第25話 さよならミラー
「もし、貴方の殺した、彼女が、貴方の作品の、最高の理解者だったら、どうする?」
私がそう聞くと、ミラーは一瞬驚き、口に手を当て、考え始めた。
これは、私が読んでいた漫画に書かれていた事だ。それを今、この場で言ってみた。
今この場で言うべきだと思ったからだ。
ミラーは、しばらく考え込んでから、一口オレンジジュースを飲み、答えた。
「それでも、私は同じ事をした。私は、一番になりたいから。」
「あなたは・・・何のために歌手になったの?」
「例えば、私の歌を、お母さんが褒めてくれて、それで満足するなら、誰も歌手にならないんじゃない?
学校で一番、その町で一番、それで、満足して、満たされるなら。
私は嫌。私は一番になりたい。全ての人間に認められたい。知られたい。曲を聞いてほしい。感動してほしい。
そして、あの子に負けたくない。負けたくないのよ。」
「そのために、友達を殺して、悪魔と契約して、また人を殺すの?」
「・・・そうよ。」
「そ、それは間違ってる。それは、悪いことだよ。」
ミラーは、怒っていない。笑ってもいない。ただ、すこしだけ悲しい顔をして答えた。
「そうね、貴方が正しいわ。」
ジャッ
と悪魔リリスがウクレレを鳴らす。
「ミラー、次の戦いだ。」
それを聞いたミラーは、私に別れを告げた。
「もうお別れね、鷹宮つる。貴方と話せて、たのしかったわ。私の曲好きでいてくれてありがとう。
もう会うことは無いだろうけど、私は貴方のことを好きよ。それじゃあね。バイバイ。」
そう言うと、景色が一瞬で変わった。
もともと居た、駅の前に私は立っていた。
左右を見渡す、ミラーもリリスも居なかった。
私は、・・・どうすればよかったんだろう。




