事故
午前7時。
『………』
ベッドから起き上がって2分が経っただろうか。制服のままで寝ていたなんて母親が知ったら怒られるだろう。
葵はようやくベッドから抜け出し、部屋を出て階段を降りた。
『おい!帰れって!!』
玄関で犬太が誰かを帰らせようとしていた。
『犬太…?』
葵は玄関に向かうとそこにはモデルのような綺麗な体型で顔もモデル並に綺麗な女性がいた。
『え……?』
葵は理解ができずそこでただ呆然と立っているだけだった。
『あらぁ、可愛い女の子がいるじゃなーい。だーれ?』
『俺の彼女!早く出て行け…』
犬太はその女性の肩を押して外に出そうとしていた。
『彼女!?なんで…犬太と私はハニーとダーリンっていう関係でしょ?』
『ハニーと……ダーリン…?』
葵はその言葉を小さく呟いた。
『違う!!なんだよ!お前と付き合った覚えもないし好きになった覚えもねーよ!』
『犬太〜好きだよ〜〜大好き〜〜〜』
女性は犬太にハグをした。
『え………』
葵は衝撃のあまり両手で口を塞いだ。
『離れろよ!!……お前本当なんなんだよ…』
犬太は息を切らしながら女性に言った。
女性は葵に視線を向けると睨むように言った。
『あなた。犬太の彼女とかなんとか言われて浮ついてんじゃないわよ!犬太は私のダーリンなんだから!小さい頃から犬太のことを知ってるのは私なの!あなたみたいな普通な人と犬太が真面目に付き合うわけないでしょ〜?』
『おい!なに言ってんだよ!!嘘言うな!早く帰れ…』
犬太は女性を押し出すとそのまま外に出ていってしまった。
『(真面目に…付き合うわけない……)』
女性の言う通りかもしれない。
『(犬太はカッコイイし、優しいし、運動神経いいし……)』
葵は犬太に昨日言われたことが蘇る。
『(私のこと魅力的な女性って言ったの嘘だったのかな……)』
ポジティブに考えようと思っても難しくてネガティブに考えてしまう。
葵はたくさんの汗をかいて心臓がドキドキしているのがわかった。
ガチャ…
扉が開くと犬太が『はぁ』とため息をついて入ってきた。
『葵、ごめん。今のは気にしないで』
『気にするよ』
葵は顔を下に下げて声が震えた。
『(ダメ…泣いちゃダメ…)』
葵は自分に言いかけた。
『今のは俺のいとこなんだ。昔から「結婚する」とか言われてたけど俺、あいつに興味無いし…だから誤解すようなことしてごめん』
『私なんかよりもあの人と付き合った方がいいんじゃない…?』
『え…』
『ごめん、もう帰る』
葵は玄関に置いたリュックを取ると犬太を横通りして家から出て行った。
『(違うよ。なにしてるの私。逃げちゃダメ。戻らなきゃ)』
そう心の中で言っても足と体は止まってくれない。
葵は頭が真っ白になると信号を渡っていた。
気づいた時には、信号は赤だった。
キキィーーー!!
なにか大きいものが葵の体に勢いよく当たって葵の体は投げ出されると地面に叩きつけられて地面の上で転がった。
血の匂いがした。体が痛い。息をするのが苦しい。
『大丈夫ですか?!』『誰か救急車呼んで!』いろんな人の声がする。叫んでる人もいる。泣いてる子供もいる。
『(もう…ダメだ…)』
そのまま葵は目を閉じた。
恋友の愛に似てきた…()




