喧嘩
『犬太…!』
葵は走ってぐったり倒れている犬太のところに向かった。
『犬太…ごめんね。私が弱いせいで…本当にごめんね…』
葵は鼻で犬太のお腹を持ち上げようとした。
『大丈夫…。』
犬太は起き上がった。がヨロヨロで倒れそうになっていた。
『大丈夫じゃない…え…』
そのとき、葵は犬太の腹部の大きな傷を見て心が痛んだ。
『ウソ……』
『こんくらい…どうってことない。葵の毒の方がよっぽど痛いだろ…』
葵は罪悪感でいっぱいだった。自分の毒よりも大きな傷の方が痛いはず。
『ごめんなさい…全部私のせいだよ…』
『俺は男だ。強くなきゃいけないんだよ。こんなことでメソメソしていられないんだ。あとほら木の実持ってきたぞ』
犬太は人間の姿に戻ると犬の血が勝ったのか口調がいつもよりクールだった。
『犬太…?』
『ん?…って…え?』
犬太は葵の右前足が腫れていた。
『毒が効いてるのか…?運悪く効き目がいいやつなのかもしれない』
『死んじゃうの…?』
葵は体と声を震わせて犬太に聞いた。
『そんなわけないだろ…!少量の毒だって…』
『でも…嘘ついてるかもよ…?また』
葵は怖かった。次の日には足がなくなってるかもしれない。次の日には息を引き取っているのかも…。
『…心配するな…』
『心配するよ!!なにその人事みたいな返事!こっちは怖いの!!初めてでわからないことたくさんあるしこれから何があるかわからないし…!!そんな中で…』
葵は声を荒げて犬太にぶつけた。
『人事なんかじゃねーよ!こっちは助けてやってるのに本当にお前は生意気だな!?こっちはわからないことたくさんあるの知ってるし教えようともしてるんだよ…!』
犬太も大声で怒鳴った。
『なんでそんなに偉そうなの…優しいと思ってた私がバカみたい』
葵は泣くのを堪えてふて寝をした。
『あっそ。なんで、そんなふうに強く言えんのに力になると弱いんだよ。マジでムカつく』
犬太は洞窟から出ていってしまった。
『(もういいよ。あんなやつ)』
つぎの日
『ん…んぁ…』
葵が朝目覚めるど犬太の姿はなかった。そして葵の足もなんとか治っていて体も随分と楽になった。
『別に犬太がいなくても私だけでなんとかするもん。』
葵は木の実を探すために外に出た。
『木の実〜き〜の〜み〜あった!!』
紫色の木の実が地面に落ちていた。
『これ食べていいのかな…』
心配になって食べるのが怖かった。
『1日ご飯抜いても死なないよね…』
葵はそのまま洞窟に戻って座った。
『(暇だなぁ)』
木漏れ日が気持ち良くて眠たくなる。
『(犬太なにしてるんだろう)』
昨晩は大喧嘩してしまった。結局悪いのはどっちかわからなくなってしまう。
『ワンワン!!ヴヴヴヴァ…』
近くから犬太の威嚇する鳴き声が聞こえた。
『犬太…?』
葵は洞窟を抜け出し犬太の鳴き声がするほうに向かった。
少し進むとそこには犬太よりも大きな狼が犬太のことを囲っていじめていた。
『お前一人なのか〜?食べてもこいつは問題ないな』
『さっそく…!!』
1人の狼が犬太に食らいつく。
『ワンワン!!キャン…!』
犬太は自力で起き上がろうとしてた。
『(どうしよう…助けなきゃ…)』
いつの間にか葵は助けなきゃいけないという使命に襲われた。
『お前は弱いんだよ。』
犬太の言葉が蘇る。
『(弱いことくらい知ってるけど…でも助けなきゃ私守られてばっかりだった…)』
葵は走って狼のところに向かった。




