ライブ本番
自転車がパクられてて、ライブ本番に間に合わないという理由で、事前に改造していた車輪付きギターにまたがり駅に向かうという奇妙な方法で、駅に向かったカズマ。
しかし、運悪く警官に見つかってしまった。
「最悪だ」
そう思ったが、カズマは用意周到だった。
ギターには車輪だけでなく、どこかからパクった電動自転車のモーターも取り付けていた。
ライブ会場の床は平坦で、万が一思ったように走れなかったら、パフォーマンスとして成り立たない。そう思い、そこまでの準備をしていたのだ。
モーターの電源をオンにして、速度を上げてみた。
思った以上に出来は良く、カズマは警察官を撒くことに成功し、何とかリハに間に合った。
バンド仲間には、まだギターに乗って客席を走ることを相談していなかった。
リハを終え、実は今日ギターにこんな仕掛けをして来たんだけど・・と打ち明けると、メンバーから即却下された。
そりゃそうだよな。
エリクトリカルパレードじゃないんだし。
おまけに自分らのファンはディズニーとかも好きそうだし、ますます勘違いしたファンが増えてしまう可能性だってある。
危ないところだった。
ライブには合計で5バンドが出演する対バン形式で、カズマのバンドは二番目に登場する予定だった。
改造ギターは予想以上に重く、演奏の邪魔になる。そう思って、ドライバーを使って、モーターを取り外し、軽くしたギターで本番に挑もうと思った。
しかし予想以上にモーターの取り外しに時間が掛かり、カズマはまたしても焦った。
今日はなんでこんなことばかり起きるんだ?
多少、ムカつきながらもモーターは無事取り外すことができ、大慌てでステージへと向かった。
その瞬間、カズマは人前なのだから、音楽を届けなければいけないのだから。
そう思って、自分の中でスイッチを切り替え、演奏に集中しようとした。
余計なことを考える暇がなかったということもあってか、いつにも増して集中し、ベースとドラムの音だけを聞きながら必死に歌い、演奏した。
客席のことは見えてなかった。
その時、カズマは不思議な感覚に襲われた。
音楽は鳴り続けてるはずなのに、時間が止まったような気がした。
いつのまにかライブは終わっていた。




