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選律の星環譜  作者: 刹那
22/67

夜間補習

夜。中庭。輪っかライトはない。月は欠けて、光は薄い。地面は濃い灰の石。風は弱い。

芝の端に携帯ランタンが三つ、志水が並べて置く。ランタンの影が石畳に輪を作る。

白点の代わりに、細いチョークで小さな点が打たれた。


掲示は臨時板に移動している。


【夜間補習】

屋外での交互運用を確認。四問を先に言ってから開始。E-12bは有効。名目支援→干渉に注意。


「環境、説明」ミレイユ教官が短く整える。

「対象=使用者、場所=中庭の石畳・ランタンの影の縁、主体=監督者、時間=本セッション。

EP-1は一人一回」


「影、きれい」楓が覗き込む。


「影で代用は暫定」ルナが指で輪の縁をなぞる。

「白点が戻れば白点=基準に戻す」


(屋外、少しだけ心拍が上がる。暗さは味方にも敵にもなる)


—扉の音。黒鐘イツキが遅れて現れて、監督者へ会釈だけ。こちらは見ない。距離感は変わらない。



◆セットL(夜の初動)



合図。ピッ。


胸の中にポコン……。


A:反応→当て(軽) / B:当て→反応


「A。反応から」

——赤コーン、右。白、前。黄、左後ろ。腰だけ切ってタッチ。戻る。呼吸は四吸・二止・四吐。

肩は浮かない。


三分で当て(軽い)へ。ターゲットパッドは薄い×印。初期狙いは左上、三回目で中心。合図。

二拍静止。視線は影の縁。交代。


短く置く。

「交代=影の縁」——EP-1、済。


イツキは姿勢→反応→当て。終端近く、低く一言。

「合図→止まる」。


ログ(L)


正確度:逸脱0%(両者)


再現性:R-1(夜間通算)


EP-1:達成(両者)


SY-肩:発生なし


協調:該当なし


(夜でも、テンポは作れる)



◆風(場所の穴)



二本目の準備。風が一段だけ強くなって、ランタンの紐が揺れる。影の輪が波打つ。


「場所の穴」ルナが即座に分類。

「時間の穴→静止に似ているけど、今は輪の形が崩れる」


胸の中にポコン……。


A:影の中点を見る / B:足で固定線を作る(つま先で触れる)


「A。中点」


「理由」ミレイユ。


「縁が揺れるなら真ん中に寄せる。視線基準を輪の平均にする」


「OK。本セットのみで運用」


—合図。ピッ。反応→当て。交代。二拍静止は「中点」を見る。肩は浮かない。


イツキは縁が揺れても迷わず、中点に視線を落として止まる。テンポは保たれた。


ログ(風)


正確度:逸脱0.5%(カイ)/0%(イツキ)


補足:『場所の穴→中点』を夜限定で採用(臨時)



◆虫(光の乱れ)



三本目。ランタンに蛾が一匹、ふらり。光が一瞬、ちらつく。


胸の中にポコン……。


A:続ける / B:E-12bを適用(二拍静止)


「B。適用」——最後の明るさが安定してから二拍静止。視線は中点のまま。再開。テンポは崩れない。


「音じゃないけど?」楓が小声。


「時間の穴として扱える。主体=監督者が適用宣言すれば良い」ミレイユが短く補足する。


(“穴は静止で埋める”。夜でも同じ)



◆配置替え(影と白の逆)



四本目。ランタンの配置を左右反転。影の向きが逆になる。白いチョーク点は据え置き。


胸の中にポコン……。


A:影優先 / B:チョーク点優先


「B。チョーク優先」


「理由」


「白点=基準。影は暫定。基準が残っている場面は基準に戻す」


「OK」ルナが頷く。


—合図。ピッ。反応→当て。交代。二拍静止はチョーク点へ目線を戻す。肩が軽い。

夜の空気に、少しだけ余裕が出る。


ログ(配置替え)


正確度:逸脱0.4%(カイ)/0%(イツキ)


補足:『基準>暫定』の確認、済



◆協調と干渉(光の扱い)



休憩帯。楓が水とタオルを持ってくる。+1。


その横で、初等の真白が懐中電灯を取り出す。

「照らして支援は?」


胸の中にポコン……。


A:監督者のみ可 / B:使用者も可(条件付き)


「A。監督者のみ」


「理由」


「主体が二重になると干渉に寄る。光源はルールそのものに近い」


ミレイユがカードに追記する。


『光源=監督者専用。休憩帯での位置確認は可(+1)。運用中の照射は干渉−1』


真白が素直に懐中電灯を下げる。

「帯の中でやる」



◆セットM(仕上げ)



最後の一本。合図。ピッ。


「交代=白点」俺は短く置く。EP-1、回収。


イツキは終端で「時間の穴→静止」。


風は弱い。蛾はどこかへ行った。影は丸いまま。石畳の冷たさが、足裏の速度を一定にする。


ログ(M)


正確度:逸脱0.3%(カイ)/0%(イツキ)


再現性:夜間通算R-4


EP-1:達成(両者)


SY-肩:発生なし


協調:+1(休憩帯)/干渉0


ミレイユが締める。

「夜間補習:運用可。場所の穴→中点は臨時で掲示。常設は白点」


三ノ宮が横から一言。

「名付け→圧縮は増やしすぎない」


「了解」



◆帰路(二択)



片付けが終わると、中庭は静かになった。ランタンの灯りが順に落ちて、影が薄くなる。

チョーク点は小さく白い。


楓が伸びをして笑う。

「夜は胃評議会が静か」


「議長・舌先は就寝」


イツキは会釈だけして去る。速度は速いけれど、急いではいない。いつもどおり。


胸の中にポコン……。


A:この学園で静かに暮らす / B:全力で勝ちにいく


「保留」——夜は少し待つに合っている。白点は小さいけれど、見える。影も、使える。帰ろう。

たん、たん、たん。

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