増えただけ)



◆寮務室(申請返答・前半)



昼前。寮の窓口。霧島さんが書類の束を整えていた。

カウンターには薄灰の再選択カードと、よくある質問の紙束。


「お待たせ」霧島さんは落ち着いた声。

「返答は三種類。維持/変更/保留。一次〆切は来週。体調・安全は最優先」


胸の中にポコン……。


A:維持(ひとり部屋) / B:変更(相部屋へ) / C:保留(一次は見送り)


「C。保留」


「理由を三行で」


「目的=安定の維持。手順=ALT-01の定着。評価=逸脱とR-10の継続」


霧島さんは頷く。

「四問は?」


「対象=自分、場所=寮の居室、主体=寮監、時間=今月末まで」


「通ってる」


楓が横で小声。

「ぼくは変更寄り。協調Cを伸ばしたい」


「申請を分けるのも手」霧島さん。

「あなた=変更、あなた=保留。相互影響は別紙で制御できる」


(寮も、言葉で分ける。混ぜない)



◆食堂(短い相談)



中庸セット×二。スープは熱い。楓がフォークを回しながら言う。


「相部屋、どう思う?」


胸の中にポコン……。


A:いまは早い / B:条件を付ければ試せる


「B。条件があれば」


「条件?」


「静音帯を決める。言葉最小の時間を作る。EP-1はそこで一回だけ置く」


ルナが頷く。

「帯で切るのは協調でも有効」


楓が笑う。

「胃評議会も静音帯が必要」


(胃は、いつでも評議している)



◆寮務室(申請返答・後半)



午後。もう一度、霧島さんの窓口へ。楓は変更用紙、俺は保留用紙を持って立つ。


「相互影響の欄に、帯を書いて」霧島さん。


俺は三行を書く。


『静音帯:22:00–7:00(EP-1は1回のみ/小声)』


『交差帯:19:00–21:00(会話OK/支援+1は帯内の休憩のみ)』


『運用外:部屋内での視覚合図は禁止(干渉−1対象)』


楓は『協調Cの練習を週二回』と書き、俺と合わせて交差帯に共有の合言葉を一つ置く案を足した。


合言葉:『合図→止まる』(短く一回)


霧島さんが両方の紙を見て、静かに頷く。

「一次は仮受理。面談を一度。相部屋の候補は——」


紙をめくる指が止まる。

「黒鐘は変更せず。単独継続」


楓が息を漏らす。

「そうか」


(そうだろう、とは思ってた)


「相部屋候補は長谷/真白の線が強い」霧島さん。

「支援+1の扱いを学びたいと書いてある」


「合うと思う」ルナが短く言う。

「帯を守れるなら」



◆実技室(小テスト一本)



夕方前、ALT-01の貼り紙の前で確認一本。志水が短音器を持つ。イツキは見学席。


合図。ピッ。反応→当て。交代、二拍。白点。短く置く。

「交代=白点」。


イツキは終盤に「時間の穴→静止」。


ログ(夕方確認)


正確度:逸脱0.3%(カイ)/0%(イツキ)


再現性:R-4(本許可通算)


EP-1:達成(両者)


ミレイユが一言。

「本許可の速度で続ける」


イツキは会釈だけして去る。速度は速い。急いではいない。いつもどおり。



◆掲示板(薄い紙が一枚)



寮へ戻る途中、掲示板に薄い紙が足されていた。


【面談予定】

寮再選択/一次:明日夕方。場所:寮務室。担当:霧島。


「明日」


「今日決めないのが今日の決定」ルナが笑う。

「少し待つ→照合→採用」


胸の中にポコン……。


A:維持で行く / B:変更に寄せる


「保留」——帯の案が紙になっただけで、胸の冷たさが薄くなる。準備は、決定の前に効く。


—廊下の輪っかライトが細い楕円を作る。足音は二人分、少し遅れて一人分。

テンポはたん、たん、たん。


(本許可。寮の帯。言葉は短く、場所は選ぶ。明日は面談。今日は、歩く。)

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