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第21話 ラブホテルで風呂に入る


入口はわかりにくかったが、入ると、思った以上に高級感のある内装だった。


変なオブジェや、観葉植物がいっぱいおいてある。マーブル模様のカーペット。


受付は無人。ボタンを押して部屋を決める。


エレベーターで3階へ。


壁には、妙な四角の枠があった。


その上には説明書きがなされており、


読むと、食事の受け渡し口だった。


どうやら顔を合わせずにホテル内のデリバリーを受け取れるようにしている。


はー。と妙な関心を覚えながら、部屋に入る。


部屋は、・・・奇妙だった。普通のホテルのように、ベッドがある。ソファーがある。


洗濯機もある。乾燥機もある。


風呂もトイレもある。


そして、・・・部屋の中に自動販売機がある。そこにはまぁ、ピンク色の、


まぁ何も見なかったことにして、とりあえず風呂に入ることにした。


「先に風呂入るわ。」


俺は何を言ってるんだ。と思いながら、


服を脱ぎ、風呂場に入る。


・・・風呂には、赤いバラの花びらが散りばめられており、至る所にプラスチックの造花が置かれている。


そして何より青い照明。・・・うっとおしい。


とりあえず汗と血と砂を洗い流す。


体の傷は殆ど治っているが、傷痕はあまり消えないようだ。


体中に切り傷や、火傷の跡、歴戦の戦士みたいな体になっている。


おそらく、悪魔にとって姿形など、どうでも良くて、治りゃいいだろ、という適当さが見て取れる。


頭を洗う、俺の髪の毛はウェーブが掛かってるが、水に濡れるとぺったんこになる。


それをオールバックにしてまとめる。


体と頭を洗ったあと、湯船に入る。思わずため息が漏れる。


2日も風呂に入れず戦い続けていたからな。やっとスッキリした。


挿絵(By みてみん)


人心地ついて、冷静になると、逆に、今の状況に不安を覚える。


ラブホテル。AKと、二人きり。・・・妙な落ち着きの無さが湧き出てくる。


風呂場のドアの、すりガラスの向こうで、人影が見えた。


ビクッっとする。まさか、と思った。


「服、洗濯するからねー。」とAKの声がする。


ビックリした。まさか入ってくるかと思ってしまった。


すりガラスの向こうで、人影が、なにかもぞもぞしている。


・・・脱いでる。明らかに脱いでいる。


その人影は、脱いだ服を拾い集め、まとめ、洗濯機に入れているようだった。


ふう、と息を吐く。まぁ、そりゃ、AKの服も砂でごちゃごちゃだったからな。


ピーっと洗濯機のスイッチを入れる音がする。


そして、扉がガチャリと開いた。


入ってきた。裸で。


星明かりとは違う、明るい照明の中で。


「おわっ・・・!」


俺は咄嗟に顔をそらす。


ペタペタとAKは歩いてくる。


そして風呂の椅子に座り、シャワーからお湯を出した。


「髪の毛、洗ってくれない?私の長くて洗うの大変なの。」


「お、おう。」


いやだ。とは言えない状況だった。


俺は湯船から上がり、AKの背中に座り、シャンプーを手に取り、長い髪の毛をもしゃもしゃと洗い始める。


その間、AKはスポンジで体を泡だらけにしている。


「海に入ったから、体中砂だらけでザラザラしちゃう。」


俺は長い髪の毛をどう洗って良いのかわからず、とりあえず部分部分、段階的に洗うことにした。


綺麗だ。AKの背中は、青い光で、青く妖艶に、透き通って見えた。


思わず手が止まる。


「背中も洗ってくれる?」


AKからスポンジを渡される。


「ああ。」


俺はスポンジを持ち、背中をこする。


薄い。女の体はなんて薄いんだ。と思った。


手に感じる反発する力が、頼りないほどに弱い。


俺は壊れないように、優しく背中を擦った。


殺し合いをしていた時ぐらいに、緊張している。視界が狭まり、体温が上がるのが実感できる。


その間、AKは髪の毛を前に回し、髪の毛を洗っている。


AKがシャワーのお湯を再び出す。


前に屈み、頭を洗い流している。


俺はその間、何もすることが無く、じっとそれを見ていた。


泡が流れ落ち、青白い皮膚があらわになる。


AKは髪をぎゅっと絞り、水を切り、持ってきたタオルで、頭を巻いて、髪の毛をまとめた。


「湯船、入るでしょ?」


「あ、ああ。」


ちゃぷ、と俺が先に入る。


その後に、AKが入ってくる。


・・・何をやっているんだ俺は。


「あぁ~~~気持ちいい~~~」


AKが足を伸ばしながら感嘆を漏らす。


その足の間に俺の体は挟まれている。


見ちゃいけないと思い視線を下に落とさないようにしている。


上を見ると、AKの胸がそこにある。2つ。


目が泳ぐ。童貞か俺は。童貞だけど。


その時、傷が目に入った。


AKの胸の傷だ。


結構長く斬れていた。


左肩から、右胸の途中まで。


俺は思わず、眉をしかめる。


俺のつけた傷だ。


その変化をAKは感じと取ったのか、俺に話しかける。


「気にしなくていいよ。あれは、事故だもん。貴方は悪くないよ。」


俺は、その言葉に、心の深い所で、痛みを感じた。


「俺は・・・お前を、傷つけた。」


罪悪感で、正面切ってAKの顔を見れない。俺は顔を背けた。


「こっちみて。」


AKが答える。


俺は一度、視線を外し、もう一度AKを見る。


「私は、気に入ってるよ。」


そう言いながら、指で傷に触れる。


挿絵(By みてみん)


「貴方につけられた、一生消えない傷。」


「すまない。」


・・・


・・・


長い沈黙。二人は目を合わせない。


一人は目を伏せ、一人は横を向いている。


・・・


・・・


いかん、のぼせる。


「もう、上がるぞ。」


俺は一刻も早くこの状況から逃げようと、先に立ち上がる。


その時、俺は、致命的なミスを犯したことに気づいた。


立ち上がり、湯船から出ようとしたその時。


おちんちんがAKの顔の眼の前に。


「・・・!!!!!!」


AKは目を丸くして、手で口を抑えている。


俺は逃げるようにぱたぱたと風呂場を早歩きで出た。


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