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第58話 ゲノム


 ノエマのバイトも終わり、

 

 『 メイド喫茶FARCE&TEA 』

 からハガネ宅へと四人は場所を移し、

 彼女の部屋ではなにやら会議が始まっていた。


---

 

 「姉貴、話しってなんだよ。」


 「アンタはいいからちょっと黙ってて」


 姉ハガネが即座に弟ベリルの口をふさぎ、

 話を進める。


 「ノエマ、『 例の件 』なんだが……」


 「え?ハガネちゃん、なんのことだっけ?」


 「だああ!!あんたがいきなり『 光る問題 』

 でしょうが!」


 やきもきしたミノリが言う。

 それに応えるノエマ。


 「あ!そっか……」


 「わたし、フィデリス人だから……たぶんお水とかお風呂のお湯が体にかかると、かってに光っちゃうんだと思う。」


 「あ?フィデリス人ってなんだ姉貴?」


 「ノエマ、弟に話して良いか?」


 当然の疑問を浮かべたベリルを見たハガネが聞く。それにこくんと頷くノエマ。


 「ベリル。絶対、誰にも言うなよ?」


 「言わねえよ。なんてったって天使様のこと

 だからな。」


 姉弟の間には緊張感が漂う。

 それを見守る他の二人にもそれが伝わってくる。


 「ノエマはな……」



 「未来から来た異星人だ。」


 「………」


 

 「アンタ、信じてないだろ。」


 「え?!姉貴……それって、

  マジなやつか?!」


 二人の姉弟のやり取りを見ながら、

 タイミングを見計らってノエマが言う。


 「ハガネちゃん、ベリル君。それにミノリ。

 ちょっと聞いて欲しいことがあるの。」


 「なんだノエマ?」


 ハガネが先に反応し、他の二人も

 ノエマを見ている。


 「んしょ。」

 「この龍のペンダントなんだけどね」


 ぱかっとペンダントを開いて

 みんなにみせるノエマ。


ハガネ 「すっげえー綺麗な人の写真だな……」


ミノリ 「この美人って……誰なの?」


 ハガネとミノリの質問に答えるノエマ。


 「うん。それは……わたしのお母さんみたい。

 アルテイシアって名前なの。」


 「アルテイシア……」


 ハガネはその馴染みのない名前を反芻する。


 「あ?天使様、もうちょっと

 よく見せてくれ……」


 ベリルがノエマのペンダントにそっと手を伸ばす。ハガネはそれを止めさせようとしてーー


 「ああ!アンタまた勝手にーー


 「なんだよこれ……俺、こんなもん

 今まで見たことねぇ……」


 ベリルはノエマのペンダント=最初の龍(プリムス・ドラコニス)に埋め込まれた結晶体=原初の記憶(イニティウムコード)を見て驚愕した。


 「……これは、ただ人が削って作った

 もんなんかじゃねえ。」


 「すげえ技術があってもこんなもん作れるはずがねえよ……素材も、加工の仕方も、この輝き方もどうやったら……」


 「天使様!これは……この『 紅い結晶 』はなんなんだ!?」


 ベリルは目をキラキラさせてノエマに聞いた。


 「え?!えーっと……これはイニティウムコードって呼ばれてるとっても大事な物としか分からない……かな?」


 「すげえ……『 イニティウムコード 』か」



 「天使様、たのむ!大事なもんだと思うが、ちょっと俺に預らしてくれねえかな。」


 「? いいけど……」


 と、ノエマ。


 「姉貴たちわりぃ。俺、いったん下戻るわ」


 家業である宝石細工職人・見習いとしてベリルは、なにか心に響くものがあった様子で、ノエマのペンダントを大事そうに持ち、姉たちにそう言い残して階下へと戻って行った。


ハガネ 「なんか、すごそうな名前……だな。」


ノエマ 「うん。でもわたしもいまいち使い方が

 分からなくて……」


 「あれ?そういえばミノリは?」


 ノエマが思い出したようにそう言うと、

 ハガネが言った。


 「ん?おい……また、お前は

 なにをやってんだ?」


 「じゃんじゃじゃーーん!」


 「ウチらがこれまでに聞いたノエマの話を、ざっくりまとめて『 紙芝居 』にしたのです!」


 「だからずっと静かだったのか……」


 「『 かみしばい 』??」


 ハガネのPCデスクでなにやらさっきからずっと一人で、こそこそとなにかを作っていたミノリが、いきなり二人にそう言った。


 【 作者より補足 】


 【 ここで令和に生まれた

  ボーイズアンドガールズに説明しよう! 】


 【 『 紙芝居 』とは・・・ 】


 【 現代地球では一般的な『 動画 』や『 アニメ 』が生まれる前の、『 みんなで同じ物語を見る 』ための『 手法 』みたいなものなのである。 】


 【 物語はそれぞれ『 分厚い紙に描かれた絵 』を一枚ずつめくりながら『 語り手が話を順に進めて 』いく。】


 【 今じゃ当たり前にスマホで観られる物語を『 紙芝居 』は同じ場所・同じ時間・同じ話をそこに集まったみんなで共有して楽しまれていたんだ。】


 【 だから『 紙芝居 』は、ただの昔の娯楽なんかではなく『 物語がまだ人と人とのあいだで生きるものだった 』そんな『 一つの時代の記憶 』なのだ。】


 「なるほどな〜」


 「こんな原始的なもん、はじめてみたわ私。」

 と、ハガネ。


 「かわいくて、なんかとっても

 ふしぎな気分になったよ。すごいねミノリ!」


 『 動かない絵 』なのに、ミノリの声を聞いているうちに不思議と世界が動いて見えた。


 次の一枚がめくられるまでの、ほんの一瞬のドキドキ。想像力がかき立てられる。


 それぞれの感想を述べる二人。

 鼻息を荒くさせてドヤるミノリ。


 「へっへーん!これでも?色々と?勉強してるんですよミノリちゃんは。」


 「日々努力!!研鑽を重ねて!たどりついた一つの真実!そう!それは」


 バタン!


 「姉貴!!分かったぞ!」


 「これはーー


 「人間が作ったもんじゃねぇってことがな!!」


 そうして再び姉の部屋に戻って来た弟ベリルの登場に、ミノリの努力の結晶はかき消されたのだった。


---


 「ほら、みんな見てみろよ!」


 ゴンッと、ベリルはテーブルに顕微鏡を置き、そこにペンダントをやさしく乗せる。それは彼が普段、仕事で宝石を削るために使っている道具だった。


 ノエマがまず先に顕微鏡をのぞくと、


 「え?すごい。模様?文字?」


 「どれ、見せてくれ。あ。まじだ……」


 「ああ〜もー!!また無視して!」


 「あたしも見せて!!……って、

 なんじゃこりゃあ?!」


 「でも、なぜにそう断言できる?」


 弟の根拠のない発言に、姉ハガネが言う。


 「理由はちゃんとあるぜ?なんてったって『 宝石細工職人・見習い 』であるこの俺の保証つきだかんな。」


 そう得意気に鼻の下をくすぐるベリルを、姉であるハガネが容赦なくたたっ斬る。


 「ぜんぜん説得力ねーな」


 「まあ、待て姉貴。ところでよー

 この模様、なんかに似てると思わねえか?」


 ばさっ!!と、自分の『 理科の教科書 』を開いて見せるベリル。


 「これだよこれ!『 DNA 』だ!!ペンダントにはまってる、結晶の模様とそっくりだと思わねえか?!」


 ベリルは指でそのページに載った《《ある》》部分を差す。姉は弟の言葉になにかを思い出したように呟く。


 「DNA……『 ゲノム 』……」


 「あ?姉貴……今、なんて言ったよ?」


 「んあ?DNA?どっちだ。

 『 ゲノム 』……か?」


 

 「かっ……!!」


 「カッケェ……」


 「ゲノム!!」


 『 だれが作ったかなんて……そんなの一度も考えたことなかった。……でも気になる。』


 とノエマがペンダントに触れた瞬間ーー


 最初の龍(プリムス・ドラコニス)が紅く輝き、紅い光が四人を包んでいた。


 . ・ •。°. 。♢・.• : 〜 .✴︎ ✳︎ ❇︎



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