第41話 私の名はカロン
あたしの名はカロン。名前は自分で考えた。元の名前から、最も離れた音を使った。
アタシは虐待サれてた。理由は今でもわからない。
母親が再婚した男に、殴られた。蹴られた。怒鳴られた。学校も行かせてもらえなかった。
クソババァは私を助けなかった。毎日が怯えて、苦しくて、怖かった。
だけど、一番嫌だったのは、このクソ親達が、私に優しくしてくれる時だった。
誕生日を祝い、美味しいものを食べさせてくれ、服や靴、おもちゃを買ってくれるときもあった。
それが一番苦しかった。
どうして?どうして優しく出来るのに、家では、私を殴るの?
本当はいい人なの?私を愛しているの?
わからない。考えるたびに頭がぐちゃぐちゃになる。
ある日、私は、親に反抗した。いつものように私を殴っていた父親。理由は、あたしの目が気に入らないとかだった気がする。
私は、テーブルに置いてあったビール瓶でクソ親父の頭を思いっきりぶん殴った。
その時、アタシは10才。体も大きくなって、反撃する力があった。
親父は私の首を両手で掴んだ。怒鳴りながら。アタシは気を失った。
目が覚めると、夜だった。親は寝ていた。
アタシは、このままじゃ殺される。そう思い、台所の包丁を取り、二人の首を切った。
ためらいはなかった。罪悪感も無かった。そうしなければ私は殺される。と確信があった。
面白かったのは、死ぬ時、クソ親は、血が吹き出す首を抑えながら、アタシを見て、「どうして」と言った。
その瞬間、全身の神経がぞわぞわした。頭が爆発した。
アタシは、産まれて初めて、怒った。
クソババアも、クソ親父も、両方、包丁が折れるまで、刺し続けた。
ふざけるな。一体、誰が、誰のせいで、何をしてきたか、何をしようとしているか、
手が痺れる。血で滑る。心臓が痛い。頭が痺れる。目が痛い。そして、開放された。という清々しさ。
その日だ。アタシの所に悪魔が来たのは。
悪魔の名はアスタロト。あいつは言った。私の願いを叶えてやる。6人の人間を殺せれば。
アタシはノッた。
願いは、自由になること。自由。誰にも殴られない。誰にも殺されない。
誰にも。
だが、コイツは、一角十馬は、私を見ている。
見下したり、軽蔑したりするような目じゃない。
アタシを殺しに来ているが、それは、恨みとか、憎しみとかじゃない。
真剣な目で私を見ている。
なんだ。なんでこんなに、いい気分なんだ。
私を見ている、コイツは。




