第30話 友達と戦おう。
「私は四大天使に力を貸してもらって、悪魔を消しに来たのよ。」
私がそう言うと、一十の体から、にょきにょきと、悪魔が飛び出してきた。
アモン「ふざけるな!!何、四大天使全員で来てんだよ!!邪魔すんじゃねぇ!!」
ベルゼブブ「・・・死ね。」
マスターメビウス「天使の登場か、面白くていいじゃないか。」
ミラーの体からも、悪魔が飛び出してきた。
ミノタウロス「流石に四大天使全員はキツいねー。一人にしてくんない?」
リリス「久しぶりだね。何年ぶりか、相変わらず嫌な時に出てくるね。」
リリスがそう言うと、ポロロンとウクレレを弾く。
すごい、悪魔たちがギャーギャーいってる。やっぱり天使と仲悪いんだ・・・と思った。
私の体の中からも、天使がシュッっと飛び出す。
ミカエル「本来ならこの手で貴様らを完全に消滅させたいのだが、それをしないだけでもありがたいと思え。死ね。」
ウリエル「・・・死ね。」
ラファエル「文句があるなら勝ちゃいいだろ。バーカバーカ。死ね。」
ガブリエル「今回、手を貸すのはこの鷹宮つる、一人だけだ。死ね。」
ベルゼブブ「一角十馬。勝たなきゃ殺すからな。」
銀色の髪の悪魔がそう言うと、他の悪魔はそれぞれの体に入って行った。
それを見た後、天使たちも私の体の中に戻っていった。
・・・ほんの少しの静寂。
あまりの出来事に、現状を飲み込むのに、そこにいる三人が同じ時間止まった。
天使、悪魔、広がる荒野。あまりにも非現実的すぎる。
現状を飲み込めた一十から、口を開く。
一十「・・・お前が、天使を連れてくるとは、驚きだよ。」
ミラー「つる、貴方がまさか天使と契約したとはね。」
ボロボロの泥だらけのふらふらの二人が、私に向かって、戦う姿勢を取る。
私は、ドキッとした。
そう、私は二人を邪魔しに来た。邪魔者だ。
けど、今まで敵対してた二人が、なんの打ち合わせもなく、私を目標に定めた。
怖い。
つる「・・・私は、貴方たちが好きだよ。一十も、ミラーも。だから人殺しなんてしてほしくない。」
それを聞いた一十は、固まった。息を止めて、汗を流している。
一十「・・・そうだな。お前が、正しいよ。でもな、・・・そうだ。お前が正しいんだ。」
一十はそう言うと、手に、剣を作り出した。
やる気だ。自分が間違ってる、とわかってるのに、どうして?どうしてやめることが出来ないの?
ミラー「そうね。やっぱり、私は、私たちは間違ってるのよね。悪魔と契約して、人を殺して、願いを叶えるなんてね。」
ミラーは体に付いた泥を払っている。
白いワンピースは、茶色のまだら模様になっている。
ミラーの顔もドロドロ。長い髪の毛も、ぼさぼさだ。
けど、その目は、死んでない。ギラギラに光って、私を見ている。殺る気だ。
私は、2つ、大きく深呼吸をした。
本気だ。この二人は、本気なんだ。本気で私と戦う気だ。
こんな事は今まで経験したことがない。
16年生きてきて、そりゃ親と喧嘩したり、友達と喧嘩したりもした。
でも、本気で、殺す気でなんてやってない。
今、それを感じる。
本当に、自分の譲れないもののために、この二人は戦おうとしてる。
その意思が、私の全身の神経をビリビリさせる。
私は、自分で、そういう世界に足を突っ込んだんだ。
・・・私だって、譲れない。友達を、そう、二人の友達を、止めるために。
私は力を形にする。
一メートルほどの長さのハンマーを形にする。
例えこの新宿がぶっ壊れても、たとえこの東京が滅んでも、
私は、この二人を、止める。
私は、再び、渾身の力を込めて、二人に向けて、ハンマーを振り下ろした。




