第8話 来訪者パート④
次の日、俺は河原に行った。いつも昼飯を食べてる場所とはかなり離れた場所。
あいつらと鉢合わせても気まずいだけだからな。
特に目的は無い。
ただ、考えていた。
俺がやろうとしていることは、一体なんなんだ・・・?
罪悪感を消すために、罪悪感が増えることをやっている。
・・・この苦しみは、本当に消えるのか?
考える。
ずさーっと川は流れている。
川は何も考えない。ただ地形に沿って流れていく。
羨ましいよ。川。
ぼんやりしていると、気がついたら夕方になっていた。
流石にもう帰ろうかと思い、立ち上がり、振り向くと、誰かが居た。
暗くて良く見えない。
いや、MCだ。江無紫蘭。
MCが一人でそこに立っていた。
一十「よぉ、なんか用か。」
MC「まさかお前もとは思わなかったぜ。ベルゼブブ、出てこい。」
MCの体から、何かが出てくる。
薄暗く、赤い空の下。何かが居た。
銀の髪、緑色の目、黄色い肌。緑色の宝石を身につけ、地に足をつけること無く浮いている。
いや、つまり、嘘だろ。
俺の体から、マスターメビウスが飛び出す。
メビウス「これは、これは、ベルゼブブじゃないか。それと契約したんだな。」
ベルゼブブ「・・・メビウス。」
二匹の悪魔が殺気を飛ばす。
それだけで周りの気温が10度は下がったような気がした。
悪魔は一言だけ発すると、霧のように消えた。
コイツらは本当に恐ろしい存在なんだ。それを思い知らされた。
そして俺は、この状況を飲み込むのに、時間がかかっている。
MC「見ての通り、俺は七祭に参加する一人だ。」
一十「・・・なぜだ。」
MC「なぜ?叶えたい願いがあるからさ。」
一十「殺し合いをしてでもか。」
MC「それはお前もだろ?」
その通りだ。
しかし、それは、友達と殺し合いをするとは、思っても居なかった。
考えもしなかった。そんなことになるとは思わなかった。
いや、言われてみれば、その可能性だって当然ある。
あるけど、七人の中に友だちがいるなんて、どんな確率なんだよ。
悪魔、ああ、悪魔と関わるのはこういうことか。
心の奥底で理解した。悪魔の恐ろしさを。
MC「俺はよぉ、この街を消してぇんだ。全部。全部だ。」
一十「なんでだよ。学校もか。あいつらもか。」
MC「・・・俺は、学校は嫌いじゃ無い。あいつらも好きだよ。お前もな。」
一十「お前、確か、お母さんが・・・」
MC「・・・そうだ。俺の母親は、この街に殺された。」
一十「それは、逆恨みだろう。」
MC「そうなんだよ。わかってる。わかってんだ。この感情に正当性は無いって。
それがわかってるから、俺は今までふつーに生きてきた。でもな、悪魔がやってきて、
出来るって言うんだよ。この街全てを燃やし尽くすことが出来るって。
そんで俺は、・・・契約したのさ。悪魔と。この街を燃やすために。」
一十「あいつらもか、つる、AK、のの、」
MC「・・・ああ。そうだ。そういうことだから。戦うことになったら、お前は殺すぜ。容赦なくな。」
一十「・・・」
MCはそう言って、帰っていった。
俺は、・・・動けなかった。何も言えなかった。
言う資格もない。
同じだ。同じ事をやろうとしているんだから。
気がつくと、夕暮れは終わり、夜になっていた。




