↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/55

第3話 契約しよう


驚愕、困惑、動揺、逡巡、恐怖、


変わるがわるの目。


ああ、楽しい。私は今楽しい。


人間が、もがき、足掻く姿を見るのが楽しい。



男は、はぁーっ、と呼吸を深く吐く。


何かを決めた顔。これから勝負してやるぞ!って顔だ。


いいねぇ、いいね~~。


感情。私は人間の感情が好きだ。



「願いを叶えると言ったな。」


「ああ。」


「あの火事を、無かったことにすることは出来るか。」


「ん~、可能ではあるが、ダメだ。」


「なんだその言い方は。」


「例えば、」


私が燃やした机と椅子を、もとに戻す。


「このような事は簡単だ。だが、10年前の出来事を無かったことにする、ということは、この世界を10年分巻き戻すということだ。


確かに今回の七祭の規模でなら出来る。しかし、」


「しかしなんだ、」


「嫌だ。」


「嫌だ、って、」


「私の信念に反する。」


「悪魔に信念て。」


「今のお前があるのは、今まで起きた事に影響を受けてその人格が産まれた。


お前以外もそうだ。それを無かったことにする。それは私の美意識に反する。」


「美意識って・・・」


「そしてもう一つの方法、時空を飛んでその部分だけ触って、現在を変える方法だが、」


「なんだ。何を言いたい。」


「失敗するとこの宇宙全体が吹っ飛ぶ。」


「あぁ?・・・うん?・・・・・・・なんでだよ。」


「ガラスに亀裂を入れると全部割れるだろう?あれと同じだ。小さな亀裂がどこまでも裂けて行き、宇宙の整合性が破壊され、


宇宙が吹っ飛ぶ。」


「・・・ふーっ、・・・ちょっと考えさせてくれ。」


男は椅子に座る。


口に手を当て考える。


「死んだ人間は生き返らせることは出来るか?」


男は考えながら、苦痛に歪みながら言葉を出す。


「可能だが、生き返らせる人間の代わりとなる人間、いわば生贄が必要だ。」


「・・・」


男は黙る。


「私も、暇じゃあないんだ、いつまでも質問に答える気は無い。別にお前じゃなくても良いんでな。


次、お前が面白くないことを言ったら、私は帰る。別の人間を探しに行くだけだ。」


「・・・」


男は一点を見つめ、じっと動かない。


考えている。人生を、命を賭けて、答えを出すために考える。


言葉を選び、理論を組み立て、思考し、考える。




「・・・罪悪感を、無くすことは出来るか?」




私は人の願いを聞くのが好きだ。その人間の本質が現れるからだ。その人間が最も求めるもの、


それはその人間の魂の形そのものだから。


そしてそれは人それぞれだ。


欲望のため、現状維持のため、他人のため、過去のため、


それはたいてい似通ってくるが、たまに、私も経験したことのない、


私の想像を超えてくる人間が居る。


ああ、楽しい。私は今、楽しい。



「もちろん。」


男は再び考える。


「殺し合うのか?」


「ああ。そうだ。」


「相手も、人を殺したことのある人間か?」


「そうだ。犯罪になるかの心配はいらない。証拠は残らないからな。」


「わかった。やろう。」


「では手を出せ」


「?。ああ、」


私は空間からペンを取り出し、男の手をちょいと突き刺す。深くはない。ほんのちょっと、血が一滴出るぐらいだ。


「痛っ。何をッ。」


私は契約書を空間から取り出し、パラパラとめくり、


男に差し出す。


「血でお前の名前をサインしろ。血は何よりも濃いからな。」


「・・・」


男は名前を書く。


男の名は、 一角十馬 (いっかく とば)


たった今まで、ただの高校生だった男。


悪魔と契約したからには、碌な最後は迎えない。


わかったうえで、そうせざるを得なかった。


わかったうえで、それ以外の選択はとれなかった。


ああ悲しくも若く愚かな人間よ、私にみせてくれ。お前の心を。お前の命の形を。


私は最後までお前を愛そう。お前とともに戦おう。


血の契約。最後の契約。


未完成悪魔機械化事典 七祭


プロローグ


終わり。


挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。