第14話 あなたがいるから
お昼休み
三人でお昼を食べていると。
「ねぇ、舞華」
「ん~、なに?」
「昨日、放課後どうだった?」
と、翠ちゃんに尋ねられた。けど、はて? 昨日? なにかあったっけ?
「あ、それ、わたしも気になる」
葵ちゃんも気になるらしい。
「どう、と言われても別に」
「別に、ってこと無いじゃない」
「何か、誤魔化すようなことになったとか?」
「誤魔化すも何も、いつもどおり、待ち合わせして帰って。そのまま夜まで一緒に過ごしただけだよ」
楽しかった、思い出すだけでも幸せ。
「…………いや、その前」
「前?」
「そうそう」
なんだろう?
「なんの事?」
「なんでわからないのよ……」
なんか、呆れられてしまう、不本意だ。
「呼び出されてたって聞いたんだけど、また告白でもされたんじゃないの?」
そういや、知らない男子に呼び出されたかな?
「ああ、そういえば。告白かどうかは知らないけど、断ったよ」
「『告白かどうかは知らない』ってどういう事?」
「え~と、『今度、練習試合を見に来ない?』とか言われたんだけど、断ってすぐ帰ったし」
「それだけ?」
「うん」
「なにか、こう、感想とかないの? ちょっと迷ったとか、ドキドキしたとか」
「なんで?」
「なんでって……」
葵ちゃんが翠ちゃんの肩に手を置きながら、
「舞華ちゃんにそんなもの求めちゃ駄目だったんだよ、翠ちゃん……」
えらく演技がかった言い方をする。
「なにかバカにされてる気がする」
「舞華ちゃんは一途だねーって事」
「当たり前じゃない」
「でも、格好いい男の子見たり、告白されたらときめいたりするでしょ?」
「ないよ」
「あっさりしすぎ」
「だって、告白されても困るだけだし」
悠くんがいるから。
「困るんだ……」
「きっとまた告白されるだろうけど、その中に笠原先輩より格好良い人が居るかも、とか考えないの?」
「考える時間の無駄だと思う」
正直、格好良いとかどうかなんて関係ないし。
「うわっ、言い切ったよこの子」
「舞華ちゃん、笠原先輩にべったりだからねー」
「そうでもないよ?」
まだまだ全然。これからだ、と思う。
「え? そんなこと言うの? あんなにイチャついてたのに?」
イチャついていた? 何時のことだろう?
「そうなの? 翠、見たことあるの? どんな感じなの?」
「春休みにさ、お買い物行く前。先輩と一緒の所にバッタリ会ったんだけど。その時、すっごい極上の笑顔でさー、ニコニコしてて。普段あまり笑顔見せないじゃない? わたし一瞬別人かと思って、驚いちゃうくらい。仲良さそうに手を繋いでくっついてて。幸せそうにしてるんだよー、この子」
あれは、“イチャつく”に入るんだ……、そんなつもりはなかったんだけどなー。
「へー、そうなんだー。見たかったなー」
翠ちゃんがニヤニヤしてる。
「春休み、結構一緒だったんでしょ? この前聞いたよりもホントはもっと進んでるんじゃないのかなー?」
家に行った日数とか、いろいろ少なめに話しておいたのに怪しまれてしまった。
「そんなことないよ」
「なにか隠しない?」
「なにもないから」
悲しいことに、あまり進んでない。
「本当はキスくらいしたとか?」
「してないよ」
「本当?」
「ホント、ホント」
「舞華からしてみたら?」
「折角だし、最初は悠くんからしてほしいかな」
「意外。もっと積極的かと思ってた」
「わたしも」
「最初くらいは、やっぱりね」
「他はどう? なにかないの?」
翠ちゃんのプレッシャーが強い。恋バナ好きだったんだ、この子。
「よし、今日はとことん問い詰めよう」
「えっ?」
困った、翠ちゃんまで乗ってきた。どうしよう。
――お昼休みはまだ終わらない




