旅立ち〜1〜
『警察とかに見つかったらすぐ逃げろよ』
『え、なんで?』
『俺らは首輪をつけてるから警察に見つかっても飼い主探すだけで済む。警察に見つかるととても厄介だ。それに乱暴に扱われる』
『首輪してないとどうなるの?』
『警察に捕まって数週間後には殺される』
『え?!』
葵は目を点にした。
『この犬は首輪をしていない=野良犬=飼い主がいないということになる。そうしたらそんな犬もうこの世には必要無いだろ』
犬太は当たり前だろと言わんばかりの口調で言い放った。
『そんな…』
『その必要のない犬はなんてところに連れていかれるんだったかな…名前は忘れてしまったが捨てられた犬がたくさんいるところに連れていかれる。そこで数週間飼われるんだ。そこまではいいんだが数週間後、別室に移されて猛毒を吸わされて殺されるんだ』
『嫌な話だなぁ…なんで私達をそんなふうにするんだろう…』
『元々ここは、人間が住む場所だ。犬とか猫はいらないっていう悪い人間の考えだろ…よし森の中に入るぞ』
気づけば森の入口に来ていた。
『物騒だなぁ…』
『ここの頂上が最初のボスだ…葵?』
犬太が振り向くと葵の姿は無かった。
『葵!?葵!!』
『犬太!!!』
後ろから犬太を呼ぶ声が聞こえた。
犬太は匂いを嗅ぎながら走って葵を追った。追った先には違う路地裏に大きな犬に囲まれた葵の姿があった。
大きな犬達はヴヴゥと威嚇しながら葵に襲いかかろうとしたその時
『わんわんわん!!』
低い怒った鳴き声が路地裏に響いた。
その途端、犬太は走ってきて犬達に襲いかかった。
『ヴヴヴゥ』
犬太は犬達の体を噛んだ。
『犬太…?』
犬太の目は獲物を確保した野生の目だった。
『キャン…キャンウゥ…』
犬達は走って逃げていった。
『犬太…大丈夫?』
『あぁ、俺は大丈夫だ。葵は大丈夫か…?』
『うん…でも犬太の足…』
犬太の足はさっきの犬に噛まれてしまったのか傷ができていた。
『気にするな。こんなの時間が経てば治るだろう』
犬太は優しかった。最初はクールでイイヤツだとは思えなかったけどすごく優しかった。
『犬太強いんだね』
森の山頂を目指すため森を上がっている時葵が思ったことがつい言葉に出てしまった。
『あんなの俺もまだ弱いし、相手も弱い。あ、葵も練習しなきゃだな』
『ど、どうすればいいのかな…』
葵は『ワンワン!』と可愛らしい鳴き声を犬太に見せた。
『どう…?』
『どうってwww もっと低い声で吠えられないのか?ww』
『ん、んんぅ…。わん!!わんわん!!!』
『さっきよりはいいと思うが腹に力こめて吠えてみろ』
『わん!わんわん!…ゲホッ…ゲホゲホっ…』
『おいおい大丈夫か?』
『ちょっと…できないみたい…ゲホゲホっ』
『戦いに鳴き声はあんまり関係ないけどな。』
『噛み付くのは?』
『噛み付くのなんて簡単だろ。バッて向って足か腹を狙う。最も効きやすいのは尻尾だが狙うのが難しい。ひょこひょこ動いてるもんだからな』
犬太は尻尾を振った。
『怖いなぁ…』
『お前がやってる時は俺がお前の試合を見てる。安心しろ。』
『やっぱり噛まれたら痛い…?』
『そりゃぁなぁ。』
『うぅ…』
『痛くても諦めるなよ?頑張って立ち上がるんだ。どうしてもムリだったらしょうがないけど…もう夜遅いな。泊まるところを探そう』
『野宿?』
『あぁっていいところ見っけー』
犬太は洞窟を見つけた。




