第29話 この世界でも、人間は飛べないようです
遅くなってしまい、申し訳ありません。
「ねぇ、その大剣はどこに隠したの?」
狼騎士さんに心配された私は軍馬くんの上にいる。
乗らないと、狼騎士さん1歩も動かなそうだったから。
「木の上だ。」
ん?木の上?
隠したって聞いたから、てっきり、大きな木の下の土とかの定番なとこに隠したと思ったのに。
「じゃあ、レオンが、倒した魔物を探して、私が、木の上を探すというのは?」
われながらいい案だと思うんだよね。
効率的じゃない?
使ってみたい魔法もあるし。
「木の上だぞ?サクラには、見えないだろう?」
不思議そうに聞いてくる、狼騎士さん。
「空から探すんだよ♪」
得意げに私はそう言って、魔法の準備をする。
ここの魔法は、イメージが大切。
私のいた世界では、誰もが1度は願い、そして、叶えられなかった夢。
そう、空を飛ぶこと。
この世界なら、その夢も可能なのだ!!
鳥に翼が必ずあるけど、人間には翼がない。
なら、作ればいい。
魔力で、天使の翼のような、丈夫な翼をイメージする。
うんうん、ここまではいい。
狼騎士さんと出会う前から練習してたんだけど、イメージが足りないのか、魔力が足りないのかよく分からなかったけど出来なかった。
翼が出来なかったから、木とかに登る時は自分の体を風で押し上げるように登っていた。
つまりは、支えがないとダメだった。
だから、木登りとかしか使えなかったんだよね。
でも、空を飛びたかった私は、練習に練習を重ねて、ようやく翼を作るとこまでは行った。
そして、ほんの5センチくらいなら翼だけで飛べる。
今の翼は、その場にいるための翼な感じだ。
5センチくらいは、翼だけで上がれたけど。
狼騎士さんは、なにか話しているようだけど、集中している私には聞こえなかった。
さて、これからだ。
風を足元に発生させて、上に上がるようにする。
翼の役目はその場に留まること。
つまりは、現状維持だ。
飛ぶためには、風魔法で補助するしかない。
だんだんと、強い風に変えていき、ついに2メートルほど、浮き上がった。
おー!感動。
足元に狼騎士さんの頭がある。
私を見て驚いているようだ!
「どう?これなら、探せるでしょ?」
背中についている、2つの翼を動かしながら、驚いて固まっている狼騎士さんに聞く。
「サ、サクラは、と、飛べたのか?」
呆然としながら、そう聞いた狼騎士さんを不思議に思って聞いた。
「魔法があるから、この世界では、普通でしょ?」
うんうん、魔法がないから、科学が進んだ私の国。
この世界には、魔法があるから、科学がなくても進む。
魔法は『無から有』を産めるものだからね。
「い、や。俺は見たことがない。」
・・・え?
えー!!
どうやら、私の認識は、間違っていたようです。
この世界でも、人間は飛べないようです。




