赤ちゃん
それから葵は少しの陣痛でも泣くようになり、犬太と喧嘩することもあった。
ある冬の朝
『……!』
葵の体は全身の力が抜けて、倒れると同時に今までにない腹痛が襲った。
『葵……………!?』
犬太がいつものように駆けつけると犬太はいつもと違うと察した。
『葵!?』
『ダメ…犬太は仕事……行って……!』
『仕事なんて行ってる場合じゃないだろ…!』
『私は大丈夫だから!!…行って……!』
葵は『う…うぁ…』と言いながら犬太に叫んだ。
『バカ野郎!何言ってんだよ…』
犬太は葵を抱き上げると車の鍵を持って葵を車に乗せると救急の病院に向かった。
『犬太…仕事……』
葵は頭が真っ白になり自分でも何を言っているのかわからなかった。
『もう……産まれる…かも』
『え!?!?』
犬太は驚きが隠せず大声を出してしまった。
『もうすぐ着くから頑張れ!!』
『ん……』
病院に着くと葵はすぐ運ばれて行った。
犬太は待合室でそわそわしていた。
『(葵……大丈夫かな……)』
葵の体は他の女性と比べると小柄で出産は難しく、葵の体の負担が大きいと話していた。
『(あんなちっちゃい体で1人の赤ちゃんを腹に入れてるんだもんな…。そりゃあ痛いだろ…)』
犬太も想像するだけでお腹が痛かった。
それから4時間後
『………!』
遠くから元気な産声が聞こえた。
『東山です…あの…赤ちゃんは…』
『はい。元気な女の子ですよ』
助産師さんはにっこり笑った。
『女の子……』
嬉しさのあまり顔が赤くなる。
『奥様と娘さんはあちらの病室にいますよ』
助産師さんが指す方に犬太はドキドキしながら走った。
ガラガラ!!
『あお…い…』
そこには子どもを抱き抱えてる葵がいた。
『女の子』
葵は嬉しそうに言った。
犬太はそろ〜っと赤ちゃんに近づいた。
『小さいな…』
『赤ちゃんだもん。これでも3600gなんだって。健康な体重らしいよ』
葵は赤ちゃんを隣の小さなベッドに移した。
『葵…』
『ん?』
『本当にありがとう…!!』
犬太は葵は抱きしめた。
『え、え……!?』
『俺今すっごい幸せ。葵頑張ってくれてありがとう。』
『うん……これからは子育て頑張ろうね』
『もちろん!…ていうか名前どうする…?』
『私、美桜がいいな。美しい桜って素敵じゃない?』
『産まれたの冬だよ?』
『いいの!産まれた季節と名前は関係ないんだから!!』
『まぁw確かに、美桜って名前可愛いかも』
『じゃあ…美桜にする…?』
『おう!美桜〜』
犬太は美桜をゆっくり持ち上げて抱っこした。
『美桜はパパとママどっち先に呼ぶのかな?』
『もちろんパパだろ!なぁ美桜?』
『違う!絶対先にママって言う!だって女の子だよ?ママって先に言うよ!』
『パパの方が言いやすいよなぁ?』
『ママの方が言いやすいに決まってるじゃん!』
『……パパとママって言えば平和なんじゃ…』
葵は『確かに』と言って笑った。




