第19話 スカートをはいた果実
温かい日差しが差し込む昼下がり、舞ちゃんに膝枕されて穏やかな時間が流れていく、ハズなのに。
「ちらし寿司、美味しかったね~」
「そうだな」
「悠くん、昔から好きだったよね。今度はわたしも一緒に作らせてもらおうかな?」
「そうだな」
会話に全く集中できない。
今日も舞ちゃんのスカートが短い。なので視線の向きを変えだけで見えてしまうかと思うと、緊張してしまって落ち着かない。午前中も舞ちゃんが動くたびにスカートがひらひらして、勉強に身が入らなった。
不味い、非常に不味い。何がとははっきりしないけどなんか不味い気がする。
「なぁ、舞ちゃんさんや」
やさしく頭をなでてくれている舞ちゃんに話しかける。
「なーに?」
「一階に降りるたびにスカートを履き替えるのは面倒じゃないか?」
そう、舞ちゃんは毎回隣の部屋でスカートを履き替えているのだ。
「でも、下には小父さんもいるし、このまま行くのは恥ずかしいかな?」
「いや、そこはそうじゃなくて。この部屋でも普通のスカートにすればいいんじゃないかな?」
そうすれば、また落ち着けるようになるに違いない。
「え~、ダメだよー」
「なんで?」
「それじゃあ、悠くんドキドキしてくれないもん。せっかく気にしてくれるようになったのに」
やっぱりそういう事考えているんだ。どうやって説得するかな。
「うーん……。ほら、毎日だと飽きるかもよ? だからやめとこう、ね?」
「でも平日は制服だし。お休みの日だけになるから大丈夫だよきっと」
俺としては全然大丈夫じゃないんだけど。
「あ、そんな格好してるの小父さん、小母さんが知ったら怒るんじゃないかな?」
「お父さん? んー、どうかなー?」
「そうそう、はしたないって怒るよ」
「でもお父さんもお母さんも、悠くんとの事については、なんかいつも諦めた顔しかしないよ?」
……え、なにそれ? 諦めるってなに?
「初耳なんだけど」
「大体いつも、‘悠くん相手だったらしょうがないなー’って話になるの」
「そうなんだ……」
結城家での俺の扱いが気になってきたんだけど。
「そうそう、だからいつでも大丈夫だからね。安心していいよ」
「いつでもって……」
まったく安心できない言葉が聞こえてくる。
「それにそうなれば、ミニスカートを履かなくてもいいようになるよ? 解決だね」
舞ちゃんは恥ずかしそうにそう言いながら、やさしく微笑んだ。
「……ミニスカートでお願いします」
俺も諦めようかな……。
その日の夜、舞ちゃんを家まで送り届けたあとに澄華に連絡をとってみた。
澄華[なに?]
悠斗[おじさんってさ 俺のこと どう思ってるかとかわかるか]
澄華[どうしたの?急に。]
悠斗[娘についた悪い虫とか思ってないかな]
澄華[なに言い出してんのよ、そんなこと思ってないわよ。]
澄華[気にすることでもしたの?]
悠斗[してないから]
悠斗[舞ちゃんがちょっと気になること言ってたから]
澄華[どんなこと言ってたの?]
悠斗[俺のことについて なんか諦めた顔をするって]
澄華[ああ、してるわね。]
悠斗[するんだ やっぱり]
澄華[別に悪く思ってるわけじゃないから。]
悠斗[そうかな]
澄華[あんたのことってより、舞華があんたのこと好きすぎってだけの話だから。]
悠斗[そうなのか?]
澄華[今、お父さんいるから直接訊いてみる?]
悠斗[やめとく]
澄華[そう。]
澄華[まぁ、気にしなくていいわよ。]
悠斗[わかった]
澄華[もういい?]
悠斗[うん ありがとう]
澄華[じゃあ、おやすみなさい。]
悠斗[おやすみ]
うーん、わかったような、わからないような気もするけど。
気にするなって言われたし。まぁ、いいか。




