第56話 ここが新天地
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ギルド職員
「それでは〜〜〜『 焔翼ギルドの戦士 』
の三人の初クエストに向けて〜」
「まずはー!!それぞれの意気込みを聞いて
みましょ〜う!」
ガクッ
ギルドの輩たち
「姉ちゃん長え〜って!」
「おい早く酒飲ませろよー!」
「「「があっはっは〜」」」
ジャーベス
「ああ、すまんがみんな少し時間もらうぞ。
ジャーベス・アルギロホースだ。……そうだな。
また、旅に行って来る!!」
ヴィクトリ-サインを見せ、ニッと笑ったジャーベスは、ぐいと肘で次はお前の番だぞと伝える。
アルテナ
「おう!アルテナだ!!まじで生きて帰って来れっか全然分っかんねえけど、みんなにたくさん土産持って帰るからよ!また会えたら良いな!」
そう言ったアルテナは、つんつんとリベッラにマイクを渡す。
リベッラ
「……リベッラ・ヴィヴァーチェ……
フォッティーゾよ!」
その時ーー
ギルドホール内がワアアと湧いた。
ギルドの輩たち
「おい……見ろよあれ、ビアンテ王国のお姫さんじゃねぇか?!すっげーでけえ胸だな!」
「……くう〜めっちゃ可愛いし……羨まし過ぎっぞアルテナ!!ずるい!!」
「「「ブウ〜〜〜」」」
と、なぜかアルテナに対する大ブーイングを巻き起こしたリベッラ。
リベッラ
「……!?」
「もお〜うるさい!!これからちょっと冒険してくるだけよ!んーっと?」
彼女の前にしゃがんでさりげなくカンペを出す
アルテナ。
「そう!芸術と革命の都ーー
『 ヴェルロゼリア連邦王国 』よ!!」
グッド!とハンドサインを交わし合う二人。
「ふんっ!あんたらは指でも咥えてここで大人しく待っていると良いわ!!」
ギルドの輩たち
「「「…………とっ、尊い!!!…………」」」
「はい!それでは〜『 三人の戦士 』のみなさんありがとうございま〜す!それでは旅の無事を祈ってえ〜……」
「「「乾っ杯〜〜〜〜〜〜!!!」」」
「「「うおお〜〜〜!!」」」
わいわいがやがや
がやがやがや
どんちゃん
ざわざわざわ
ざわざわ
ドン・ドナテッラ
「本当に……これで良かったのかしらね長老」
ギルドマスター=ドン・ドナテッラは、ギルドホール二階の手すりに体を預け、長老なる人物にそう聞いた。
長老
「ほっほっ若いもんはやはり良いの〜」
「どうじゃ?ドナテッラも下で飲まんか。お前さんも、こうしてハメを外すのも久しくなかったじゃろうに。」
「……ふぅ。ええ、そうですわね。是非、ご一緒しますわ。」
「ほっほっほ!『 若者の旅立ち 』には良き日じゃのお〜」
そう言って二人は、どんちゃん騒ぎのギルドホールへと混ざって行った。しかしドン・ドナテッラは見過ごさなかった。長老の鋭い目が、コンマ数秒の間『 三人 』ではなく『 アルテナだけ 』に向けられていたのを。
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真夜中を過ぎた頃。三人はギルドを後にしてジャーベスの家に向かっていた。
「ひっく!」
「ああ……しぬほど疲れたぁ………」
アルテナはアイウォールズに乗ったリベッラの背中に顔を埋めて言った。
「だらしないわねえ……あーっ!!もお!よだれついちゃう!」
そんな二人をよそに、蒼く輝くシルヴァリオンの上でジャーベスは
「…………」
なにかを決意した表情を浮かべ、手綱を強く握り締めていた。
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次の日の昼頃ーー
三人は州都レーゼで必要な物をあれこれと揃え、片手いっぱいにかかえジャーベスの家に再び集まった。
ジャーベスがひと息ついてから言う。
「ようし。ざっとこんなもんか。」
「ところでよ。ジャーベス、よくこんな良いもんあったな。」
アルテナは馬用に作られた『 簡素な屋根付きの荷車(寝泊まり可能) 』を指して言う。
「あ?これか?これはフィエーロさんから借りて来たんだ。俺たち全員気をつけて無事にまたフェニーチェに帰って来いってよ。」
「フィエーロさんが……」
「なんか、この街で色んな人に良くしてもらってよ……俺……」
「ばっきゃろー!」
「はは、これから旅立ちって時に泣くやつがあるかよ。シルヴァリオンとアイウォールズもいることだし、三人でこれからも仲良くやって行こうぜ。」
「そうよ!頼りないあんたなんて、始めっからあてにしてないんだから。大丈夫よ!」
「リベッラ、それ全然フォローになってねえから……」
とアルテナを慰めようとしたリベッラに、ジャーベスがツッコミを入れる。
「まっとりあえず出発するか。目的地はひとまず……」
「『 ヴェルロゼリア連邦王国 』だな!」
「……うっし。なんか急にわくわくしてきた!!早く行こうぜ!」
「ま、待って!あたしが最初にそれ言いたかったのに〜」
「ほんと、忙しいやつらだなお前らは。」
腰に手をあて二人を見守っていたジャーベスも、ゆっくりと愛馬=シルヴァリオンに乗った。
そしてそれぞれが、まだはっきりとした『 言葉にできない想い 』を胸に抱き、
凸凹トリオは、次なる新天地ーー
『 芸術と革命の都 』
『 ヴェルロゼリア連邦王国 』
を目指して旅立って行ったのであった。
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