戦い
『んん…ふぁぁ…あれ?犬太…?』
朝起きると犬太の姿はなかった。
心配になって犬の姿に戻ると洞窟の外を覗いた。雨はすっかり上がっていて霧ができていた。
『け、犬太…?』
その途端、右から犬太が犬の姿で走ってきた。口にはなにか加えている。
『え、なにそれ』
『子狐。狩ってきた』
『えええええ!!こ、子狐食べるの…?』
『犬も野生動物の1つだ。これくらいしなきゃな』
犬太は子狐のお腹を噛みちぎり『旨いなぁ』と言いながら頬張った。
『食べるか…?』
『い、いらない』
『また腹減ったとか途中で言うなよ〜?それにこれから戦うんだから力づけなきゃダメだろ』
『食べます!!』
葵は目を瞑り子狐の腹を噛みちぎった。
『美味しいか?』
『意外と美味しい…!』
『だろ?これ、全部食べていいぞ』
『え、犬太は?』
『俺はいい。元々俺は体でかいし、ちっちゃい奴が食べた方がいいだろ。』
『ありがとう!』
〜山頂に着いて〜
『よし、着いたぞ。』
そこには小さな小屋と小さな戦う場所があった。
『待ってたぞ。犬太と…誰だ?』
犬のおじいさんが向かってきた。
『はじめまして〜』
葵は犬太の後ろから顔をひょこっと出して挨拶をした。
『俺の友達の葵。戦い初めてらしいから相手には軽い戦いにしろと言っておいて欲しい』
『うむ。まずはどっちからだ』
『俺から』
『了解だ。葵くんはそこで鑑賞するといい』
『はい…犬太、頑張って!』
『おう!ありがとうな』
少しすると小屋から男性が向かってきた。
『久しぶりだな犬太。今日はよろしく』
『おう。よろしくな透』
2人とも顔見知りなのか笑顔である。
『これより挑戦者犬太とボスである透の試合を始めるーよ〜い…始め!!』
2人とも目つきは変わり、野生がむき出ていた。
『ヴヴァ!!』
最初に襲ったのは犬太。狙ったのは足だが軽くかわされてしまった。
その後相手が走って犬太の体にのしかかった。
『ヴヴぅ…ワンワン!!』
『1!2!3!』
透は唸り声を上げて犬太の腹を噛んだ。
5回カウントして起き上がらなかったら負けというシステムだそうだ。
『キャン…っ!…ヴヴ…!!』
犬太は勢いよく起き上がると透の足を狙った。
『キャン…!!』
透は起き上がることができなかった。
『1!2!3!4!5!カンカンカン!犬太の勝利!』
『くっそ…犬太強くなったな…ハァハァ…』
『まぁな…ハァハァ…』
『悔しいけどリング、やるよ』
透はリングを犬太の首輪にかけた。
『ありがとう。いい試合だったよ』
『おう』
2人は目を見合わせて犬太は客席?に向かってきた。
『す、すごい…』
『相手は強いが弱くしてもらうように言ってある。痛かったら人間に戻るんだ。そこで試合は終わるけど痛みは少しだけ和らぐはずだ。頑張って行ってこい!』
『うん…』
葵は走って戦う場所に移動した。
『君が葵ちゃん?可愛いねぇー!戦い始めてって聞いたからかなり強さは弱めておくけど手加減しないからね?』
『は、はい…お願いします』
『それでは、挑戦者葵とボスである透の試合を始めるーよ〜い…始め!』
葵はすぐ走って透の腹に向かって走った。が、上手くかわされてしまい追い打ちに腹を狙われた。
『キャン!キャン!(痛い!痛い!)』
『ヴヴヴ…ワンワン!!』
『1!2!3!』
葵は力を振り絞って起き上がった。
そして頭は真っ白になりながらまた葵は透の足を狙って走り出した。
またかわされてしまい、腹を狙われた。
『ヴヴヴヴ!!ワンワン!!』
さっきよりも力が強く気を失いそうになった。
『痛かったら人間に戻るんだ。』
犬太の言葉を思い出し人間に戻るように体に伝えた。
体は人間の姿に戻りうずくまっていた。
『挑戦者葵は人間へ変わったためボスである透の勝ち!』
『葵!!』
客席から犬太が人間になり走ってきてくれた。
『葵…大丈夫?』
『痛い……』
葵のお腹から血が出ていた。
『おい!透!お前、葵に何した…』
『バレちゃったかぁ〜!歯に少しだけ毒塗ったんだ〜』
『何馬鹿なことしてんだよ!』
犬太は透を叩いた。
『人間に叩かれたぁ。強さを弱めておけって言われて弱くするボスなんていないでしょー?そんなに戦いは甘くないから〜』
『だとしても毒はありえないだろ!?おい、審判!相手は毒を使った。これは反則だろ』
『そうですね。反則です』
『は!?!?そんなこと聞いてねぇよ…』
『この戦いの掟には牙、爪、押しつぶす以外のもので戦うのは反則とすると書いてあります。大人しくリングを彼女に…』
『とりあえず今は俺がリングを貰う。お前は本当に最低だな。』
『最低でいいですよーだー』
透はあっかんべーとしながらリングを犬太に渡した。
犬太は葵を背負って泊まっていた洞窟に運ぶとそのまま寝かせた。
『葵…痛かったよな。この毒は明日には消える。今は痛いと思うけど我慢してくれ。』
犬太はそういうと傷口を水で洗った。




