青春
『ワンワン!!ヴヴヴ…!』
『お、可愛い子犬ちゃんだなぁ。もしかしてこいつを助けに来たのか?』
狼は犬太の首輪を噛んで持ち上げた。
『葵…!葵逃げろ…!』
犬太は声がかすれていながらも葵に逃げるように言った。
『ワンワン!!(離せ!)』
葵はたくさん吠えた。
『そうかそうか〜。じゃあ、俺が先に子犬ちゃんをいただこうかな〜?』
狼は走って葵のところに向かった。
葵は避けて狼の足を狙った。上手く噛むことができた。
『ヴヴヴ…』
『離せ…!』
狼は足を振って葵を蹴り飛ばした。
『子犬のくせに強いな…。でもまだまだ』
次は狼5人中3人が葵に向かっていった。
『キャン…(怖い…)』
葵は怖くて震えた。
『おお、さっきの威勢はどこだ〜?』
『怖がっちゃって…かわいそうだか手加減はできないな…』
1匹の狼が葵に飛びかかった。
狙ったのは葵のお腹。
『キャン!キャン!(痛い!痛い!)』
狼の牙は鋭くボス戦のときよりも痛かった。
1匹の狼はその場から離れて葵の様子を伺った。
『キャン…ヴヴ…』
葵は立ち上がった。
『葵…!逃げろ!』
犬太が大声を上げた時には遅かった。
葵の後ろから大きな狼が葵に飛びかかった。
『キャン!!』
狙われたのは後ろ足。
葵は意識が朦朧としていてされるがままだった。
そのとき、犬太が狼を4匹やっつけた。
1人残されたのは葵を狙った大きな狼だけ。
犬太は狼に噛み付き狼の骨を折った。
『くっそ…次は覚えてろよ…』
狼は全員逃げた。
『葵…!お前…なんで…』
『犬太…昨日はごめんね…。』
葵は体からたくさんの血を流しながら謝った。
『俺こそごめん。あんなひどい言い方して本当にごめんな。』
葵は人間の姿に戻った。
主に足から血が出ていた。
犬太も人間の姿に戻ると葵をおんぶした。
『私重いよね…?』
『全く。ていうか軽すぎ。飯食ってんの?』
『食べてるよ!たくさん食べてる!』
夜になると2人は眠りについた。
『葵ー。出かけるぞ。体の調子はどうだ?』
『昨日よりは大丈夫。』
葵は起き上がって体を振った。
山の出口になると犬太が口を開いた。
『ここからは人間が多くなる。俺について来い。走るぞ』
『はーい!』
犬太は走り出すと葵も走り出した。
『あれ?わんちゃん?』
『わんちゃんがいる!』
通りすがる人は葵達のことを目で追いかけた。
『ふぅ、ここまでくればいいだろ。これから行くボスの場所はかなり遠い。2日くらいで着くだろ』
『ええ!遠い…』
『そんな事言ったって仕方ないだろ…』
『おめーら誰だ?』
葵と犬太が歩いていると向かい側から犬が近づいてきた。
犬太は『俺の後にいろ』と葵に言うと葵は犬太の後に下がった。
『お前こそ誰だ』
『おいおいそんな警戒心抱くなよ〜。悪いようにはしねーって。俺は風丸。よろしくな』
風丸はかなりフレンドリーな様子だった。
『俺は犬太。後ろにいるのは葵。よろしく』
『お前ら人間の血、あんだろ。』
『あぁ。今からボスに行くところだ。』
『俺は元々犬だからなぁ。できねーんだよ。どこのボスに行くんだ?』
『栞のボス戦』
『栞ちゃんか!あの子は優しいよなぁ〜!でも強いからな〜。おいそこの後ろにいるお嬢ちゃん』
『は、はい!』
葵は急に呼び出され驚きが隠せなかった。
『おお〜。可愛い娘だな〜。犬太、いい女連れていくね〜!こんなの好きになっちゃうだろ?』
『え!?』
『うるせー!無駄口開くな…』
犬太は顔を赤くして下を向いた。
『ハッハッハっ。いやぁ青春だね〜。俺は暇じゃないのでまたな〜。ボス戦頑張れよー』
風丸は走って行ってしまった。
『なんだあいつ…気にすんな。行くぞ』
葵は犬太の後ろをついて行った。




