第3章:最初の街と冒険者ギルド
防御力はゼロだが知力と体力はカンストしている!防御力がゼロならすべて回避すればいいだけだ――お前たちは俺に触れることすらできない。の第3部分です。
あの青い鳥の後を追いかけ、かなりの時間走り続けた。切り立った崖の端に辿り着くと、それまで生い茂っていた木々が徐々に薄くなり、目の前の視界が一気に開けた。そこには、広大な居住区をぐるりと囲むようにそびえ立つ巨大な石造りの防壁があった。崖の上から見下ろすと、正面の大きな城門を通って多くの人々が行き交っているのがよく見えた。
「うわぁ……、ついに最初の街を見つけたぞ。さっきまでは、あの鳥が別の森へ向かうか街へ向かうかの二分の一の賭けだったから、正直少し不安だったんだ。でも、あいつが結構な高さを飛んでいたってことは、餌を探しているわけでも休む場所を探しているわけでもなく、明確な目的地がある証拠だからな。まさか本当に街に向かって世の中に出ていたとはね」と、天人は鳥の行動を分析し終えて小さく呟いた。
天人はすぐに丘を駆け下り、街の入り口へと急いだ。しかし、城門の前に到着した直後、大きな体躯に長い槍を携えた一人の門番によって行く手を阻まれた。
「身分証を提示しなさい」と、門番が重々しい声で言った。
「えっ、すみません。身分証は持っていません」と天人は答えた。
門番は眉をひそめた。「ほう? 身分証がないのか? まぁいい、ならばこの魔石のタブレットに触れてくれ。これで個人の犯罪歴を確認することになっている」
天人が近づき、ひんやりとした黒い魔石のタブレットの表面に右の手のひらをのせた。すると次の瞬間、タブレットから淡い緑色の光が放たれ、その表面に何行かの見慣れない文字が浮かび上がった。
「どれ、確認させてもらうぞ」と門番が言った。「ふむ……ツキミヤ・テンジン。犯罪歴はなし、レベル7、年齢15歳か」
門番はタブレットの表示を見て、一瞬だけ目を見開いた。心の中で、彼は猛烈に困惑していた。(はぁ? このガキ……まだ15歳だというのに、もうレベル7に達しているのか? しかも、あの森の方向からたった一人で、まともな装備も先輩冒険者の護衛もなしにやってきた。どうやったらこの年齢の子供が、外の危険な環境で一人で生き残り、これほど早くレベルを上げられるんだ?!) 門番は疑問で胸がいっぱいになったが、天人の前ではプロとしての態度を崩さなかった。犯罪歴がないことを確認すると、門番は再び天人に向き直った。
「よし、犯罪歴は清潔だな。では、入場料として400レヴを支払ってもらえば中に入っていいぞ」
その金額を聞いて、天人は空っぽのズボンのポケットを探った。「えっと……すみません、お金を持っていません」
門番はため息をついた。どうやらこうした状況には慣れているようだ。「ならば、まずは借金という形にするのはどうだ? 3日以内に返済すれば問題ない。もし期限を過ぎたら、正式な規則違反として君の犯罪歴に記録されることになるが、どうする?」
リスクを考慮した上で、天人はその条件に同意した。門番が帳簿に名前を書き留め、道を譲った。
「冒険者の街、ベンタへようこそ。何か調べたいことがあるなら、詰所で聞くか、街の図書館に行くといい。あぁ、それと、ギルドカードは正式な身分証として使えるから、すぐにでも冒険者ギルドに登録することをお勧めする。身分証はこの世界で非常に重要だ。他の街に入るときや取引をするとき、身分証がないと手続きがかなり面倒なことになるからな」
「わかりました。アドバイスありがとうございます」と天人は答え、城門をくぐって一歩を踏み出した。「ここが俺の最初の街、ベンタか!」
街の中の雰囲気は、思いのほか穏やかで心地よいものだった。道はクラシカルな印象を与える石畳で舗装されており、両側には二階建ての木造建築が並んでいる。多くの子供たちが商店の周りで元気に遊んでおり、様々な武器や装備を身につけた冒険者たちがのんびりと行き交っていた。
しかし、大通りを進んでいる途中、広場の方から何やら騒がしい人だかりの声が聞こえてきて、天人の注意を引いた。何が起いているのかと近づいて見ると、住人たちが一本の丸太の周りに集まっており、そこには指名手配犯らしき男が縛り付けられていた。
「おおっ! さすがはBランク冒険者だな!」と住人の一人が叫んだ。
「相変わらず強いね。Bランク冒険者、『無音の暗殺者』カワサキ・レン。彼はいつも街に騒ぎを起こさずに悪党を捕まえてくれるんだ」と別の住人が応じた。
天人は遠巻きにそのレンという男を観察した。彼は機能的な黒づくめの服を纏い、無駄のない極めて高い【敏捷性】の動きと素手だけで見事に標的を無力化していた。
「あれがBランク冒険者か……。カワサキ・レン、ね。よし、決めた。俺もこれから高いランクの冒険者を目指すことにしよう」と天人は呟き、登録場所を探すためにその場を離れた。「さて、となると最初にやるべきことはギルドに行って冒険者登録をすることだな。でも、ギルドはどこにあるんだ?」
しばらく歩き回り、香ばしい肉の焼ける匂いが漂う商業区を通り抜けると、天人の目に武器を持った人々が集まる大きな白い石壁の建物が飛び込んできた。
「あれがギルドか?」天人はその建物に向かって真っ直ぐ歩き、厚みのあるオーク材の木製扉を押し開けた。
中に一歩足を踏み入れた瞬間、場の空気が一変して張り詰めたものになった。広い執務エリアは、筋骨隆々の体躯と険しい顔つきをした冒険者たちで埋め尽くされていた。天人が数歩進んだその時、カチリと小気味よい弓の仕掛けが作動する音がかすかに聞こえ、次の瞬間、部屋の隅から数本の矢が彼の頭部を目がけて猛スピードで放たれた。
限界まで高めた自身の高い反射神経と【敏捷性】を頼りに、天人は瞬時に身体を動かした。身体をひねって一部の矢を素早く回避し、同時に腰の【二振りの短剣】を抜いて、真っ直ぐ向かってくる残りの矢を鋭く叩き落とした。
コツン! コツン! と矢が木の床に落ちた。その先端を見ると、衝撃を和らげるための丸いスポンジがついている。天人は眉をひそめた。「待て……これ、おもちゃの矢か?」
すべての矢が処理された刹那、それまで冷ややかだった部屋の静寂が嘘のように破られ、冒険者たちの豪快な笑い声と割れんばかりの拍手が湧き起こった。
「おおっ! あの不意打ちの矢を全部捌ききるとは、やるじゃねえか!」
「あぁ、大したもんだ。大抵の新人はここで一発喰らってひっくり返るからな。この歓迎の罠は、うちのギルドじゃ『雑魚散らし』って呼ばれてるんだよ!」
その喧騒の中、仕立ての良い綺麗な服を着た一人の女性が近づいてきた。「驚かせてしまってごめんなさいね。今のはこのギルドで恒例となっている新人への挨拶代わり、いわば通過儀礼のようなものよ。ようこそ、冒険者ギルドへ。登録をご希望でしたら、あちらの受付カウンターへどうぞ」
部屋の隅にいた数人のベテラン冒険者たちが、天人の腰にある【二振りの短剣】を見つめながら、「あの新人はただの俊敏さじゃないな」と小声で品定めを始めていた。天人はまだ少し困惑した表情のまま、磨き上げられた長い木製の受付カウンターへと向かった。
「すみません、この魔石を全部買い取ってほしいのと、あと冒険者登録をお願いします」と天人は言い、森での戦利品である魔石が詰まった袋をカウンターの上に置いた。
「かしこまりました。それでは、まずこちらの用紙に必要事項をご記入ください」と、受付の女性は丁寧でプロフェッショナルな笑顔で応対した。
「わかりました」天人は渡された紙を受け取ったが、すぐに一つの大きな問題に気づいた。そこに並んでいる文字の記号は、元の世界の日本語とは似ても似つかないものだったのだ。彼はそれを読むことも書くこともできなかった。
「えっと……すみません、俺、文字の読み書きができないんです。手伝ってもらえませんか?」
受付の女性は嫌な顔一つせず、笑顔を保ったまま天人の情報を一つずつ聞き取り、すべての項目を代わりに丁寧に書き込んでくれた。
「はい、書類の記入はこれで完了です。次は、こちらの魔晶石に触れてください」と女性が言い、カウンターに置かれた拳ほどの大きさの青い水晶玉を指差した。
天人が手を伸ばして魔晶石に触れると、水晶玉が瞬時に眩い光を放って激しく回転し始めた。紡ぎ出された光の筋が真下に置かれた金属製の白いカードへと流れ込み、その表面にステータスの記号が次々と刻まれていく。
「お待たせいたしました、こちらが君のギルドカードです。ランクについては、全員が一番下の『Hランク』からのスタートとなります。ギルドのランクは下から順に H、G、F、E、D、C、B、A、S、SS、SSS、そして最高峰の SX までの12段階に分かれています。レベルとクエストの条件を満たせば昇格試験を受けることができ、合格すればランクが上がります。なお、登録費用は先ほどの魔石の買取金から直接差し引かせていただきますね。何かご不明な点はありますか?」
天人は完成したギルドカードを手に取り、興味深そうに見つめた。しかし、カードの下部に刻まれた数字の羅列を見て首を傾げた。「あの、ここに書かれている文字はどういう意味ですか?」
受付の女性は優しく説明した。「これは統計数値ですね。統計数値は、ギルドや国が個人の潜在的なステータスを客観的に確認するために用いる標準的なシステムです。君の場合ですと……ここに【知力】が500、【体力】が1000、【敏捷性】が364、そして【防御力】が0と記録されていますね」
天人は納得して頷いた。魔石の買取金から登録料を引いた残りの数枚のレヴ硬貨を受け取ると(それはこの街で一般人が数週間普通に暮らせるほどの額だった)、天人は礼を言って受付カウンターを離れ、歩き出した。
しかし、天人が背を向けた瞬間、受付女性のプロとしての笑顔が完全に崩壊した。彼女の顔からは血の気が引き、手元のステータス控えを二度見しながら、信じられないものを見る目でガタガタと震えだした。
「【知力】が500ぉッ?! この国で最高峰の知識を持つ大賢者様でさえ【知力】は368なのに! それに何よこの【体力】1000って?! 本部の歴代最強の重戦士ですら【体力】は780なのよ! しかも一番意味がわからないのは、【防御力】がゼロ?! ふざけないで、【体力】がこれほどありながら皮膚の防御力がゼロだなんてあり得ないわ! 一体どんな能力のモンスターなのよ、あいつは!?」
「ハックション!」
ギルドの出口の扉の手前で、天人は突然大きなクシャミをして肩を震わせた。近くにいた数人の冒険者が驚いて振り返る。
天人は鼻をこすりながら、不思議そうに呟いた。「うーん……、お金と身分証の問題はこれで解決した。あとは知識と目的だな。よし、俺の目標は冒険者の最高位であるSXランクになることだ。今のHランクから見れば高すぎる目標かもしれないけど、ことわざにもある通り『夢を見ることを恐れるな』だ。目標は自分で自由に決めていいんだからな」
天人は少しニヤリと笑いながら呟いた。
「ふむ……、お金と身分証の問題は片付いた。それじゃあ次は情報収集だな。よし、図書館へ行こう!
皆様、この物語の第3部分も読んでくださり、ありがとうございます!楽しんでいただけたでしょうか?皆様に楽しんでいただけたなら、僕も嬉しいです。それでは、また次のお話でお会いしましょう!




