第49話 進み続ける覚悟を決めろ
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「はあ……はあ……ふう。着いた〜〜!」
「やっと、麓かよ………」
「ちょっと〜!!」
「あんたら、わたしを何時間待たせたら
気が済むわけえ?」
と、少々どころか半分くらいマジギレした王女様が、山小屋カフェの前から二人の元に歩いて来る。
「げっ!?忘れてた!!おい!
じゃじゃ馬王女--
バタンッ
「あ?」
「おい!?どうした?ジャーベス!!?おいって……!」
「………」
………
今にも消えてなくなりそうな意識のなかで、
ジャーベスは少年のような微笑みを浮かべていた。
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ぱちぱちっ……ぱきっ
薪が爆ぜて崩れる音だけが、小さな古屋の中で聞こえる。
山から下りた後、突然意識を失くして倒れたジャーベスを、二人がかりでなんとかシルヴァリオンに担ぎ上げ、
二人はアイウォールズに乗りジャーベスの家に戻って来ていた。
「…………」
「ちょっとあんた、このイケメン男……
どうするつもりなのよ。」
「どうするったって……俺にはどうにも……」
アルテナは、刻々と薄れ行くジャーベスの記憶体を見て言った。
リベッラ王女は不安そうな顔で言う。
「あれからずっと呼びかけてるのに、意識も戻らないし、このままじゃほんとに………」
ガタンッ
アルテナは急に立ち上がって、ジャーベスを寝かせていたソファに慌てた様子で駆け寄った。
「思い出した……フィリムの時みたいに……うまくいくか分かんねえけど……とりあえずやってみるしかねえ。」
「王女様!ちょっとこっち来て手伝ってくれ!」
アルテナの真剣な顔に、リベッラ王女も無言で応じる。両手をジャーベスの胸に当てて目を閉じるアルテナ。
すると、掌が淡く光り始める
が、すぐにその光は消えてしまう。
ガタンッ………
「クソッ!!なんでだ!!」
「俺だけじゃやっぱ……
ダメだって言うのかよ!!」
ダンッ!
テーブルを拳で叩くアルテナ。
「そうだ!……なあ王女様よー、俺たちを助けた時の『 あの紅い光 』って今、使えんのか?」
「え? ああ、使えるけど……」
「よし!それじゃあ今、俺がやったみたいにやってみてくれよ。」
「はあ?!……もう……どうなっても知らないわよ。」
先にリベッラ王女が両手をジャーベスの胸にかざすと、紅い光がぼわん!とジャーベスの体全体を包んだ。
「よ、よし!」
続けてアルテナがリベッラ王女の手の上から自分の手を重ね合わせる。
「きゃっ!いっ、いきなりなにすんのよあんた!!」
「いちいちうるっせえな、いいから見てろって。ジャーベス……今、助けてやっかんな。」
するとーー
碧い光が紅い光と溶け合い、白紫色の光となって強く輝いた。
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光が止んで二人がジャーベスを見ると、消えかかっていた体は元通りになっていた。
「……っしゃあああ!!成功したぜ!!!」
「あ?」
「なにさっきから、もじもじしてんだお前。気色わりいな。」
「はああ?!誰のおかげでこうなったっていうのよ!!もお、まじでムカつく!」
..... ..... .....
ぱきっ
暖炉の前の椅子で、うつらうつらとしていたリベッラ王女は、目を擦ってアルテナを見た。
アルテナは、ずっとジャーベスの前に座って様子を見ている。もう真夜中をとっくに過ぎているというのに。
「ねえ。」
「!! はあ……なんだ。びっくりさせんなよ……お前、もう先に寝ろよ。疲れてんだろ?
俺がここでジャーベス見てっからよ。」
「アルテナ……」
「ああ?」
「あんた、女の子とさ」
「その……キスって……したことある?」
「はあっ……??!」
「……ねえよ!って言うかなんだよ急に。」
リベッラ王女は揺り椅子からゆっくり立ち上がって、彼の近くまで行く。
「わたし……いちおうあんたの『 婚約者 』ってことになってるし、試しに……その」
「して……みる?」
「………!!?」
どきどきどきどき………
早鐘のように左胸が鳴ってる。
もうアルテナにはその衝動が止められなかった。
がしっ
「っ………!!」
彼に突然、肩を強くつかまれたリベッラ王女の吐息が漏れる。
二人の顔はすでに炎のように赤く。
目をつぶってお互いの鼻先がくっつきそうなほど顔を近付けて--
「お?なにやってんだお前ら」
「「……!!!!!!」」
とっさにくるっと後ろに振り返ったリベッラ王女。アルテナは言う。
「ぬおおあ!!!ジャーベス!!?
お前、大丈夫なのか?!」
「お、おお。なんか、いきなり意識持ってかれそうになってな。ん?お前たちがここまで運んでくれたのか?」
「そうだよ。めちゃくちゃ重くって、山登った後だってーのによ……心配っ……かけやがって……」
ジャーベスはふっと表情を緩めてゆっくりと起き上がると、何も言わずにそっとアルテナを抱きしめた。
アルテナの涙が床に落ちて、丸い跡を残していた。
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