第18話 恋のレシピは大胆不敵
目覚ましが鳴り、俺は寝惚け眼で時計を止めた。はっきり言って、まだ眠い。
昨日は二回目のバイトの日だったので、思ったより疲れているのかもしれないな。
「気合い! 気合い!」
とりあえず両手で頬を叩きながら大きな声を出してみる。ぼんやりしてると直ぐに舞ちゃんからモーニングコールが掛かってくるのに、情けない声で出たくない。
そうやって目を覚ましていると着信音が鳴る、舞ちゃんからだ。
「おはよう、舞ちゃん」
『おっはよー、悠くん。今日もいい天気だよー』
いつもより機嫌がよさそうな声が聞こえてくる。
「なんか元気そうだね。何かいいことでもあったの?」
『えへへー、それはねー』
少し間が空いた。
「なに?」
「おっはよー! 悠くーん! こっちだよー」
声と同時に背後でドアが開き、振り向くと舞ちゃんの姿が見える。
「えへへー、きちゃったー」
「あ、おはよ……う?」
「見てー、悠くん」
舞ちゃんの姿が見える。薄手の長袖シャツ、そして……。
「昨日、葵ちゃんたちとお出かけした時、買ってきたの。ね、春っぽいでしょ?」
「あ、う、うん」
舞ちゃんの姿が見える。…………とても、そう、とても短いスカートを履いた姿が。
「悠くん、悠くん。どう? 似合うかな~?」
そう言って、その場でくるりと回った。
咄嗟に視線をそらす。
なにか見てはイケナイ物が見えたような気がするが……気のせいだ。うん。
白いのはスカートであってそれ以外の物では断じて無い、決して。
「可愛いよ。よく似合ってる」
「も~、ちゃんとこっち見てよ~」
ちょっと、お冠のようだ。
声を聞くだけでも怒っているとわかる。きっと視線をそらしてるのがバレたんだ。
恐る恐る、舞ちゃんの方へ視線をむける。
舞ちゃんの姿が見える。とても刺激的すぎる姿が。
舞ちゃんは腰に手をあててむくれていた。
似合ってて可愛い。すごく魅力的なんだけど。
「えーと、舞ちゃん」
「なに?」
「そのスカート、短かすぎないかな?」
「外出着じゃないよ。悠くん専用」
「そうか、それなら」
他人に見られるわけじゃないのか……。少しほっとしてしまう。
……………………。
「いや、いくら俺だけだと言ってもダメだろうやっぱり」
「なんで?」
「なんでって、……その、見えそうだし」
実際、見えた。――――いや見てないけど。
「大丈夫だよ」
舞ちゃんが少し照れながら言う。
「どこが!?」
「えーと、全部?」
全部って、なにが全部なんだ? でも、訊いてはイケナイ気がするのはなぜだろう?
「しかし、その……」
「似合わないかな?」
舞ちゃんがスカートを見ながら端をつまむ。あんまり上げると、その……。
「似合う! 似合ってて可愛いから! 可愛いすぎて困るくらい!」
「そう? 良かったー」
うれしそうに再び回る。
俺はもう一度視線をそらした。
「えーと、その、色々気をつけてね? お願い」
「大丈夫だよ~」
「いや、ホント。気をつけて」
イロイロ大変だから。




