第44話 とんでもねえ任務!
---あの日
【『 焔翼ギルド 』のギルドホールで見上げた
『 不死鳥 』の絵を見てから俺は】
【今まで自分がずっと背伸びばっかして生きてきたんだって。そんな気がしててさ。本当はずっと……怖かったんだ】
..... ..... .....
【 ジャーベスとシルヴァリオンの故郷
『 フェニーチェ島 』に来てからはさ。
いきなりギルドで洗礼を受けて。】
【なんでか分かんねえけどそんな流れで
いきなり『 焔翼ギルド 』に一応所属ん
なって】
【それから修行だのクエストだのを
なんとかかんとかこなして、やっと俺は
自分の左腕に『 ギルドの誓い 』である
『 不死鳥の片翼 』を刻まれて。】
【それからは毎日が本当に忙しくって、
あっと言う間に時間だけが過ぎていったんだ】
..... ..... .....
【 ここでの暮らしもそんなにわるくないよ。
だけど、胸の空白だけはどうしても埋まら
なかった】
【 あ、そう言えばさ。三人で旅してたあん時より、背もけっこう伸びたんだぜ?まだ小さかった俺は、いつもお前の後ろに隠れて怯えてただけだったもんな】
【はは。なんか懐かしいな。またあの頃みたいに
二人に会って直接話したいよ。たくさん伝えたい
ことがあるんだ。
まあ、次に会うその時まで。
二人とも元気で生きていてくれよな。
そしたら、またな
ノエマ--
そして俺は今--
..... ..... .....
「アルテナーー!」
ほったて古屋の前で大きく手を振っているのは、俺を拾ってくれた兄貴みたいな人だ。
アルテナ
「ああ。ただいま。ジャーベス、
シルヴァリオン。」
ジャーベス
「今日はお前、だいぶ遅かったなあ。
またクエストか?」
シルヴァリオン
「ブルルッ」
アルテナ
「あ、うん。そんでさ、これ………」
どごんっ! と、外にある作業台に
巨大な肉の塊を置くアルテナ。
アルテナ
「おみやげっつーかさ……クエストで倒した牛み
てーなやつの肉なんだけど、食えっかなこれ?」
ジャーベス
「お前……これって……」
「猛牛トーロブルじゃねえか?!すげえな!
アルテナ、お前もいつのまにか一人前になった
んだな……」
「俺はなんか今、めちゃくちゃ嬉しいよ。まあ、
今日はこれ焼いて、パーっとみんなで
食おうぜ!」
「そしたらさっそく準備するか!
手伝ってくれ!」
アルテナ
「もち!なにからやる?」
ジャーベス
「んーとだな……まずは薪と……それから……」
シルヴァリオン
「ブルヒンッ!」
ジャーベス
「ん?シルヴァリオンにはステッラ麦っと。」
「というかアルテナ……お前、最近
声変わった気ぃすんな」
アルテナ
「あ?そうかあ?自分じゃ分かんねえよ」
「ほら、そんなことどうでもいーから
早く準備しようぜ。ジャーベス。」
ジャーベス
「……お、おお。そうだな!」
二人と一頭がフェニーチェ島に来てから早くも《《三年》》という月日が経ち、
ジャーベスは『 16才→19才 』に。
アルテナは『 10才から13才 』に
成長していた。
季節は冬が終わる頃。
吐く息はまだ白くて。
二人はそんなことにはお構いなしで、
着々と遅い夕食の準備に取り掛かっていた。
シルヴァリオンはそのつややかな体を、
星の光のように蒼く輝かせていた。
..... ..... .....
州都レーゼ
焔翼ギルドにて。
ギイイイ………
しーーーん
アルテナ
『あれ?なんかやけに今日は静か過ぎねえか。』
こつこつこつ……
「アルテナ・フォッティーゾだな?」
ギルドホールの奥から、一人の
『 同年代くらいの男 』が、
こっちに向かってゆっくり歩いて来る。
???
「ふん。」
その男はメガネをかけており、白い手袋を付けた手で紺色のマントをばさっ!と払いのける。それに、いくらなんでも愛想がなさ過ぎる。
そして、男は再び話しを始めた。
???
「君は……『 焔翼ギルド所属 』『 アルテナ・フォッティーゾ 』で間違いはないな?」
アルテナ
「……は、はい。そう……ですけど」
その男は、マントと同系色のやけにピッチリしたスーツの内ポケットから、封蝋された手紙を一通取り出した。
???
「失礼。」
きゅっきゅっ スチャ
ぶしつけに、きれいなハンカチで
メガネを拭いてかけ直す男。
???
「今日はこちらで『 特別な任務 』を君に伝える為に、ギルドマスター=ドン・ドナテッラ様にお伝えして、関係者は全員出払ってもらっているのです。」
「実はすでに三年前、君とはここで出会っているんですがね。改めて名乗らせていただきましょう。」
「私の名は、
『 エスカルド・ルーチェヴェローナ 』
と申します。『 ビアンテ王国 』で『 執事 』をやっている者でございます。」
「そしてここに
ビアンテ王国・国王陛下より直々に賜った
『 極秘任務 』を伝える!!」
聞いたこともない王国の
執事エスカルドが突然、
声を張り上げる。
アルテナ
「なっ……?!なんなんだあ!?」
執事エスカルド
「内容は、本日中に『 行方不明になられた 』
『 リベッラ・ヴィヴァーチェ・ビアンテ王女様 』
を直ちに発見し!ビアンテ王国に無事連れ帰ること!!」
アルテナ
「はああ!?お、王女……って
……そんな。また急に……」
執事エスカルドはさらに信じられない
言葉を続けた。
執事エスカルド
「もし仮にですよ?……仮に君がこの
『 極秘任務 』を完遂させた暁には……」
「1に『 王女との婚約 』
そして2にビアンテ国王陛下から
『 莫大な報酬 』まあ、国が一つは買えるくらいではあるでしょうが。
そして3、君には『 王位継承権 』が、国王陛下より与えられるのです。」
「それに、私たちが求めている者は
『 王女を城に無事連れ帰る者 』ではなく、
『 彼女と肩をならべ同じ道を歩む者 』
なのです。」
………
アルテナ
「んん?」
「は?」
「えええーーー!!?」
静まり返った焔翼ギルドのホール内に、アルテナの声だけが響き渡って。アルテナは、頭から背筋に落雷を受けたような衝撃を受け、呆然とした。
『 ビアンテ王国 』とかの執事から急に与えられた、無茶苦茶過ぎる『 とんでもねえ任務 』
それは、これから始まる《《大事件》》のほんの《《始まり》》に過ぎなかった。
..... ..... .....




