第10話 最後の日 最初の日
朝起きて、パンを食う。
味がしねぇ。しかし食うしかねぇ。
今日、ついに今日だ。神経がピリピリしている。
浮足立っている。
「いつ始まるんだ?」
俺はパンを食べながらマスターメビウスに質問をする。
すると、俺の右手に裂け目が現れた。
うわっ、と思わずパンを落とす。
その裂け目は、うにゃうにゃと動き出す。
「今日、夜、深夜0時。場所は時間になればわかる。」
マスターメビウスの声が右手から聞こえる。
つまり、口だけ出して喋っている。気持ち悪い。
質問に答えると手の裂け目は消えた。
俺はパンを食べる事を続けた。
朝飯を食べ終わった後。俺は、困った。
夜中までやることがねぇ。
契約の時に言っていた特別な力が何なのか、結局わからなかったな。
力が強くなるわけでもねぇ、痛みが消えるわけでもねぇ、手からビームが出るわけでもねぇ。
戦いが始まったら目覚めるのか?
「特別な力とはなんだ?」
「・・・」
この調子だ。聞いても答えない。
ま、考えてもしょうがない。答えを出すのに必要な材料が足りなさすぎる。
時間の無駄だ。頭を切り替えよう。
俺が今すべきことはなにか、
・・・遺書を書く・・・?
いやまぁ、殺し合いするんだから、まぁ、それもアリっちゃアリだけど。
嫌なのでナシだ。
親に別れを告げる?ダメだ、この事を知ったら、死んでも止めるに決まってる。
友達はどうだ?・・・合わす顔がない。
やることがない。
散歩に行くことにした。
商店街の肉屋でコロッケを買い歩きながら食う。
うまい。もう二度と食べることはないかもと思うと、感慨深い美味さがある。
しばらく歩いて、喫茶店に入り、昼飯にナポリタンを食う。
食った後はまたふらふら歩き、景色を見て、ぼんやりする。
公園のベンチに座り、空を眺める。
平和だ。なんにも起きねぇ。
秋風が涼しい。俺はこの季節が好きだ。この夏が終わったと感じるこの瞬間。
この涼しい風が好きだ。
・・・何やってんだろうな。俺は。
俺は、再び商店街に来て、たいやきを買って食べながら帰った。




