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【コミカライズ連載開始!】あやかしダンジョン配信記~底辺配信者の俺、妖怪の地遠野にて美少女座敷わらしと共にダンジョン配信したらバズって大変な事に~  作者: 十凪高志
第十章 鬼女紅葉と鬼哭里ダンジョン

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第195話 出陣

「……と、そんなことがあったわけで」


『また大変だったな』

『なんでそのシーン配信してくれなかったの』

『せめて撮影して欲しかった』

『まあそれしたら流石に盗撮になるだろうしな』

『それよりも紅葉ちゃんとの混浴について詳しく』

『風呂を録画しなかったキチクを俺は一生許せそうにない』

『それは許すから再現VTRおねがいしもすこの通りです』


 俺は昨日の事を朝の雑談配信で説明した。


「うー、いたたたたた……」


 そして千百合は絶賛二日酔いのようだ。

 俺も酒を飲める年齢になっても酒に呑まれないように注意しよう。酒は飲んでも飲まれるな、だ。


「まあとにかくすったもんだはありましたが。

 あとは今日、俺たちは峠にある紅葉の岩屋ダンジョンに挑戦します。

 目標はダンジョンの攻略。

 がんばります」


『壊すなよ』

『壊すんじゃないぞ』

『壊さないで』

『今度は壊さないでね』

『壊すなよ! 絶対に壊すなよ!』


「わかっとるわい!」


 こいつらは俺を何だとおもっているのか。

 まあ、最悪壊しても仕方なしという言質はちゃんと取ってあるから万が一のことがあっても大丈夫なのだが。


「とにかく、まず攻略して第一攻略者としての権利で、紅葉の岩屋ダンジョンを関係者以外立ち入り禁止ダンジョンにする。

 そして最後の手段として、壊す」


『壊すんかい』

『壊すのか』

『みそこなったぞキチク』

『ダンジョンクラッシャーめ』

『ダンジョンスレイヤー……』

『ダンジョン保護団体が黙っちゃいませんね』


「壊したくないけど、依頼人の意向だからな。

 あっちの第一目的は、紅葉の遺産、遺跡が里の人に害をなす事の阻止、なんですよ。

 そのためには最悪破壊もやむなし、と」


『伝統のためには人の命なんてどうでもいい、とかいうタイプじゃないんだな』

『鬼のくせに人道的な』

『つまり遠慮なく壊せる!』


「壊さねぇよ。そういう伝統を守りたい心ってのは大事だからな。遺跡史跡はちゃんと守られないと」


『殺生石「もういっぺん言って」』

『お前が言うんでなきゃいい台詞なのに』


 うるせえ。

 不可抗力ってのはあるんだよ。

 つかそもそも殺生石割ったのは俺じゃないぞ。俺はあくまでダンジョン潰しただけだ。


「ともかく……いきますか」


 そして俺は立ち上がった。



◇

「あ」


 朝食を終えて宿を出ると、紅葉とばったりと出会った。


「……おはよ」

「ああ、おはよう」


 挨拶をする。紅葉は心なしか顔が赤かった。


「き、昨日はごめんなさい。まあその、色々と忘れてくれると、嬉しいけど」

「いや、忘れないよ」

「忘れろ」


 睨まれた。


「なんでだよ。親子の和解ってのは大事だろ」

「そ、そっちじゃなくて! ……うん、いやそっちは感謝してるわよ」

「そっか。なら後顧の憂いなく祭りに臨める、ってわけだ」

「……うん」


 紅葉は視線を落としていった。

 ……何かまだ心残り、懸念があるのだろうか。


「どうかしたのか?」

「ううん、緊張しちゃって。大祭の巫女は初めてだから……ううん、たぶんそれだけじゃない……のかも。うまく言えないけど」

「?」

「……ううん、なんでもない。ちょっと嫌な予感がして……でもたぶん緊張でナーバスになってるだけと思うから。

 うん、私……この祭りがおわったら東京に行くの!」

「死亡フラグめっちゃ立ててんじゃねえよ」


 そういう台詞は危ない。

 漫画や映画だと十中八九危険がピンチで死ぬぞ。


「……大丈夫。うん、大丈夫よ。

 本当は、修吾。あんたにも見ててほしかったけど、お母さまたちからの依頼じゃ仕方ないよね。

 紅葉の岩屋のダンジョン攻略、頑張って」

「あ、ああ」

「……頑張ってね。私も、頑張るから。

 ……それじゃ、私も準備があるから」


 そう笑って、紅葉は……去って行った。


 なんだろう。


 すごく……胸騒ぎがした。



 ◇


 紅葉の岩屋ダンジョンは、昨日も行った峠にあった。戸隠と鬼哭里の境界に位置するその岩屋は荒倉山中の洞窟だった。


「じゃあ、行こっか」


 二日酔いから回復した千百合が言う。


「はい」


 水面ちゃんが頷く。

 彼女はダンジョンに入ると、テイマースキルで河童のタガメを召喚する予定だ。

 つまり攻略メンバーは、菊池修吾、千百合、鈴珠、若生水面、タガメだ。

 そして……。


「案内として、伊賀瀬が同行します」


 鬼武が言い、巨漢の男が進み出た。


「……よろしくお願いします」


 野太い、精悍な声で挨拶して来る伊賀瀬。今まで彼との絡みは少なかったが、しかしさしたる問題はないだろう。


「我々は紅葉大祭がありますので、これにて。

 菊池殿、ご武運をお祈りしております」


 鬼武が頭を下げる。千百合たちも頭を下げた。


「ああ、お任せください! このキチク、気合を入れて攻略しますぞ! 大船に乗った気でいてくだされ!」


 そう声を上げる。不安だ。まあ大丈夫だろう。


「えっと、配信は大丈夫なんだっけ」

「はい、楓様たちいわく、問題ないとのことです。

 本来は岩屋にも巫女――紅葉様たちが入りそこで舞を奉納し儀式を行うのですが、今回はダンジョン化が起きたために安全確認が取れてから行うとのことです」

「つまり先遣隊……ってわけですね、私達」


 水面ちゃんがそういう。露払いというやつだ。責任は重大だな。


「とにかく、がんばります!」

「が、がんばってね!」


 気合いを入れる鈴珠に、熊武ちゃんが応援をする。

 うん、鈴珠にもちゃんと友達が出来たようでいい事だ。


「あと……そっちの紅葉大祭も、配信していいんだよね」

「ええ。構いませんが……」

「そっか。じゃあそこの……村人Aさん、このカメラ持って撮っててね。これはボクたちのチャンネルで見れるようにしてるから」


 ワイプ画面のように写すと言う事だ。

 これで視聴者たちは紅葉の岩屋ダンジョン探索と、紅葉大祭での紅葉の舞の両方を見れるということになる。


「わかりました」


 カメラを受け取ってそう言う。

 責任重大である。


「それでは参りますぞ~! 前人未踏前代未聞人跡未踏の紅葉の岩屋ダンジョン本邦初公開という奴にございますな! いざ出陣です!」


『おいキチクテンションおかしいぞwwwwww』

『新しいダンジョンでテンション爆上がりかよ』

『久々に普通のダンジョン攻略を見る気がするぜ』

『がんばってみんな』

『どんなモンスター出るんだろ』

『鬼の里だからやっぱり鬼系かな』


 視聴者たちも期待している。


 そして見守る中、紅葉の岩屋ダンジョンの攻略は始まった。

 頑張ってくれよ、みんな。

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