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第48話  血が尽きるまで傷つけ合う二人


爆音、爆熱、衝撃、


俺は、それを、結晶化する。


光を結晶化する力で、爆発そのものを結晶化する。


紫蘭との戦いで、散々炎を喰らったんだ。


この程度、怯まない。


俺は結晶化した爆発を足場に、グラフに向かって飛ぶ。


そして、結晶化した剣で、胸を袈裟斬りに切り裂いた。


浅い。切断できていない。血は吹き出してはいるが。


手応えが、浅い。


重力だ。グラフを中心に、恐らく、放射状に重力を放出し、俺の勢いを殺したのだろう。


その結果、ほんの少し、距離が生まれ、致命傷を避けた。


厄介だ。厄介な能力だ。


グラフがこちらに手を向ける。


その瞬間、俺の体はギュッと、なにかに押し付けられる。


これは・・・俺を中心に、重力を発生させてるのか。


「重力、1000倍。」


グラフがそうつぶやくと、俺の体は、バキバキと潰れ始めた。


最初の攻撃の10倍。いくら悪魔と合体して超人になってるとは言え、これはヤバい。


「この力は、あまり加減を間違えると、ブラックホールが生まれて、世界が滅んでしまうからな。


だが、お前に手加減をしていては、私が死ぬことになることが良くわかった。


全力で、お前を、殺そう。」


グラフがそう言うと、さらに力を強める。


俺は、全身から血を吹き出していた。


骨は折れ、折れた骨が肉に刺さり、血管を傷つけ、血が吹き出す。


「死んで・・・たまるかッ。」


俺はグラフの背後に光の結晶のトゲを作り出す。


俺に向かって重力が働くなら、グラフにトゲが当たる構図だ。


が、グラフは、最初のように力を解除しない。


飛んでくる棘に、そのまま当たった。


「ぐっ・・・」


グラフは血を吐く。


明らかに体を貫通している。


だが、力を解除しない。


「勝負だ。一角十馬。」


また一つ、俺の骨が折れた。恐らく鎖骨だ。死ぬほど痛い。


俺は幾つもの光の結晶の棘を作り出す。


それは俺に向かって飛ぶ。そして俺の前にいるグラフに当たり、突き刺さる。


グラフは血を吐くが、力を解除しない。


俺はさらに血を吹き出す。


最悪の我慢比べ。


最悪だ。どちらかの心臓が止まるまで、お互いを殺し続ける。


地獄だ。


「グラフゥ!!」


「十馬ァ!!」


グサ、グサ、グサ、


バキ、ボキ、ベキ、


お互い、空中に浮いたまま、血を吹き出し続ける。


見えはしないが、恐らく地面には、血の水たまりが出来ているだろう。


血だらけのハリネズミみたいになっているグラフ。


恐らく俺は絞られた雑巾みてーになっている。


なんて最悪の戦いなんだ。


挿絵(By みてみん)


だが、分が悪いのは俺の方だな。


俺は、もう、意識が限界だ。


骨折によるショック症状、血管の損傷、体内に溢れた血の圧迫による呼吸困難。


ああもう、何も見ぇねぇ。景色が、灰色だ。


色がねぇし、音も聞こえねぇ。


冷たい、俺の体が。


力も入らねぇ。


その時、ふと思った。



俺は・・・何をしている?


願いを叶えるために、


この罪悪感を消すために、


友を殺した。


男を殺した。


女を殺した。


子供を殺した。


そして今、俺が殺されようとしている。


俺は、・・・何をしている?


悪魔と契約したのが間違いだったのか?


悪魔に願いを叶えてもらおうとしたのが間違いだったのか?


俺は・・・





その時、俺は、マスターメビウスの「お前は、本当に、頭が悪いな。」という言葉を思い出した。



紫蘭、ガラス、ミラー、つる、カロン・・・



・・・なにか、・・・そうか。


なら、そうか。



挿絵(By みてみん)




俺は、グラフの重力から抜け出し、この手で、グラフの胸を貫いた。


「何・・・どうやって・・・いや、光・・・光を・・・」


グラフは血を吐きながら、そうつぶやいた。



そうだ。


俺は、自分の体を、光に、変換した。


光は、重力の影響を受けない。


光の物質化の逆。


物質の光化だ。


俺は、俺自身を、光という“状態”に、変換した。


それは、カロンが行っていたことだった。


自らを雷に変換していた。アレを、自分の体で行ったのだ。



俺はグラフの体から手を抜き取る。


同時に、胸からも血がどろりと溢れ出す。


俺とグラフは、ゆっくりと地面に落ちていった。





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