第27話 真実
◻︎□⬜︎□◽︎◻︎ ◻︎□⬜︎□◽︎◻︎ ◻︎□⬜︎□◽︎◻︎
ノエマ&アルテナ
「「…………。」」
「というのがこれまで起こったこと……なんっ……だけど。すまない……」
かちゃ
「なんだかッ……涙が止まらない……や」
話を終えたプルーデンスは、深い哀しみを隠し切れない様子で微笑んでみせる。
「お父さん……」
ぎゅ
「大丈夫だよ。」
「だってわたしは『 観測者 』なんでしょ?」
「お母さんのことはまだ、
きおくがはっきりしないから……」
「だけど、お父さんの気持ちも、お母さんがわたしに伝えようとしてくれた想いも……」
「わたし!ちゃんと分かってるから。
だから……」
「ノエマ……お父さんッは……!!」
「だから、お父さんはずっと笑っていて?
わたしを『 護る 』っていったんだから。
一緒にまた……お母さんを探しにいこうよ!」
「先生……こんな時に……その、
あれなんだけどさ。」
「アルテナ? ……なんだい?
僕に答えられることなら──」
ドゴオォォーーーン!!!
ガラガラゴロ……………
ノエマ&アルテナ&プルーデンス
「「「ッッ………!?」」」
その時──
遺跡全体が激しく揺れ、子どもたちは立っていられなくなった。
すると、いきなり部屋の天井が崩れ落ちて来た。
「危ない!!!」
プルーデンスはとっさに娘を庇って覆いかぶさる。アルテナとフィリムはすぐにベッドの下に潜り込んだ。
「お父……さん……?」
その時、ノエマを庇ったプルーデンスに異変が起きていた。体は激しく歪み今にも姿が消えそうになっている。
「いやだよ!! せっかく会えたのに……!!
体が……お父さん!!!」
「……ノエマ。『 完全なる記憶体 』だって……
いつかは終わりが来るものさ。」
「……ははは『 100万年以上 』も、僕が今まで精神を保ち続けて来られたのが不思議なぐらいだ。」
「『 君を護りたい 』と一心に願って来たことが、ここまでなんとか僕を持ち堪えさせたんだね。あははは……やっぱりだ。」
「アルテイシア……君にはほんと、
あたまが上がらないなあ。」
「………?」
父は最後の生命の火を燃やし、もはや消えかけている体の輪郭を揺らしながら娘に近づくと、片方の膝をついて言った。
「ノエマ……よく聞きなさい。」
「君の本当の名前は───
プルーデンスがそう言いかけた時──
ビュンッッーーーー!!!
瞬間
ドンッ!!
プルーデンスは咄嗟にノエマを突き飛ばした。
天井に大きく空いた石壁の穴から
『 凶々しい何か 』が放ったドス黒い光の刃が、
悪意が、狂気が、殺意が。
プルーデンスの体を背中から貫いた。
「ッッかっ……はああッ……!!」
本来なら傷一つ与えられない彼の体に、
深い闇色が徐々に侵食していく。
ドガーーーーーーンッ!!!
と、次の瞬間──
破壊音が再び鳴り響き、プルーデンスは石柱の下敷きになって崩壊した古代遺跡とともに地下へと落下していく──
「ノエッ……マあッッッ!!!」
「君のッ………本当の……名はぁああ!!!!!!……」
プルーデンスは最後にそう叫ぶと
完全に闇に飲み込まれて
消えた
ノエマは絶叫し、アルテナとフィリムがその腕を無理矢理引き、三人は危機一髪のタイミングでそこからなんとか脱出した。
∧ ∧ ∧
気が付けば森は茜色に染まり、追憶の太陽が沈んでいくところだった。
「なあフィリム……こういう時ってさ……」
「フィ?」
「なんて……いったら……いいんだろうな」
超古代文明が遺した遺跡=龍の谷。
何者かによってとつぜん破壊されたあの部屋から、泣き叫ぶ少女を連れて、少年は無我夢中で走りやっとここまで来た。
ここまで来たのはいいが、ノエマの今の姿をみていたらもうどうしようもなくなって。アルテナはそう、フィリムに聞いたのだった。
ぴょんっぴょんっ
ぴとっ。
「……あ?」
フィリムはなにもいわずに、
ただアルテナのとなりに来てくっついた。
「……!! そうか! そういう……ことか。」
「ナイス! フィリム!」
「フィー!」
こう言う時、男には果たして何が出来るのだろうか?なにもしない……そう言うワケにはいかないだろう。
少年もまた答えを持たなかった。しかし、アルテナはいても立ってもいられず、気がつくと地面にへたり込むノエマの前に立っていた。
……ごくん。
『フィリムが俺に伝えた通りにやれば
きっと……ぜってーうまくいくはずだ!』
「あれ……?今なんか一瞬、へんな感じがしたような?……いや、今はそんなこと考えてる場合じゃねえ。」
そして──
アルテナは声をかけたくなる気持ちをぐっと抑えて、ノエマのとなりに座った。無言で。
バチコーン!!!!!!
いきなり少女の正拳が飛んできて、アルテナは空を飛んだ。あの時、遺跡で抱いた夢が叶ったのだ!
「なんでいっつも」
「こうなんだよおお〜〜!!!」
涙はいつしか止まっていた。
『 アルテナがいつもこうやって、
笑わせてくれるから。』
大きな木に背中を預け、足を伸ばして座るノエマのそばで、フィリムはただなにも言わず少女によりそっていた。
∧ ∧ ∧




