↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/55

第11話 七祭


不安。興奮。神経の高ぶり。思考を止めることが出来ない。


体は停止しているのに、頭は常にフル回転している。


23時。心臓が高鳴る。汗が止まらない。


体の末端、手。耳。足の指がピリピリと過敏になっている。


心を落ち着けることが出来ない。


何度も何度も時計を見直す。


永遠に進まない時計。と同時に、もう後一時間を切った。という焦り。


熱い。体が熱い。


0時。


ついにその時が来た。


体からマスターメビウスが飛び出す。


「行くぞ。」


俺は立ち上がり、学生服を羽織り、靴を履き、部屋を出る。


「どこだ。」


俺はマスターメビウスに聞く。外は新月。夜。


だが、家の明かりや街灯で、本当に真っ暗ではない。


なのに、突然、眼の前が真っ暗になる。


と思ったらその暗黒は消え、俺は、全く別の場所に居た。


思わず左右を見る。


何が起きた、いや、マスターメビウスが俺をここに移動させたのだろう。


なにか言ってからやってくれ。と思った。


そこは、俺がよく知る場所だった。


最初、夜だったから、そこだとは気づかなかった。


夜に来たことなど無いからな。


だが、この山に囲まれた土地、グラウンド。校舎。


・・・小学校だ。そう。あの小学校だ。俺が、過ごした。あの。


俺は振り向き、マスターメビウスを問い詰める。


「なぜここだ。」


マスターメビウスは、笑いながら答える。


「おっと、私が決めてるわけじゃあない。儀式の場所に最も相応しい場所。それだけだ。」


ホントかよ。と俺は思った。しかし、悪魔相手に公平さ誠実さを求めても意味がないな、とも思った。


突然ボゥっと緑色の光が光ったと思ったら、人が突然現れた。


想定した中で最も嫌な結果だった。


俺の相手はMC。江無紫蘭だった。


最悪だ。熱が引いていく。背中に冷たい汗が流れる。


挿絵(By みてみん)


MC「よぉ、お前か。ま、お前だとはなんとなく思っていたよ。」


この状況で、飄々として堂々としている。怖いぜ。MC。


メビウス「では始めよう。」


MCの体からベルゼブブが飛び出す。


ベルゼブブ「・・・」


ベルゼブブは答えない。仲が悪いのだろうか。


メビウス「新月。目の無い夜。星の降る下で、門の鍵を砕く為の戦い。


この世に地獄を流し込む。人の願いを叶えよう。悪魔の願いを叶えるために。


七つの悪魔と七つの人間。全ては呼吸の為に。七祭。始まります。」



マスターメビウスが、舞を踊っているような動きで、挨拶をする。


それが終わると、マスターメビウスは、砕け散った。


バキバキと、水晶のように、ガラスのように、体が砕けていく。


ベルゼブブの方は、体が、粉・・・いや、なにかの虫に、分解されていく。


挿絵(By みてみん)


一十「うわぁつ。なん・・・なんだ!?どうなってんだ!?」


MC「おいおいおい、なんだよこれは。」


マスターメビウスだった破片は、水晶のようだった。それが動いた。浮いた。飛んだ。


ベルゼブブだった破片は、一つ一つが、虫のように飛び出した。


それらがくるくると、俺とMCの周りを飛ぶ。


俺とMCは何が起きてるか分からない。何が起こるか分からない。ただ驚くしかできない。



MC「うあっ!?」


MCを見ると、そのなにか、虫の大群に襲われている。体中に虫がまとわりついている。


その時、とんでもない激痛が俺の手に走る。


一十「ぎゃぁつッ!!」


手を見ると、水晶の破片が俺の手に突き刺さっている。そしてその破片は、俺の体の中にズブズブと沈んでいった。


と思ったら、それがどういう意味かを考えるまもなく、次々と俺の体に激痛が走る。


挿絵(By みてみん)


一十「イテッ、痛いッ!!ぎゃっ!!あぎゃっ!!うあああ!!」


MC「痛え!!なんだよ痛いッ!!うおおおッ!!!」


あまりの痛みに膝をつき四つん這いになる。


わかってきたぞ。つまり、特別な力ってのは、そういうことか。


悪魔と契約し、悪魔と合体して、一体化して、得られるものなのか。


痛い。言っとけよ。言っとけよ!!!!!説明しろよ!!!!!!痛い!!!


一十「あああああああああああああッッッ!!!!!!!!」


最後の一欠片が刺さった時、俺の体から、紫色の光が、閃光が走った。


痛みは消えた。手を見ると、さっきまであった紫の結晶も無い。


一十「はーっ・・・はーっ・・・」


心臓がバクバク鳴っている。


俺は落ちた帽子を拾い、被り直す。


妙な高揚感を感じる。力がみなぎるのを感じる。特別ななにかを獲た、という実感を感じる。


MCの方を見る。と、眼の前にMCが居た。いや、突っ込んできた。殴られる。


挿絵(By みてみん)


咄嗟に腕でガードする。衝撃。車に衝突されたような衝撃を感じた。


同時に眼の前の景色がグルグルと回転する。空、地面、校舎、背中に何度も衝撃を感じる。


背中になにかぶつかった。強い衝撃。痛み。


地面に落ちて、何が起きたかやっと理解する。


そうか、俺は殴られて、吹っ飛んでたのか。


体の右も左も後ろも痛い。


いや・・・まてよ。待て待て。殴られて、こんだけ吹っ飛ぶって、何だよ。


どんな力だよ。


コレが悪魔と合体したってことなのか。何の説明もない。説明しろあのバカ。


俺は立ち上がる。立ち上がれる。確かに痛い。痛いが行動不能じゃあない。


むしろ元気いっぱいだ。


遠くにいるMCを見ると、MCも自分の力に戸惑っているようだ。


アイツも説明されてなかったのか。笑えるな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。