第32話 決着
右手で、この手でぶん殴る。
二人は手を前に出し、受け止めようとする。
それが見えたのはほんの一瞬だった。
視界が全て真っ白になる。
二人がどうなったか全く見えない。
周りがどうなってるか全く見えない。
音も聞こえない。
完全なる無。
それでも、私は力を弱めない。
全部だ。全部を出す。全てをぶつける。
十馬が私を頼ってくれなかった悔しさも、
あんなに良い歌を作るのに、人を殺してしまうミラーへの怒りも、
心にあるものを全部力に乗せる。
「こんの・・・バカああああああああーーーーーーーーーーーー!!!」
私の力を出し尽くすと、光は消え、周りが見えるようになる。
「はぁ・・・はぁ・・・」
疲労感が凄い、私は思わず、地面に膝をつく。
「もう・・・うごけない~!!・・・」
手をつき、四つん這いになる。
その時、私の体から、四人の天使が、にゅっと飛び出してくる。
そして、四人が私の周りに、うつ伏せに倒れた。
「・・・大丈夫・・・?はぁ・・・はぁ・・・」
私が聞いても、四人はピクリとも動かない。
力を使い切ったんだろう。
私が顔を上げると、地平線に、穴が開いていた。
私の攻撃が、地面に水平に出来た大きな穴がどこまでも続いている。
そして、その穴の向こうに、花が見えた。
それは、巨大な、水晶の結晶のような半透明の花びらと、
金属でできた、銀の花びら。
あれを見た時、ああ、私は負けた。と思った。
二人で、力を合わせて、受け切った。その証。
負けたよ。君たちには。
例え、この後、殺し合うとしても、殺されるとしても、
二人で協力するほどに、願いを叶えたい。
そこまで、本当に、そこまで願いを叶えたいんだ。
わかったよ。十馬。ミラー。私は、諦める。
でも、私は、君たちの、それには、ついていけない。
・・・さようなら。私の友達。
さようなら。




