旅立ち
家に帰ると葵は早速支度をした。
『うーん。支度といっても持ってくものないんだよなぁ。』
前に飼っていた犬の首輪はあったもののデザインは葵の好むようなものではない、紫色の水玉模様だった。
『あ、犬太から電話…はーい葵です』
『葵ー?準備できた〜?俺はもうバッチリだよっ!!!』
人間になると犬太は人が変わったようにチャラくなる。
『あーうん!私もバッチリかな?』
『良かった〜!じゃあ、けっこう早く準備終っちゃったから7時に路地裏ね〜!バイバーイ』
『あ!え!?……もう…』
電話は切られてしまった。
『首輪はポケットに…』
『葵ー?ご飯できたわよー』
『うわ…タイミング悪いよ…』
葵は階段を降りてリビングに向かった。
『お母さん?あの、今からコンビニ行きたいんだけど…』
『え?なんで?ご飯だよ?』
『いや、わかってるけど…。その…あ!野球部の人達に渡す差し入れ買わなきゃいけないんだ!明日の練習のとき!だから…その…ね?』
『女の子1人じゃ心配だわ…ママも一緒に行く』
『え!?いいよ!私もう高校生だよ?!夜中とかじゃないんだし…』
『夜に出回るなんて悪い男の人がいたらどうするのよ…』
『逃げるよ!お願い!ご飯先食べてていいから!』
『うーん…早く帰ってきてね』
『ありがとう!じゃあ行ってきます!』
『はーい!気をつけてね!』
『(お母さん、今までありがとう)』
葵は走って路地裏に向かった。
『犬太ー?』
『ここだ』
『わぁ!あ、もう犬になってたんだね…』
葵は犬に変身した。
『よし、首輪付けろ』
『ど、どうやって付けるの…』
葵は首輪をつけようとするが上手く付けられず手が滑ってしまう。
『バカか。やったことないのか?俺がやってやるよ』
『あ、ありがとう。ないよ!犬で出回るなんて年に1回かないかくらいだよ…』
『じゃあ、戦いもしたことないんだな』
『もちろん!…ってえ!私も戦うの?!?』
『当たり前だろ。リングは1人で戦って勝っても1個しか貰えないんだぞ?』
『そんなぁ…』
葵はガックリと落ち込んだ。
『よし、行くぞ』
『うん!』
葵と犬太は歩きだした。




