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おでえと、しませふ

「よし!まずは…目先の期末からだね!」

 

 私は巴御前の付き合おう計画の立案をしだした。


「いや、目先つったって…もう3日後とかだよ?!私ももう大体勉強とか進めちゃったし…」

「ま、まじ?!ど、どうしよ……」


 巴御前と教経が頭を悩ませているのを横目に、私は笑みを浮かべた。


「な、何笑ってんよぉ?」

「ふふふ…テスト中にどうやって一緒に喋るのよ?」

「え、………あ!」


 教経は気づいたようだ。

 それに乗じたように私は口を開く!


「そう!テスト『後』って言ったら、何について喋る?」

「あ!そうだ!確かに…テスト後なら自然に喋りかけれる!」

「『難しかったね』とか『平均低くない?』とか『テストどうだった』とか『何点だった?』とか……」

「そうそう!しかも、巴御前、今さらっと言ってたけど……」

「ん?」

「勉強、進めてるんだって?」

「え、言ってちょっと毛が生えた程度だよ?」

「十分十分!そしたらそれを………アイツに教えてあげりゃいいじゃん」


 巴御前はポンと手を叩いた。


「お、おーーーー!すごいよ!すごい!勉強会かぁ」

「義経…なかなかやるじゃん」


 教経の声に、私は親指を立てて応えた。


「やっぱり義経だよ!……でも、私にそんな決心つくかな?」

「大丈夫大丈夫!別にテスト返しの時とか勉強会の時に初めて喋らなきゃダメだなんて言ってないし」

「ふぇ?」

「まずは日頃の『おはよう』&『さよなら』から始めるのがグッド!色々思考を巡らせちゃダメだからね!流れるように、身を任せて……なんだろう…どさくさに紛れる…とは違うけど、不意に言うのがいいね!」

「な、なるほど……てかさ、私ら別に初対面じゃないんだけどね」

「え、あーそうか……幼馴染か…」

「忘れないでよ?!」

「でも、そしたら…かなり成功確率高いかも!」

「え!まじ!?」

「そうだよ!初めのうちはちょっと怖かったりするかもだけど…アタックていうのは何回もしてったら『もっとそばにいたい』『繋がってたい』って思えるようになってきて、止まらなくなるんだから!」

「なる…ほどぉ」

「がんばれ!」

「………!ありがと!」


 すると巴御前は不意に歩き出し、

 

「よしゃ!じゃ行ってくる!凱旋してくっから!」


 そう言って私たちの前から姿を消したのであった。




 



 ウッス!オラ芳一!今現在、僕の意見を口に出せないまま、僕の好きな人を取るための恋愛相談進行中!

 なんとか、僕が彼女が好きなんだってことを知られてないまま、この話を止めないと……


「まずはシチュだな…」

「シチュ、かぁ……」

「…どうする?勉強会でもするか?」

「ま…?!、いや…でも……流石に2人きりを誘うのは…」

「だったら、俺が橋渡しになってやるよ!」

「え?」

「俺と、お前と、教経、この3人で勉強会開いて俺は途中で離脱、そしたらお前らで2人きりになれるだろ?」


 ここで鏡介が妙案を提示しやがった。

 頼む!一回黙っててくれ!それか死ね!


「そんな…いいんすかぁ?!」

「勿&論」


 いいわけあるかぁああああああ!!!


「成る可くそこで相談に乗ってもらえるレベルの仲にはなっとけ」

「嘘ん…激ムズ任務じゃないすかぁ……」

「友人であるこの俺が折角紹介したるってのに、てめえはそれを断ったんだ……1日でそんくらいはできるようにならねえと進展ねえぜ?」

「う…うぅ…」


 すると、後ろの方から誰かが駆け寄ってくる足音が聞こえた。

 ふと、その方へと振り返る。

 いた。

 巴御前がそこにいた。


「あの!義仲ぁ!」


 赤髪ロングストレートの彼女の喉から捻り出されたその声は、何故か、どこか可愛らしい気がした。

 すると、鏡介は口を開いた。


「なんでぇ?!用があるなら後でにしてくんろ!今俺らは漢の恋バナを……」

「黙れ。」

「 (鏡介 萎縮した声) 」


 かの鏡介を、たった一言で黙らせてしまった……

 この女、できる…!

 すると、巴御前は改めて義仲の方へと向き直り、


「あの……その、よかっ……たらで、いいん…だけどさ、その…なんつーかぁ……一緒に、勉強しない?どっかで」


 僕はその時確信したね。

 頬を染めた表情、

 照れ隠しで少し口角が上がった笑み、

 義仲の方を見ているだろうに、その視線は、焦点は、一向に彼の方へと向かない。

 常にキョロキョロと辺りに視線を移して、その間に義仲をチラ見しているかのような挙動。

 組んだり、押し合ったり、慌ただしく動く手指。

 間違いない、この女。

 乙女の顔をしている…

 つまり、


 惚れているのか……?!義仲に…!


「え?この…俺と?」

「……うん」

「……英語教えてくれんなら、いいよ」

「……え!」


 おいおいまじか、こいつ。

 鏡介の案は?

 これには鏡介も思わず義仲に耳打ちした。

 

「おい!それでいいんか!折角教経とくっつけるかもって機会をよォ!」

「別にテスト期間は1日じゃ終わらんでしょ?それに、そんな勉強会何日もやるもんじゃないし!」

「うぐ…それもそうか……でもなんであえて了承するんだよ?!」


 すると、義仲は突然、左手でうなじを押さえ、その前方に飛び出した腕で照れ顔を隠しながら言った。


「そりゃあ…俺だって、ちょっとくらい教経にいいとこ見せたいんだよ……」

「義仲…」


 義仲は巴御前の方へと向き、


「じゃ、いつからするよ?」

「え、あぁ!い、い、いつからでも!」

「おんじゃあ…今日からしちゃうか?!」


 !?

 この男…恐ろしい!


「きょ…今日?!今日は、その…心の準備っつぅーかさぁ!」

「あ?なんでだよぉ!いつからでもって…」


 するとあろうことか、義仲はズンと距離を縮めた。


「ぅえ?!」

「勉強会、しようぜ!」

「うぅ…近いよぉ……」


 すると、鏡介は一つ、横槍を入れた。


「イチャつくんなら他のとこでやってくんねえかなぁ!俺!今!彼女いねえから!」

「は、はぁ?!俺らだって彼女彼氏いねえんだよ!………いねえよな?裏切ってねえよな?」

「う、うん…!」


 鏡介は溜息をつき、2人に尋ねた。


「んで!お二人の関係性はなんなんでしょうかねぇ?!」

「え?知らなかった?」

「えまじで?!てっきり義仲が言いふらしてんかと…」

「へぁ?!なんで俺が……まぁ…世に言う幼馴染だね、俺らは」


 なんと、ここで予想外のカミングアウト!

 僕は度肝を抜かれたよ…!


「詳しく言ったら、私は義仲の幼馴染の妹、って立場」

「別に普通に幼馴染でいいだろ?てめえら同い年だろ?」

「だめ!ここはちゃんとしとかないと…」


 義仲の幼馴染の妹……

 と言うことは、ここには今井兼平もいるのか?!

 武士として過去一立派な死に様で、僕に感動を与えてくれた、あの今井兼平が?!


 、とまあともかく、こうして2人の勉強会(デート)が始まったわけだが…

 はてさてどうなることやらこの三角関係…

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