結婚まで
気づけばそこはもうボス戦だった。
工事現場の裏側を利用したコートで戦うことになっている。
『やっほ〜犬太くん!後ろにいる子はだーれ?』
向かい側から女の犬が元気よく駆けつけてきた。
『久しぶりだな栞。後ろにいるのは葵』
『初めまして!葵です…』
『やっほ〜!葵ちゃん!リングは…1つ持ってるって事は戦いは経験済みだね〜?オレンジ色のリングって事は〜透くんか!透くんズルしてなかった〜?』
『あいつ、葵に毒使ったんだよ…反則負けで葵の勝ちになったんだ』
犬太は『やれやれ』と続けて言った。
『そうなの!?私も初めて透くんと戦ったとき毒使われたよ〜。でも歯の色が違うって見極めたから噛まれはしなかったけどね!』
『女の人には毒を使うんですかね…?』
『そうだね〜。女の子いじるの大好きだから仕方ないよ〜。ってお2人は戦いに来たんだよね?私は容赦しないよ〜?』
栞は『ワンワお〜ん』と遠吠えをあげた。
『葵、先に出てみるか?』
『上手くできるかな…』
『大丈夫。負けたって挑戦すればいいんだよ。栞は根が優しいってさっきも言っただろ?だから殺したりはしない。毒も使わない。透が少しやりすぎただけだ。俺を守ろうとしてくれただろ?その調子でいけば勝てる。頑張れ』
『うん…』
葵は重い足を動かしてコートに向かった。
『それでは挑戦者葵とボスである栞の対戦を行う!よ〜い…始め!』
最初に向かったのは栞。栞は葵の尻尾を目がけて飛んできた。
葵は避けて栞に飛びついた。
『ワンワン!!』
栞は吠えるが動かない。
葵はチャンスを狙って尻尾を噛んだ。
『キャン!!』
『1!2!3!4!5!勝者葵!!』
『うっわぁぁ…負けちゃったよぉ…』
『勝った……』
『葵!すげーじゃん!!勝ったんだよ!』
『やったぁ!!初めて勝てた…!』
『あーもう!悔しいけどリングあげる!』
栞はポケットからピンク色のリングを取り出した。
『次は俺だな…』
『犬太くんか〜。ちょっとレベルあげようかな?』
『お好きにどうぞ』
『それでは挑戦者犬太とボスである栞の対戦を行う!よ〜い…始め!』
最初に向かったのは犬太。狙ったのは腹部だった。
『キャン!』
『1!2!』
その途端、栞は起き上がり犬太の腹部を狙った。
『1!2!3!』
犬太は力を振り絞り、立ち上がると2人は一旦後ろに下がった。
『犬太くん!最初会ったときよりも強くなったね〜!いいんじゃなーい?』
『栞も強くなったな!!でもまだまだこれから!!』
犬太が走って栞の腹部を狙おうとしたが尻尾を狙った。
『嘘!?』
栞は驚きのあまり身動きが取れなかった。
『1!2!3!4!5!勝者犬太!!』
『んあ〜!もう!みんな強いよ〜』
『栞、強くなったな…。びっくりした。』
『たくさん練習したもん!しょうがないからリングあーげーる!』
栞は犬太にリングを渡した。
『あ、そうだ!勝ったお祝いにご飯ごちそうするよー!』
『え!いいんですか!?』
『葵ちゃん可愛いし、犬太くんも強いしいいかなーって!葵ちゃんともたくさん話したいし!女子トークしよ?』
『女子…トーク…!!』
葵は久しぶりに女子と話すため心が動いた。
『すっげーな…』
目の前に並べられたのはたくさんの料理だった。
『執事が作ってくれたからたーくさん食べてね〜!!美味しいんだよ〜』
『いただっきまーす!』
葵は『美味しい美味しい!』と頬張っていた。
『ふぅ…ごちそう様でした〜』
『たくさん食べてくれて嬉しい〜!葵ちゃん一緒に私の部屋で女子トークしよー?』
『はい!…って犬太は?』
『犬太くんも一緒にお話する?』
『俺もいいの?』
『うん!もちろん!一緒に話そう!よーし!じゃあ部屋に来て〜』
人間になれるという栞は人間に変身し、全員変身した。
栞はポニーテールの髪型でお姉さんのような外見だった。
『思ったんだけどさ〜犬太くんと葵ちゃんってお付き合いしてるの〜?』
『え!?!?』
最初に反応したのは葵だった。恥ずかしくて『え〜と』とか『あの〜』とかしか反応ができなかった。
『おう!俺の彼女!!』
犬太はニコニコして葵の肩を持ってグイッと犬太に近寄らせた。
『………!!///』
『フーフー!いいねー!葵ちゃん可愛いもんね〜!犬太くん!葵ちゃんのこと幸せにしてあげてね!もし、葵ちゃんのこと幸せにできないなら私が叱りに行くから!』
栞は胸を叩いて『えっへん!』と言い張った。
『当たり前だろーが!幸せにさせるのが俺の役目なんだから!…な?葵?』
犬太は葵のことを見てニコッと笑った。
『う…うん…!』
『リア充話はここまでにして…お2人は何歳なの?』
『俺も葵も16』
『わかーい!私20歳なの〜!』
『え!見えないです…』
『嘘〜!嬉しい〜』
栞は自分の頬を手でスリスリしていた。
『あ、また恋愛の話になっちゃうんだけどお2人は結婚する予定?』
『『え!?!?』』
これはさすがに2人もびっくりして戸惑った。
『あはははっ!2人とも可愛い〜!』
『そ、そんな急に言われたらびっくりするに決まってんだろ!!』
犬太は顔を赤くして反論した。葵も恥ずかしくて顔を下に下げた。
『葵ちゃんはー?』
『わ、私ですか!?!?』
声を裏返したがそんなことより質問の内容のほうが恥ずかしくて何も言えなかった。
『犬太は葵ちゃんだーいすきみたいだけど、葵ちゃんの愛情表現見てないな〜』
『愛情表現なんて見せるもんじゃないだろ…』
『葵ちゃんは犬太と結婚したいー?』
葵は犬太の顔を見るが犬太は顔を赤くしてそっぽ向いてしまっている。
『私は……わ、私は…犬太のこと大好きだし…結婚できれば…したい…です…』
『ひゃぁぁぁぁぁ!!可愛いーー!葵ちゃんかわいいーー!犬太聞いた!?ねぇ!今、プロポーズされてたよ!?犬太はどうなの!?』
『俺も葵のこと大好き…結婚したいけど…』
『はーーーい!わかりましたわかりました!!結婚式呼んでねー!』
『でも!まだ結婚するって決まったわけじゃないですから!まだ…もう少しだけ一緒に彼女彼氏としていたいなぁって…』
『俺も!俺もそういうことなんだよ…』
『ふーーん!結婚するってなったら呼んでよ?』
『わかりました…』




