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【コミカライズ連載開始!】あやかしダンジョン配信記~底辺配信者の俺、妖怪の地遠野にて美少女座敷わらしと共にダンジョン配信したらバズって大変な事に~  作者: 十凪高志
第十章 鬼女紅葉と鬼哭里ダンジョン

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第198話 枯葉童子

「グォアアアアアア!!!」


 鬼が咆哮し、空気が震える。


 鬼女紅葉の怨念。

 それがこの――枯葉童子。


『なんでモンスターが!?』

『モンスターはダンジョンの外に出ないはず』

『まさかスタンピード!?』


 コメントがそう言うが、そうではない。

 これは――


「式神、か」


 鬼武が枯葉童子を見て言う。

 そう、これは式神だろう。鷲王が取り出した符からこの鬼が出て来てのがその証左だ。

 ダンジョンモンスターではなく、ダンジョン出現前からずっとこの世界にあった、呪術の一種の産物だ。


「その通り。この里に終焉をもたらすにはまさにうってつけだろう?

 紅葉様によって栄えた里が、紅葉様によって終焉を迎える。

 これぞ因果応報、自業自得というものです!」


 鷲王が両腕を広げて謳う。

 対して――


「くだらぬ」


 鬼武はその鷲王の言葉を切って捨てた。


「初代紅葉様の怨念――だと?

 そこの鬼、紅葉様と似ても似つかぬ怪物ではないか」


 確かに、美しく優雅な貴女というイメージとはかけ離れている。

 いびつに歪みねじくれた筋肉。

 般若面のような凶悪な顔。

 ダンジョンに出てきたら普通にオーガか何かだと思ってしまいそうな怪物だった。


「外見など些細な事、大切なのは内面ですよ」

「外見は内面を映す鏡だ」

「それは紅葉様を醜悪と言っているわけですかな? 紅葉四天王が鬼武の名を継ぎし者の言葉か」

「それを紅葉様などと認めぬということだ。貴様のおぞましき執念が産み出した式神だろうに」


 鷲王と鬼武は言いあう。

 しかし気になる事がある。

 鷲王が言った、「あの方」とは……?


「――は。これはダンジョンとなった紅葉の岩屋、そこに発生したボスモンスターをあの方がテイミングしたものよ」


 鷲王が言った。なるほどそういうことか。

 ボスモンスターをテイミング……?


『できるのかそんなこと』

『普通は出来ないけど』

『こないだの恋愛リアリティショーでそんな奴いたな』

『あの陰陽師か』

『またあいつらか』

『陰陽師がバックにいるって事か』


 ここは鬼の里だ。そしてとなりは忍者の里。確かに陰陽師が関わっていても確かに不思議ではない。

 今回の事も陰陽師が暗躍していた――それがこの間の陰陽師と繋がっていると考えるのは早計だろうか。


「いずれにせよ」


 鬼武が身を掲げ、腰の刀に手をやる。

 居合の構えだ。


「里に害をなす裏切者め。貴様を――斬る!」


 そして鬼武が走る。いや、これカメラで生配信されてるんだけど大丈夫か。

 この式神をダンジョンモンスターと類似するものと判断するなら、ダンジョン法によるダンジョン外のモンスター出現の緊急避難として判断されるだろうが――


 そして鬼武が鷲王に迫る。だが、その間に枯葉童子が入り込む。巨体の割に俊敏だった。

 そして。


「――なっ!」


 鬼武の刀が、枯葉童子の手に触れる。

 次の瞬間、刀が――朽ちた。


 砕け、枯れ、腐り、乾き、崩れ去る。

 それはまさに、枯れ葉のように。


 そして、枯葉童子の拳が鬼武に迫った。


「! 拙い――!」


 次の瞬間、閃光が走り、鬼武の姿がかき消えた。枯葉童子の拳は宙を切る。

 そして鬼武は数メートル後方に居た。

 あれは――稽古で見せた、電撃による瞬間移動――縮地か。


「ク、惜しい惜しい」


 鷲王が笑う。

 なるほど、つまり――あの枯葉童子、奴に触れたものは文字通りに「枯れてしまう」ということか。


 そして鷲王は懐から符を数枚取り出す。

 その符が黒い巨大な烏へと変貌した。


「――やれ!」


 烏たちが鬼武に襲い掛かる。刀を失った鬼武は、それでも拳で迎撃するが多勢に無勢という感じだった。

 そして。


「――に、逃げてください、紅葉様!」


 鬼武が叫ぶ。

 枯葉童子が、紅葉へと狙いを定め、近づいて行った。


「――っ! く、くらえっ!」


 紅葉がその掌から炎を生み出し、放つ。

 しかしその炎は枯葉童子のオーラに触れると消失する。

 非物質のエネルギーですらも枯れさせてしまうのか。


「……っ!」


 それを見て紅葉がへたりこむ。


『おいおいおいおいマジやばいぞ』

『キチクはどうした!』

『キチクは今ダンジョンの奥』

『間に合わない!』

『おいおいマジやべえって』


 視聴者たちが騒ぐ。

 枯葉童子が紅葉の眼前に立ち、そして拳を振りかぶる。


「た……」


 そしてその拳が紅葉に襲い掛かり――


「助け……!」


 次の瞬間、轟音が響いた。


「紅葉!」

「紅葉様!」


 楓さんと鬼武の悲鳴が響く。

 舞台が砕け、煙が上がる。

 そしてその煙が晴れ――


 そこには、巨大な穴が開いていた。

 だが、そこに紅葉の姿はない。ただ地面を砕いていた枯葉童子がいるだけだ。


「――え?」


 そして。紅葉の呆けた声が聞こえる。


 俺の腕の中から。


「修……吾……?」

「ああ」


 俺は答えた。


「助けに来たぞ、今度こそ」


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