人物設定
本編のネタバレを含みます。
こちらを先に読む方はご注意ください。
◇モニカ・クライトン
男爵令嬢。領地視察の一行の中にいたアンディと名乗る男と親しくなる。高位の貴族ではないかと予想していたが、「大した家ではない」という言葉を信じていた。視察団が帰る時アンディに「一緒に王都に来ないか」と誘われ、両親の反対を振り切って王都へ。
アンディが第二王子アンドレアと知ったのは王都に着いた後。とんでもないことをしてしまったと別れを考えるが、「なんとかする」「婚約者との関係は形式的なもの」「俺は君を選ぶ」というアンドレアの言葉を信じてしまった。以来、悪いことと知りながらもアンドレアとの関係を切ることも、喧嘩別れした両親のもとへ帰ることもできず、アンドレアに縋るしかなかった。
アンドレアとフェデリカの婚約解消後、ようやく目が覚め、アンドレアに別れを告げて両親のもとへ帰る。案の定両親には怒られ泣かれたが、両親はモニカを見捨てなかった。泣いた。
そして両親が実は…と切り出したのは、モニカが帰るより先にパレリオ侯爵家から手紙が届いていたこと。その手紙で先に事情を知っていたこと。侯爵家は「責は問わない」と手紙に書いていたが、鵜呑みにすることはできないということ。
クライトン男爵家は爵位を返上し、侯爵家への賠償を支払い、ツテを辿って他国に移住した。
新天地で平凡に平穏に暮らしたという。
◇アンドレア
第二王子。フェデリカのことは嫌いではなかったが、両親の態度や彼女自身の態度に長年鬱憤を溜めていた。アンドレアたちといるときと、ジュゼッペたちといるときとでは表情が違うことも気に入らなかった。違って当然ということにも気付かなかった。
領地視察の時、偽名と仮の身分を名乗ったままモニカと親しくなってしまい、真実を言い出せないまま半ば強引に連れ帰る。その時にはフェデリカとの婚約解消を考え、どうすればモニカと婚約できるかを真剣に考え始めていた。フェデリカが婚約者だから王宮に部屋を持っているなら、いずれ婚約者になるモニカも部屋を持っていいと考えたし、養子の件も断られることは想定していなかった。
マヌエーラの執着の果ての被害者であり、フェデリカに対しては加害者でもある。真相を知った後はモニカにも振られて軽い人間不信に陥った。
パレリオ侯爵家への賠償と再教育が済んだ後、伯爵位を貰い、王家直轄領の一部を治めることに。また、名前をアンドレイに改めた。(アンドレアは女性名としても使用されるため嫌いだったところ、真相を知りさらに自身の名前を嫌悪した)
後年、彼の傍には赤茶けた髪の女性がいたという話もある。
◇マヌエーラ
王妃。フェデリカに初恋の人の面影を重ね、アンドレアと結婚させることで自分の初恋を実らせようとした。フェデリカを幼い頃から手元に置き、自分を母親だと刷り込ませようとしたが、ジュゼッペに見破られておりうまくいかなかった。一筋縄ではいかない彼の手強さが素敵。ますます好き。
ルクレツィアのことはジュゼッペを奪った女狐だと思っている。他国王族という地位を持っていることも許せなかった。アンドレアとフェデリカの婚約を宣言した時、ようやくスカッとした。
フェデリカにもルクレツィアの血が流れていることは考えないようにしている。
フェデリカを奪われ、子どもたちの婚約も解消され、ジュゼッペとの繋がりがなくなってしまうと一気に無気力に。離宮に閉じ込められた後、ファビオに「お前はジュゼッペが好きだったのではない。ジュゼッペを好きな自分が好きだったのだ」と指摘され愕然とする。
自由に恋愛することは叶わない立場で、ジュゼッペは確かに初恋だった。しかしいつしかそれは「自由に恋愛することへの憧れと執着」に変わり果てていた。
ジュゼッペが絡まなければ国王を支える良き王妃…になっていたかもしれない。
◇ブライアン
王太子。ファビオに似たお陰でマヌエーラの企みから逃れられた。幼心に母親おかしい、とは気付いていたが、かといってどうすることもできなかった。
両親を反面教師に順当に成長し、婚約者とはよく会話し、言い争いもし、関係を育んだ。王宮内で愛妻家と有名なジュゼッペにも師事した。でも彼を真似するのは少し恥ずかしいので、ブライアンなりに頑張っている。
婚約解消騒動時、国外にいたので帰ってきたらびっくりした。そして事前にパレリオ侯爵夫人から渡されていた、同盟国への手紙の内容が気になった。何が書かれていたんだ…。
アンドレアのことは可哀想な弟だな、バカなことを仕出かす前に相談してくれればと思ったが、今更である。兄である自分が先に声をかけるべきだったと後悔しても遅い。アンドレア改めアンドレイが伯爵家を興した後は、ほどほどに気にかけるようにしている。
◇ファビオ
国王。多くのことに気付かない振りをし続けた人。ジュゼッペとは乳兄弟として育ち、一番の信頼を置いているが、同時に嫉妬の対象でもあった。マヌエーラの視線がどこを向いていたか本当は気付いており、彼女が何か仕出かしてくれることを期待していた節がある。
同盟国の使節団訪問時、その中に末姫がいることを知ってジュゼッペを対応にまわした。当時ジュゼッペに婚約者はおろか恋人もおらず、たとえ二人が恋仲にならずとも親しい素振りを見せればマヌエーラも現実を見ると思った。結果としてジュゼッペを奪われた(と思った)マヌエーラの狂気を加速させ、歪ませる原因を作ってしまった。
想定外のマヌエーラの暴走を制御できず、フェデリカには多少の罪悪感はあった。でもどうせアンドレアと結婚するのだからいいだろう、と楽観視もしていた。
アンドレアに嘘を混ぜて話したことは後悔していない。最後の親心か、保身か。
数年後、王位をブライアンに譲り、長い余生を一人で過ごした。その広い屋敷には時折、ひとりの男が訪ねていた。
◇ジュゼッペ・パレリオ
パレリオ侯爵。宰相。政略婚で結ばれた両親のもとで育ち、愛には懐疑的だった。いずれは妻を迎える必要があることを理解しながらかわし続け、ルクレツィアと出会って価値観が一変する。ジュゼッペは愛に傅かれるよりも愛に傅きたい人間だった。末娘で甘やかされ、誰かに愛されることが当然と育ってきた女王様…もとい王女ルクレツィアはまさにジュゼッペが求めた相手だった。
とんとん拍子に結婚し、娘が生まれ、息子も生まれて幸せだったのに、王家のちょっかいが入り激怒した。即座に家族を連れルクレツィアの祖国へ移る準備を進めていたが、説得という足止めを受けている間に貴族たちの前で宣言され、娘を奪われ、この国滅ぼすかとも考えた。
よってジュゼッペの苦悩と溺愛は加速し、妻に責められながらも虎視眈々と奪還の機会を狙っていた。そのためにも宰相という地位はとても都合がよかった。
フェデリカ奪還後は、表面的には王家との関係を維持し、ブライアンの治世が安定するまで陰ながら支えた。
ファビオのことはジュゼッペなりに友と思っていただけに、友情の儚さを思い知ることとなった。
◇ルクレツィア・パレリオ
侯爵夫人。同盟国の王女。甘やかされすぎて傲慢になりかけていたので、社会勉強の名目で使節団に入れられた。案内に現れたジュゼッペを一目見て、ルクレツィアの直感が「この男は自分の周囲にいる男たちと同じだ」と告げた。つまりはルクレツィアの愛を得るために惜しむものは何もないような男。どうしてこんな優良物件がフリーなのかと疑問に思ったが、この国は男性優位で女性はそれに従うものという価値観が根付いていた。
ルクレツィアはさりげなくジュゼッペの印象に残るよう振る舞い、だがそれぞれの立場は崩さず、目の前に餌をぶら下げ続け──、釣り上げた。
諦念と哀れな生贄への同情を滲ませた家族の見送りを受けて再び颯爽と王国の地を踏み、想定通り、あるいは想定以上のジュゼッペの愛情表現に大変満足している。
フェデリカが奪われた際は自身が動けば国家間の問題に発展しかねないと理解していたため、歯痒い思いをしていた。いっそ国同士の問題にすればよかったと思っている。十二年は長すぎた。
子どもたちを愛でながら夫に愛を囁かれるのが日課。
◇エドアルド・パレリオ
パレリオ侯爵家長男。自分に姉がいると聞かされても最初はピンと来なかった。だが邸宅ではない場所で描かれた肖像画の人物の雰囲気が父とそっくりだったため、真実なのだろうと思っていた。そして実際に対面した時、直感的に姉だと理解した。
たまにしか会えない姉とたくさん話をするためよく学びよく遊び、姉に褒められるたび胸があたたかくなった。初恋が姉だったと気付いたのはしばらく後のことだった。そのため、現在でも姉と話すときは態度がぎこちなくなってしまう。
人目を憚らず仲の良さを見せつける両親には少し自重して欲しいと思っている。
◇フェデリカ・パレリオ
パレリオ侯爵家長女。
婚約解消後は侯爵家で穏やかに過ごし、社交界にも参加し始めるが周囲から向けられる視線に辟易し、時機を見て母が生まれ育った国へと渡る。
その後は王国での役目を終えた父たちとも合流し、家族との穏やかな日々を過ごしている。
外見は父親似だが、内面は母親似である。
◇ビル・マニオン
ジュゼッペの第一秘書。妻子持ち。最近でき始めた娘との距離に悩む中でジュゼッペから娘息子自慢を聞かされ、「机の角に足の小指をぶつけてしまえ」と呪っていた。そしてようやく取り戻せた娘が今度は国を出るとなったときのジュゼッペの空元気を見て、さすがに同情した。
宰相を辞すと聞いた時は驚いたが肩を叩いて見送った。




