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ライブ開始前

お題が「ギター」で、そこから考えて書いた小説です。

久馬カズマは今日のライブに備え、ギターの弦を張り替えていた。


高校時代から軽音部でバンドを始めたカズマは、両親には東京の大学に通うという口実で上京。


東京では、親に内緒でバンド生活の日々に明け暮れていた。


中学の時に、たまたま目に留まったバンドのライブ映像。そのバンドが演奏する曲がいつのまにか頭の中で永遠とリピートされるようになり、気付けば ギターを始め、没入し。憧れの存在に近づきたくて、バンドをやろうと軽音部に入部。その頃から一部の客やバンド仲間からの反応もまあまああって。一度切りの人生なのだから。


そう思っての上京だった。


上京してからのバンド活動も、なかなか順調ではあった。活動一年でキャパ100人程度の箱ならなんとか埋まる程度になっていた。


しかし、カズマは次第に違和感を覚えるようになった。


バンド活動も二年目をむかえ、少し大きめのハコでライブをするようになってから、客席にうちわやサイリウムを持つ女性ファンが目立つようになった。


「彼女らが聴きに来ているのは、本当に音楽なのだろうか?」


そう思ったがある程度、ファンの期待に応えるのもプロ。


そして彼女たちの耳に自分たちの音楽が届かないのは、自分らの技量不足のせいでもある。


そんなことを考えながら、無心に弦を張り替えるうちに、いつのまにかライブハウスへの入り時間まで2時間前である午後1時になっていた。


カズマは急いで弦を張り、ギターをケースへとしまい、アパートの自転車置き場へと早足で向かった。


そこで気付いた。


チャリがパクられていることに。



リハの開始時間は、午後3時。


あと1時間半しか無い。


移動の時間を考えると、駅まで歩くととてもじゃないが間に合わない。


タクシーを拾うことも考えたが、そんな金はない。


走るしかないのか?


そこでカズマは思い付いた。


手先が器用なカズマは、自分のギターを色々と改造していた。


そして、この日は顔ばかり見に来るファンの注意を顔以外に逸そうと、特別な仕掛けをギターに施していた。


かつて有名なギタリストは、歯でギターを弾いたり、燃やしたり、破壊したり。


ライブとは音楽を聴かせる場ではあるものの、盛り上げるためのパフォーマンスも大事。


そのように考え、何かインパクトのある仕掛けが出来ないかと考えていた。


そこで、ギターに車輪を付け、ドラムとベースのソロ演奏の時に、ギターを客席に投げ、そのギターに乗り、縦横無尽に走りまわるのはどうだろう?


というアイディアを思い付いて、自作でギターの背面に車輪を取り付けていた。


どうせライブで乗ることになる訳だし・・。


カズマのアパートはちょうど坂の上。


しかも坂は急角度なので、この手しか無いと思い、いったん閉まったギターをケースから再び取り出し、またがって駅へと向かった。


雪山の上からソリで滑る要領でギターに乗って駅に向かい。それは思った以上にスピードが出て、いい感じだとカズマは思った。


しかし、背後からやけに大きな声がし、振り向くと警察官が走って追いかけて来る姿が見えた。


最悪だ。


そう思ったが、カズマには秘策があった。




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― 新着の感想 ―
それなりに人気あるギタリストの無茶なギターマシンvsポリ公……。 これ、演奏会まにあっても、おじゃんの流れ?
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